Why Cryptocurrency Matters(なぜ仮想通貨が重要なのか?)

【仮想通貨】の未来は明るいのか?

仮想通貨市場に携わり約5年。年々、私の中でサトシナカモトの論文の偉大さに驚いています。私は5年前はビットコインや仮想通貨をあまり信じていませんでした。当時は「思想」を信じている人たちが多く「政府に依存しない通貨」の素晴らしさを議論することが主流で一種の宗教に近い感じでしたので共感することができませんでした。(彼らを否定したいという気持ちもありませんでした。そういう考え方もあるのか。と新鮮な感覚でした。)

しかし、サトシナカモトの論文を読み返す度に、これは読めば読むほどよく考えられていて発明級であり、そのテクノロジーが社会にもたらす「利便性」は大きく、ブロックチェーンと仮想通貨がもたらす社会的インパクトの大きさに驚いています。私は「思想」ではなくテクノロジーがもたらす「利便性」すなわち、社会的インパクトの大きさに魅了されているのだと思います。10年後、仮想通貨の登場は人類の歴史に刻まれていることは確定した未来です。

そして今、ビットコインの出現から約10年を迎えた2019年、デジタル通貨新時代の幕が開きました。「オープンな基準で作られるビットコイン」「民間企業主導で基準を作られるLibra」「中国国家主導のDCEP(Digital Currency Electronic Payment)」そして、「戦後の覇者米国ドル」。第二次世界大戦以後、初めての国家レベルを巻き込んだデジタル通貨新時代の幕開けです。

私たちはこの真っ只中に生きています。この変化の真っ只中で、リスクをとってビジネスや投資できる時代に生きているということは、ものすごい幸運なことです。この幸運を傍観するだけに留まるのか? 少しでもリスクをとって時代とともに生きるののか? 仮想通貨に投資している人・ビジネスしている人というのは、まさにこの時代の変化の中でリスクをとって挑戦している挑戦者なのだと私は思います。

以下では、パブリックチェーン(誰でも参加可能な企画)について考えていきたいと思います。

現在、ビットコインや仮想通貨はスケーリング問題など様々な課題があります。しかし、これは確実に改善されていきます。例えば、世界初のブラウザーを開発したマークアンドリーセン率いるAndreessen Horowitz(シリコンバレー最高峰のVC)は、ビットコインを含むトークンに$350M投資し10年は手放さないと宣言しています。彼らは、その10年の間に上記の問題を解決する技術者を育て技術促進を促し数億人規模のユーザーが使うインターネット金融プロコルにすると宣言しています。つまり、数億人規模のユーザーに使われた時、ビットコインを含むトークンは本質的な価値となり、本質的な価値に到達した際に売却して利益を確保するという投資戦略です。

Twitter/Squreを創業したJackDorseyは、ビットコインはインターネットの独自通貨になる可能性が高いと考え、SqureCryptoという開発チームを作りライトニングネットワークの開発等にコミットしています。この開発チームは、ビットコインコア開発者や元グーグルエンジニアで構成され、彼らも技術的課題(主に決済として使われるための技術課題)を解決しビットコインをインターネットの独自通貨にすることを目指しています。Jackは「インターネットの世界で人々に受け入れられるのは、特定の企業に支配されたものではなく、オープンな基準で運営されるプロダクトだ」という哲学を持っています。

これらは一例ですが、現在を俯瞰して、世界で何が起こっているかを整理すると、2019年現在は、「ビットコインを含む仮想通貨はインフラレイヤーにまだまだ課題を抱えているテクノロジーであるが、様々な解決策が提案・議論・実装され1歩づつ解決に向けて動き続けている」と捉えることができます。すなわち、ビットコインを含む仮想通貨は課題を抱えた技術ではあることは事実ですが、課題は近い未来に確実に改善され、数億人規模のユーザーが使うインターネット金融プロトコルになる可能性が高いということです。

インターネットの歴史を振り返っても、技術的問題は数年後に解決していることがほとんどです。これは歴史が証明しており人類が「考える葦」であることのあらわれです。また、黎明期には技術的課題を指摘して「これは使えないテクノロジーだ」という批判する批評家が現れますが、これも様々な新しいテクノロジーが普及する過程で見られる現象です。社会に大きなインパクトを与えるテクノロジーなので批評家も興味を持ち反論を展開します。(社会的にインパクトの小さいテクノロジーの場合、誰も興味を持たないため批評家もあらわれません。)

つまり、技術的課題は世界最高峰の頭の良い人たちの興味を惹きつけ、その知的好奇心が解決する。これは歴史が証明しているので賭ける価値があるというのが私の見解です。

【仮想通貨取引所】の役割とは?

仮想通貨が、数億人規模のユーザーが使うインターネット金融プロトコルとなった場合、世界はどうなるのでしょうか?

