No.20 GTO Wizard Blogの解釈記事【Stack-to-pot ratio】
本記事はGTO Wizard Blogを私なりに解釈し、友人に説明するならどのように書くかな?と再まとめしたものとなります。
今回の記事は「Stack-to-pot ratio」になります。
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本記事はポーカーのまた一つの重要な概念であるSPR(Stack to Pot Ratio)について解説する。なんだかんだ「SPR1だから…」等、ポーカールームで聞いたことがあるかもしれない。本記事を読めば、そのSPRに詳しくなれるはずである。
さぁ、本日もアミュおじとしてドヤるために座学していこう。
■ SPRについて
SPR(Stack to Pot Ratio)はエフェクティブスタックとポットの比である。これは何を示しているかというと、ポットを獲得するために最大でどれくらいのスタックをリスクに犯してしまうのかを測る方法だ。言い換えれば、リスクとリワードの計算となる。
時々、スタックの大きさをSPRではなくビッグブラインドで表すことがあるが、これはあまり役に立たない。リワードを考慮せずにリスクを語るのは、誤解を招きかねないのである。
SPRはエフェクティブスタック(どれだけのリスクを負うことができるか)をポットで割ったものとして定義される。
SPR = Effective Stack / Size of the pot
■ EQとSPRについて
ポットが$100の時に、相手がフロップで$100のオールインをした場面を考えよう。フロップ時点で、相手がベットする前のSPRはいくらだっただろうか?そして、ベットをコールするために必要なEQはいくつだろうか?
エフェクティブスタックが$100であるため、、SPRは$100/$100=1になる。このベットをコールするには$300の最終ポットに対して$100のリワードが必要なため、$100/$300=33%のEQが必要になる。
(筆:シンプルにポットオッズを考えていますね。)
では次にSPRが2であった時のことを考えてみよう。ベットは$200となり、$200/$500=40%のEQが必要となる。さらにSPRが3の場合、$300のベットをコールするには$300/$700=43%のEQが必要である。
ポットに入っている金額に対してリスク/投資が高いほど、利益を得るには強いハンドを持っている必要があることがわかる。また、SPRが高くなるにつれて、相手はスタックをよりリスクにさらすことになるため、より強いハンドを必要とする。これが複合的な効果をもたらすのである。
SPR1の場合、仮に君がフォールドしないとわかっていたとしても、相手は35%程度のEQがあるFDでオールインする可能性がある。相手のレンジには比較的弱いハンドも含まれるため、君の弱いハンドでさえも33%のEQの閾値に達しやすくなるのだ。
より高いSPRの場合、相手のスタック全てがポットに入った時、相手のハンドはより強くなっていると推測すべきだ。つまり、ポットに対してより多くの資金をリスクにさらすことを正当化するために、SPRから導き出されるEQだけでなく、相手のレンジが強くなる部分の考慮もしなくてはならない。
上の表は、両プレイヤーはフォールドしないと仮定して、SPR分のオールインが行われるシナリオを示している。ブレークイーブンEQは、コールするのに必要なポットオッズと等しくなる。SPRが低い時は、必要なEQも低く、コールは容易であることがわかるだろう。
(筆:ポットオッズはチェックダウンの仮定が必要でした。オールインであるならば全てのカードを見る権利が得られるのでEQ=ポットオッズとしても問題はありませんね。)
スタックが深くなるにつれて、ベッティングはより複雑になる。レイズが発生するかもしれないし、レイズに対してオールインを返されるかもしれない。各場面でしっかりとレンジを予想&構築することが重要である。
■ ロバストネス(堅牢性)について
相手のレンジが強くなったとしても、自身のEQを維持しやすいハンドがある。この性質はよく「ロバストネス」と呼ばれる。
相手がSPR1でスタックオフできるレンジを考えよう。恐らくそのレンジは様々なペア/ドローが含まれているだろう。その相手のレンジに対して、君のミドルペアはかなり良いEQを持っているはずだ。
次にトップペア以上と強いドローだけのレンジはSPR4で見られるようなスタックオフのレンジである。こちらのレンジに対して、ミドルペアは良いEQは持っていないはずだ。
例えば、君はボトムセットを持っているとしよう。ボトムセットはSPR4のレンジに対しては大きなEQを有するだろう。しかし、SPR100と仮定すると、それ以上のハンドでしか相手は参加してくれない。そのようなレンジに対するボトムセットは捲り目が1アウツしかなく、EQがかなり悪くなる。
(筆:ハンドの強さとSPRは密接な関係がありますね。)
