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日本の農業の仕組みを変えたい

自分には残りの人生で成し遂げたい夢/野望があります。
具体的にいうと、日本の農業の仕組みを変えて、時代に合ったより良いものにアップデートしたいということです。

このnote記事では、自分がなぜ農業に興味に持ったのか、また、これまでの経験/現体験によってどのように自分の考えが変わり、形成されたのかについて書いていきます。

日本農業の現状

まずは、そもそもなぜ日本の農業の仕組みを変える必要性があると自分が感じているのかは下記の3つの理由です。

・このままでは、持続不可能な農家さんの平均年齢と規模
・補助金への依存
・IT化への乗り遅れ

66.6歳。これは、平成30年の基幹的農業従事者(農業就業人口のうち、ふだんの主な状態が「主に自営農業」の者)の平均年齢です。そして、8年前は205.1万人だったが今では145.1万人と減少傾向を辿っています。(農林水産省)家族経営が主な日本の農業では、1人あたりの耕地面積が狭く、農業経営の大規模化で帳尻を合わせることも可能かもしれません。しかしながら、このまま体制では耕作放棄地の増加、農業生産高及び食料自給率の減少など日本の安全保障にまで影響する問題へとつながります。

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次に農業の補助金への依存です。もちろん、自然災害で被害を受けた生産者への補填、農機具の購入など補助金が必要な場面もあります。しかしながら、補助金ありきの営農に陥っている生産者も多く、本来の意味を発揮していないケースも実際見てきました。

最後に、最もIT化が遅れている産業は農業と言っても過言ではないです。手書きの伝票、長年の経験に頼った営農、手作業での集出荷など、いわば「時代遅れ」になってしまっているのが日本の農業です。最近ではスマート農業という考え方も登場しておりますが、費用面の障壁もあり、まだまだ浸透はしておりません。

この夢にたどり着くまで

そんな農業になぜ興味を持ったのか。農業とは直接関係はないが、明確な瞬間が1つあります。中国のアメリカンインターナショナルスクールに通っていた高校生時代に高校に通えない女子生徒の奨学金を集めるボランティア活動をしていました。当時の中国にはまだ1人っ子政策がありましたが、地方は農作業等への労働力確保も兼ねて子供を2人まで許す特例がありました。しかしながら、日本より家系を大事にする中国では、2人の子供が男と女だった場合、男の方に優先的に投資され、女の子は学校に行きたくてもいけないという実情がありました。

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そして、実際に奨学金を集めた女の子の親御さんに会った際に泣くほど感謝されて、発展途上国を初め、経済的に恵まれてない人たちのために何かしたいという想いが芽生えました。

その後は、
・大学1年生時に国際NGOでボランティア
・ボランティア活動を通して、初めて日本の地方の現状を知る
・休学して、岡山県和気町で地域おこし協力隊になる
・農家さんと一緒に作業することで、農業の魅力と問題に触れる
と自分の人生が大きく変わりました。

岡山で感じた農業

休学して地域おこし協力隊として活動していく中で、地方/農業の生産現場を自分の目で見ることができました。その中で、感じたのは、

・農家さんの熱い哲学
・細かい出荷基準が生み出す「規格外品」の存在
・経営的思考が求められなかった今までの農業

まずは、農家さんの素敵な考え方です。自分たちが生み出すものに誇りをもっており、お客様(消費者)に幸せを届けているということを原動力にしていました。特に、贈答用の桃・ぶどうの生産が盛んだった岡山県では、「お客様のお客様まで幸せにする」という熱い想いに感銘を受けました。

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一方で、生産現場で廃棄される/流通にのらない青果の多さには驚かされました。広く知られているものだと曲がったきゅうりがありますが、贈答用として販売される岡山県産の桃は虫刺され1つで売り物にならないと、段ボールにまとめて「加工用」として直場所まで一緒に運んでいました。農作業の合間に売り物にならない桃をよく食べていましたが、それはとてつもなく美味しく、感動と同時に悲しみと悔しさも芽生えました。

最後に、個人や家族の単位で経営されていて、自分が食べていくだけで十分という方が多かったです。もちろん、そのような農業の在り方は否定しませんが、農業を持続的な産業にしていくためには、より会社的に経営思考を持った農業経営体が増えることも不可欠だと思います。

東京で感じた農業

復学して東京に戻ってきても、自分の中での農業に対する熱は消えることはありませんでした。都内で八百屋を運営する株式会社アグリゲートという農業ベンチャーで「学生社員」として働く中で、他の農業系の会社の社長と話したり、市場で見学したり、実際に八百屋の店頭で接客したりすることで様々な知見と得ることができました。

・消費地に農産物を届ける秀逸な構造のメリット/デメリット
・一般消費者の農産物の購入基準
・農業に触れる機会がない生産地と分断された消費地

まず、一番変わったのは農業協同組合に対する印象です。メディアではよく農協批判を耳にしますが、自分がお世話になっていた農家さんの多くは農協を信頼していないという方が大多数でした。ただし、農業を見る視点を変えることで「消費地に農産物を供給する」という戦後設立当初の目的は多いに果たしています。また、「産地リレー」という形で時期に応じて産地が北上していく仕組みもあることで、安定的に新鮮な青果が年中食べれることが当たり前という社会にしているのです。

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そして、八百屋で接客することを通して、消費者のニーズを体感することができました。もちろん、有機や特別栽培の青果を求める比較的食にこだわった消費者も多くいましたが、一番多くの消費者の心に刺さっていたのが、「安くて美味しい」ものでした。(自分が働いていた八百屋では生産者が廃棄する規格外品を市場価格より安く仕入れることで、「安くて美味しい」青果を届けていました。)

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最後に、東京で生活していくなかで、都市部には農業に触れる機会が欠如していると痛感しました。スーパーの店頭にしか並んでいる姿しか目にしない青果には自分が感じた農家さんのこだわりは汲み取ることができず、年中新鮮な青果が溢れるほどある状態に違和感を感じました。

夢を実現するために

農業の仕組みを変えるということはかなり粒度の粗い、抽象的な夢です。
農業の生産、流通、販売と様々な段階において課題が散在する中で、全てを変える事は難しいかもしれません。とはいえ、想いをもっている農家さんの一人でも多くに役に立てるような仕事に携わっていくことで現場から日本の農業をより良くしたいです。

そして最終的には、日本の農業を変えることで地域に魅力的な産業創出し、魅力的な仕事があることでその地域にとどまったり、移住してくる人が増え、日本の地方もより良くすることができると信じています。

次回のnote記事では岡山県での他の経験も交えながら、地方創生をめぐる現状について言及します。

リンク
・http://www.maff.go.jp/j/tokei/sihyo/data/08.html
・http://agri-map.net/industry/seisan.html

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