私は今後10年以内にフィアットカレンシー(法定通貨)の経済圏とデジタル通貨経済圏、二つの経済圏が融合するパラレル経済圏ができると考えています。仮想通貨経済圏は約10年で既に20兆を超える時価総額に到達しました。この規模まで来るとネットワーク効果が作用し、保有者が増えることで仮想通貨の価値が高まり、仮想通貨の価値が高まることで保有者が増える正のスパイラルに入っています。まだ、税制面の整理など社会ルールの整備が追いついていないため多くの一般の人々(マジョリティ層)が仮想通貨で支払いなどを受付ける時代は来ていませんが、日本のVC(ベンチャーキャピタル)が海外のブロックチェーンスタートアップにUSDTで投資したり、マイニング事業への投資はBTCで行われていたり、一部のアーリーアダプター層は既に仮想通貨による支払いで仕事の請負か行われているケースを聞くと、数年後にはより多様な使われ方、大きな経済圏になると予想されます。

このようなパラレル経済圏において、重要な役割になってくるのが、私たち取引所の存在です。取引所はフィアットカレンシー経済圏と仮想通貨経済圏の資産移動するゲートウェイ(関所)の役割を担います。ここがKYC(Know Your Customer :ユーザーの本人確認作業)を行うことで経済圏内外で不正な人に資産が流れることを防ぎ反社会勢力に資金が流れることを防くことになります。反社会勢力に資金が流れないことは私たちの実社会の平和と安定を実現する上で非常に重要であるため、取引所というのは社会インフラのサービスの役割を果たすことなります。社会インフラという意味では鉄道や携帯キャリアなどと同じです。社会が成り立つ上でなくてはならない存在となります。

また、取引所のもう1つの重要な役割は「ITや金融のリテラシーが低い人々(一般の人たち)」に「使い易いUX(ユーザー体験)」を通して仮想通貨の便益を届けるという役割です。取引所が出来る前、仮想通貨初期のユーザーは秘密鍵を自分で保管し、黒い画面にコマンドを打ち込んで仮想通貨を管理していました。しかし、黒い画面にコマンドを打ち込んで管理するというユーザー体験はエンジニアしかやりづらいことであり、多く一般の人たちには難しすぎます。そのため、取引所が「使い易いUX」を提供する役割を担うことで仮想通貨の便益が一般の人々に届くことになります。より多くの一般の人たちに仮想通貨の便益を届けることで、仮想通貨の価値は高まり保有者が増える。保有者が増えることで仮想通貨の価値は高まる... この正のスパイラル(ネットワーク効果)を生み出す役割を担っているのが取引所です。

新しいテクノロジーの普及において「使い易いUX」の役割は、多くの人が思っている以上に重要です。例えば、UI(ユーザーインターフェイス)について着目してみても、80'sパーソナルコンピュータが発明された時、AppleがGUIを実装しMicrosoftがWindows95にGUIを実装したことでパーソナルコンピュータ革命か起きその恩恵が一般の人たちに広がりました。90'sインターネットが発明された時、マークアンドリーセンがNetscape Navigaterでブラウザを発明し、InternetExplorerがWindows 95に標準搭載されたことによりインターネット革命が起きその恩恵が一般の人たちに広がりました。2000'sモバイルインターネットが発明された時iPhoneにマルチタッチインターフェイスが実装されたことによりモバイルインターネット革命がおきその恩恵が全世界の一般の人たちに広がりました。

新しいテクノロジーが発明された時、常に新しいテクノロジーは難しく「使い易いUX」が一般の人たちから求められます。和田と私が創業当初から「使い易いUX」に拘り続けているのはこのためです。現在もCoinchekのデザイナーやエンジニアがUIに執拗なまでにこだわり1pixelの線にまで文言一つ一つまでこだわり続けるのはこのためです。「一般の多くの人たち」が仮想通貨の便益を受けるためには、「使い易いUX」は無くてならないのです。いくらそのテクノロジーが優れていても一般の多くの人が使えなくては世界には普及せず、世界は変わらないのです。

仮想通貨という技術が発明された時、アメリカではAirbnbの元エンジニア・ブライアンアームストロングがその事に気づきCoinbaseを創業し「使い易いUX」を提供し「今後5年で10億人の人々に仮想通貨を届ける。」ことを目指し始めました。現在同社のユーザー数は3,000万人を超え時価総額は数千億円の企業になりました。Netscapeを創業したマークアンドリーセンももちろん「新しいテクノロジーが生まれた時の使い易いUXの重要性」に気づきCoinbase創業期に25億円という投資をしました。

【Coincheck】が目指す世界

現在「使い易いUXは重要」と言う人は沢山います。しかし、たぶんその人たちが言っている「重要」と私たちが考えている「重要」の「深さ」は違います。「使い易いUX」の重要性を過小評価している人がまだまた多くここを突き詰めて「使い易いUX」を提供し続けることが仮想通貨の便益を多くの人たちに届ける最善策であると私たちは信じています。

