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自費プラスチック製ルアーを作る


三浦半島の磯にて釣り上げた
ヒラセイゴ
sample無料配布モデル


プラスチック製ルアーを製作するまでの話。
でも、その前置きは長くなる。

記憶

ウッドのルアーを作り始めたのは6年前頃。
このウッドルアーを作ることが、釣り人生を豊かにしてくれた。
そして、現在プラスチック製ルアーを作るに至るまで、5年以上の歳月を要することになったこと。
そんな話をズラズラと書いてみる。

始まり


今やシーバスと云えば、ソルトルアーフィッシングのターゲットである鱸。
この鱸を追い求め始めたのは、20年以上前の話になる。
最初の鱸は、そう簡単に釣れる魚ではなかったということは覚えている。
シーズンを重ねる毎に、徐々に鱸と出会うことは増えていった。
そして、10回目のシーズンを迎える頃、ターゲットはヒラスズキへとシフトした。

磯へ通うことが増えてきたこともあるが、荒天の磯に魅せられたことも、この魚を釣りたいという気持ちにさせた。

苦戦のヒラスズキ

ヒラスズキを釣りたい。
目標は掲げたものの、なんとなくの行動が多かった。
三浦半島に在住の私からすれば、伊豆半島は遠かったけれども、ヒラスズキへの憧れは強く。伊豆の荒磯へ何度も足を運んだものだ。
しかし単純にサラシを攻めれば、ヒラスズキに出会えるんだろ?
そんな考えも乏しいシンプルな行動だったので、ヒラスズキを手にすることはなかなか出来なかった。

転機


マル鱸を追い求めて、よく通った三浦半島の小磯で偶然ヒラスズキと遭遇する。
その日は風が強く、サラシが広がる小磯を彷徨っていた。
小さめのトップウォータープラグで、マルを引き出そうとすると、水面を割って出たのは可愛いヒラスズキ(ヒラセイゴ)である。

このヒラセイゴとの出会いが、自分を釣り狂いに豹変させた。
まずトップウォータープラグで鱸を釣るということ。
この心臓に悪い、派手なバイトシーンに魅せられてしまう。
暫くトップウォータープラグにのめり込み。ヒラスズキとの出会いを楽しんでいた。
三浦半島でも、伊豆半島でも結果は同じく、トップウォータープラグはヒラスズキの胃袋を刺激させやすいルアーであると確信する。

フローティングルアー

一旦トップウォータープラグを離れ、フローティングルアーで釣ることを試みる。
しかし、この課題は難しかった。
巻物(フローティングルアー)では、なかなか釣れないのである。
リトリーブ速度なのか?
ルアーの動きが破綻するなど。
波の呼吸と、ルアーを繰り出すタイミングが合わない。 
様々な要素が、負の連鎖を生み出す。考えても解らないことばかりで、ただ淡々とヒラスズキに出逢うことのない日々は過ぎていくばかりだった。
でも実は、その答えはシンプルだった、それは…
メジャースポットばかりに焦点を絞って釣行していた為、ただ魚がルアーに反応しにくかったこと。もしくは、その場に魚は留守だっただけなのだと後々になって気がつく。
ゴロタや、小磯まわり。
それは三浦半島でも伊豆半島でも同じことが言えるが、ヒラスズキに出逢うのは、メジャーなスポットだけじゃないということ。
それに気が付いてからというもの
なるべく人の入らない(通り過ぎてしまう)スポットに焦点をあて釣行を繰り返すことで、ヒラスズキと出会うことは少しずつ増えてきた。

欲望

ヒラスズキに魅せられてから5年が経過する頃、突拍子もなく自分の作ったルアーでもヒラスズキを釣りたい。
そう思うようになった。

製作

ルアーを作る

これは本当に、簡単なことではなかった。
ルアー製作については、解らないことが多い。
そもそも、なぜルアーは動くのか?
そのことも知らなかったのだから。
『見よう見まね(形状の模倣)』をすることで、なんとなくルアーは作れる。
でも決して満足するものは作れない。これが正直な感想である。
ヒラスズキを釣ることを目標に作るルアーは、サラシの中で揉まれてもルアーの動きが破綻してはならない。
しかし作ったルアーは、全て容易にルアーの動きは破綻する。
そうルアーを理解してないから、こうなる。

考える

そもそも、なぜルアーは潜ることが出来るのか?答えられなかった。 
まずそこから考えなければいけない。
それを理解しなければ、ルアーの製作はこれ以上進まないという考えに至った。 
なぜルアーは潜るのか?
安易にリップがあるから? 
それは正解だけど、その答えは『なぜルアーが潜るのか?』ということの2割ほどの答えでしかないということに気が付いた。
その答えを探すために、色々と違う角度からルアーを考察した。

ルアーの動きは破綻する

ルアーの製作を続け。試作モデルを20個以上作るが、想うようなルアーは作れていないことは確かだった。
普通には動く。でも作ったルアーでは、速い水の流れを横切ることは苦手なままであった。