ドローハンドの良いところは、セットのように圧倒的に有利ではないが、EQが強固であることだ。たとえ、相手のレンジが強くなってしまったとしても、EQが急激に下がることはないのである。その結果、SPRが高い場合において、ベットやチェックレイズでポットを大きくする際の代表ハンドとなる。
(筆:ミドルペアのようなギリギリのEQを有するハンドよりも良い結果になることが多いですね。)
上記事象はナッツドローの時に強く当てはまる。弱ドローは強いメイドハンドに対するEQをある程度有するかもしれないが、強いドローには劣ってしまう。相手のレンジが強くなるにつれて、弱いドローを完成させてもポットを失う可能性が高くなるため、そのようなハンドのEQは低くなる。一方でナッツドローはEQが急激に低くなることはない。だから相手のレンジが強いと想定するのであればナッツドローを優先的にレンジに組み込むようにしよう。
■ 低SPR状況下の対応
下の図はMTTにおけるefが14BB、BTN vs. BB SRP、ボードはJ♥8♦5♥である。プリフロップの後、ポットには5.5BB、efは12BBがあり、SPRは2.2だ。BTNがフロップでオールインした場合、BBのアクションを検討しよう。GTOではBTNがこのサイズのベットをすることはほとんどないが、ソルバーはどのような計算結果を出すだろうか。
トップペア以上であれば、スタックオフが可能だ。また、ほとんどのセカンドペアや一部のサードペアも可能となっている。
(筆:サードペアはバックドアフラッシュドローがあればコールするハンドがありますね。)
FDについても、基本的にはコールできるが、弱いFDはフォールドしている。
(筆:これはSPR2でオールインするレンジに対して、弱いFDは引いても勝てる見込みが薄くなってしまうからですね。)
FDの9アウツだけではコールに必要な40%のEQ(筆:念のため、ポットオッズの計算をしてみてください。)は得られないが、これらのドローはペアを作ることで勝つ可能性がある。さらにナッツフラッシュドローの場合は既にベストハンドを持っているケースもある。そのような理由から、コールができるのである。
また、OESDはBDFDがあればコールできるが、ガットショットは全てフォールドする。
このようにどのハンドでフォールドし、コールとフォールドが混合している場合はどのハンドが閾値なのか?を確認すると良いだろう。
■ 中SPR状況下の対応
前章での設定を少し弄り、ef 30bbの場合と比較しよう。SPRは大体5くらいになる。
SPRが高くなってくると、トップペアでのスタックオフが少し危うくなり、ナッツFDも同じ傾向が見られる。OESDは、♥ドローかBDの♦ドローがない限り、ピュアフォールドとなる。
上記図は、スタックオフの基準がSPRと共に高くなることを示してくれる。
■ 高SPR状況下の対応
最後にSPR16でも確認をしよう。
全てのトップペアとナッツFDはコールとフォールドの間でインディファレントになっている。A♥Jxでさえ、ピュアコールではないことに注目したい。一方で、多くのコンボドローはピュアコールのままであり、 9♥7♥、7♥6♥などの全てのFD+セカンドペアは利益的なコールとなる。これがロバストネスの良い例である。これらのハンドは相手のレンジが強くなってもEQが下がりにくいことに対し、捲るのチャンスがほとんどないハンドの価値が下がってしまうのだ。
■ レンジ構築について
両プレイヤーのレンジはSPRごとに微妙に異なり、ポットサイズも異なってくる。これは、BTNはディープスタックになるとやや大きめのプリフロップレイズを使うためである。
重要なこととして、「プリフロップのレンジはポストフロップのプレーを視野に入れて構築すべき」ということである。NLHEにて、達成すべき目標は「どんなスポットでも、全てのスタック投入してプレイできるハンドを集めたレンジ構築をすること」だ。「全てのスタック」がポットと比較した際、どのように作用するかを考えることが重要である。
例えば、BBにいて、efが14BBの場合、AAをプリフロップでコールし、スロープレーすることがある。これはSRPでもSPRが低く、オーバーペアも楽にオールインに持っていけるからである。もちろん、SPRが高くなるにつれ、AAをピュアに3betする。
(筆:これはプリプロップでポットを大きくしないとオールインに持っていけないからですね。)
SPR4以上になる場合、どんなに強くてもただのワンペアでオールインにコールする事は危険だ。従って、KK、AA、AKのような強いワンペア作ることができるハンド群は、ワンペアでもコールできるSPRにするためにプリフロップで3betをした方が良い。
(筆:例えば、MTTのAKはSPRを1にして、Aハイでも問題なくコールできるようにする。と聞いたことがあります。)
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