和田と私は、仮想通貨の便益を多くの人たちに届けたいと思っています。そのためにはプロダクトが核となります。いかに表面的なマーケティングをしても意味はありません。マーケティングはあくまで従であり、プロダクトが主であり核なのです。

「使い易いUX」を作りだすのは容易なことではありません。チーム全員で細部まで気を配り改善を重ね、時には意見の衝突で喧嘩も起こり、それでもなお「使い易いUX」をユーザーに届けたいとチーム全員で想いを共有しサービスのバージョンアップを繰り返していく。エンジニアやデザイナー、そして、その他のメンバー、全員のこだわりの積み重ね、ある種のクラフトマンシップがあってはじめて「使い易いUX」をユーザーに届けられます。誰か1人でも手を抜いたら作り出せません。このプロセスが魔法を生み「使い易いUX」を生み出すのです。

創業以来、和田と私は、なぜそこまで「使い易いUX」に執拗なまでにこだわるのでしょうか?それはなぜかというと、現代の日本人はIT革命の恩恵もあり非常に多忙のため、新しいITや金融(投資・資産形成)を学ぶ余裕が無いためです。

周囲を見渡してみると、多くの人が多忙で余裕が無いことに気がづきます。仕事は効率化されタスクは多く、共働きが求められ育児もしなければならない。NetflixやYouTubeでも魅力的なコンテンツが沢山あり、SNSも追いかけなきゃならない…etc。現代の日本人は常に沢山の選択肢に囲まれ多忙であり、そのため、新しいことに興味があっても、それを調べて学んでいる余裕がありません。

さらに、日本は超高齢化社会に突入しているため年金制度は構造的に厳しく、しかし、年を取ると体力的にも働けなくなってくるため投資・資産形成を避けて生きていくことは不可能になっています。

このような状態のため、一般の多くの人たちは、新しいITや金融(投資・資産形成)に一瞬興味を持ったとしても、学ぶ時間(学び続ける時間)を取ることは困難であり、学習コストが高いことにはに踏み込むことができない状況です。現代の日本においては、一般の多くの人たちが高い学習コストを掛けなくてもかんたんに使えるサービスを提供することが価値あると考えています。

投資や資産形成を考え始めた時に「とりあえず、これ使っておけば大丈夫」っていうサービスが今は無く多くの人は困っていると思います。Googleで投資についていろいろ調べて記事読んでみるけど、わかったようなわからないような…学習コストが高く脱落して投資自体を諦めてしまう。(または怪しものに引っかかってしまう)そんなユーザーを助けてあげる事ができたらかなり意義あることだと最近考えいます。

【個人】的な想い

人は生まれる時代を選ぶことはできません。生まれる時代は外的要因により決定してしまっていることであり、私の努力が及ぶ話ではありません。選べないならば、生まれた時代で最大の努力をするのが最善の策です。

私は学生時代、IT革命が既に起きており革命の時代に乗り遅れてしまったことに落胆していました。「自分は生まれてくる時代が遅すぎた。」と。しかしながら、日々の努力を怠らず準備し続けることで幸運は巡ってきます。そして、準備し続けた人だけがその幸運の前髪を掴むことが出来ます。私の場合は、幸運にも和田が仮想通貨事業をやると決断し、私は和田を信じて人生の選択をした結果、この発明の黎明期に携わることができました。これは非常に幸運なことです。仮想通貨の技術のようは発明は50年に1度あるかないかのことです。私はこの機会と和田に今後も賭け続けていく予定です。

たまに「和田さんと大塚さんは少ししたら辞めちゃうんですよね…」って聞かれることがあります。これは一般的なスタートアップのM&Aの時に創業者が会社売却して新しいスタートアップを始めるケースからそう思っている人もいるみたいですが、和田と私の中には少なくとも現時点ではそういう考えはありません。スタートアップを経験してみるとわかるのですが、成功要因の90%が大きな市場・伸びている市場に賭けることです。少なくとも私には仮想通貨市場以上に伸びる市場は見つけられていませんし、私の人生では、コインチェックが偉大な企業になる物語を作り上げることが自分の人生において重要だと考えています。今、足元のマーケットは決して楽観視できる状況では無いかもしれません。しかし、こういう時こそ自らの信念と向き合う時なのだと考えています。

私は小さい頃からの人生の目標として「歴史に名を残す」っていう個人的な目標あります。コインチェックを通じて「歴史に名を残す」ような社会的インパクトを出していきたいと思いますし、10年後、仮想通貨革命を牽引したのは日本であり、それは、こんな最高のチーム、こんな競合の強者たち、そして、こんな最高のユーザーたちと作り上げて来たんだぜ!って誇れるような仕事をしていけたらと思います。仮想通貨の未来を作るのは今を生きる私たちなのだから。

一緒に時代を作る仲間を募集しています。

コインチェックでは、仮想通貨の未来をともにつくる仲間を募集しています。みなさまからの応募お待ちしております。


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