正月のこと
ぼちぼちとやっていこうと思います。
土佐の小さな漁村では、今でも古い習俗が残っていることが多いのですが、それもコロナ以降は虫の息といった有り様で、今後記録できる機会も少なくなっていくのかもしれません。
さて、小正月になってしまいましたが、お正月のことです。高知県は中土佐町の小さな町では、暮れの28日頃からお正月準備が始まります。
正月準備
門松
「迎え飾り(飾り物を家に迎えてその日のうちに飾ること)」は葬式の野辺送りの飾りの作法なので縁起が悪いとされ、飾りつけをする前日までに諸々を用意します。
今年は暮れの30日に飾り付けを行ったので、「九(く苦)」を避けるということで、28日までには飾り物を用意しました。
まず門松を立てます。門松といっても全国的な竹を切った形のものではなく、樫の木の束を門口に一対置き、それに松と竹を合わせて立てます。
竹は28日に近くの山より切り出しました。
松は山でとることが難しいため、今年はスーパーで購入。
しめ縄も27日に綯いあげました。
門松に貼るしめ縄には垂れを一五三とつけます。通常の神事では七五三となるように藁を垂らしますが、正月のみは一五三にするらしい。
このような形で門松を立てる家もなくなりました。今はほとんどの家がこのような大根形のしめ縄を飾っています。
これを高知式とか言う場合もあるそうで、こちらのほうが「高知の伝統」になりつつあるようです。しかしこの高知式も、最近はリース型のしめ縄の台頭で数は少なくなっているかも……。
床の間
門松が立つと、次は床の間の準備です。
床の間には、専用の御膳を置いてその上に3合ほどの米を敷きます。そして、松竹梅とゆずり葉を刺した橙、干し柿、鏡餅、そして「掛けの魚(いお)」と呼ぶ干し魚を供えます。
輪じめ
床の間以外の神様には「輪じめ」と言う輪形のおしめと、ゆずり葉を敷いた小重ね餅を供えてまわります。
神棚、仏壇、荒神様、風呂場、便所、井戸など10箇所以上にお供えをして、お正月準備完了です。あとは年が明けるのを待つのみ。
元旦
元旦は、早朝からお雑煮を作り、各所にお供えします。雑煮は切り餅と水菜のみを用いたすまし汁です。御神酒も合わせて床の間に供えます。
各所にお供えをした後は、今度は人のお年取りです。床の間に供えた御神酒を家人がひとりひとり頂いて「お年をとり」ます。
数え年では、お正月に皆一律に年をとるのです。
そうして無事に今年も年を取れたのですが、その日の午後にまさかあのような大きな震災があるとは。
いつ何があるかわからないものです。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?