ここで、更にルアーの特徴を知ることになる。

特徴


ルアーを詰め込むケースの中身のこと。
釣行する毎に様々な種類のルアーが、ケースに押し込まれていることだと思う。
かくいう私もそうだった。
『備えあれば憂いなし』
話に聞いたルアーや、何の根拠もなく釣れると感じたルアーを頼るばかりに、同じような動きをするルアーをケースに詰め込んでいたことも知らずに、釣行していた。

ルアーを選ぶ理

『この条件なら』

どんなルアーを現場で、セレクトするのか?
要するに立ち位置である。
ルアーは、投げた先(着水地点)から、竿先までしか戻れない。
そう、ある一定の方向へしか向かわない(立ち位置によって決まる)
その竿先にルアーが戻るまでの間に、水の流れを横切るほどルアーのアクションは破綻しやすくなる。
これはルアーの動く仕組み的に仕方のないこと。
そのアクションの破綻について。

アクションの破綻

リップが、ルアーをアクションさせる力の限界を超えると、ルアーのアクションも限界を超える。

速くリトリーブするほど、ルアーのアクションは大きくなる。
着水後リトリーブを始めることでルアーはアクションを始め、徐々にリトリーブ速度を速くするほど、そのアクションは次第に大きくなる。
更に、速くリトリーブするほどアクションは破綻しやすくなる。
そう出力を表す波形グラフのように、リップがルアーをアクションさせる力にはピークがあり。
そのピークを過ぎると、更にアクションは大きくなり始める。
難しい話になりました。
ただ簡単に言えば、ルアーを動かす動力はリップにあり。
このリップにはルアーを動かす限界があるということです。

『ルアーを選ぶ理』に話を戻すと、ルアーは速くリトリーブするほどアクションは大きくなる。
それ以外にも、水の流れを横切るほど(川のような流れを横切るほど)ルアーのアクションは大きくなります。
この流れに対応しやすいルアーと、対応しにくいルアーはある。
そして、山なりの波形グラフの山が高いほど、リトリーブ速度や、流れを横切るルアーの動きは破綻しにくくなる。
ルアーの特徴は、水の流れを横切らせることで解りやすくなる。
『流れの速さ』『流れを横切る時のリトリーブ速度』
サラシ場では、この特徴を見極めることは重要です。
『立ち位置で』
『流れの速さで』
使いやすいルアーを選ぶ。
同じような特徴のルアーでは、意味がない。
変化をつけることで、ヒラスズキに出逢うチャンスを増やす。

水の流れ

ルアー製作まで話を戻すと、私の作った20個ほどのルアーは、流れに強くなかった。
なので更にルアーの動く仕組みを考察する必要があった。

特許の取得

自分の中で、これほど物事を一生懸命に考えたことはない。

なぜ流れを横切るルアーのアクションは破綻するのか? 
考え込んだ…。
ふと浮かんだアイデアを試す為に、またルアーを作る。
こんなことを何回も繰り返した。
try&error…こうして実感することでルアーを覚えていく。
すると『ルアーの動く仕組み』の理解は深まっていった。

そして、ついに辿り着いた。
流れに強くなる方法を。
このアイデアにカッコイイ名前は無い。
スリット加工を施すだけ。
ルアーの頭部下に(頭部底面)スリットを彫る。
この効果によって、流れを横切るルアーの安定感は向上した。
その効果を動画で眺めても、伝わることは少ないだろうと思う。
ただ確実に、その効果は結果として現れることになる。

ルアーは本質的に、流れを横切ることでリップの力がピークを過ぎるほど、竿先へ戻るルアーの軌道は直線的になり。
リップの力がピークを過ぎるほど潜行深度は…徐々に浅くなり。
そして、アクション(ロール)が大きくなる。
けれども
スリット(特許)を加工することで流れを横切るルアーのアクションは安定しながらも、更に勝手に水の流れに馴染みやすくなる(ドリフトなどと云われている、水の流れにルアーが同調する効果を発揮する)
このアイデアの特許を出願し、取得することになった。

https://youtu.be/RGSnuqvarlM
川の流れを横切るルアーの動画を張り付けますが、興味があったら覗いてください。

この効果を理解して頂けるのは、ルアーを作っている方や、流れを意識して釣りしてる方々に限られることかも知れません。

ルアーの動く仕組み

ルアーの動く仕組み。
なぜルアーが潜ることが出来るのか?その仕組みとは?

ロール・ウォブリング・ウォブンロールの違いとは?

潜行深度とリップの角度の仕組みとは?
動き(アクション)の特徴とは?

などルアーの特徴を記した『ルアーの動く仕組み』という本を1度は書いてみたけど、その本を書くという才能は自分にはなく。
上手にルアーの動きを文章で伝えることが出来なかったので出版は、諦めかけている。
もしも、ルアーを作って遊びたい人がいれば気軽にアクセスして下さい。
お望みのルアーを作る手助けにはなると思います。

でもルアーを作ることをサポートするにも『どんな動き?』をするルアーを望むのか?
それを知らないと、望むルアーの作り方を伝えることはできない。
ただ動けばいいのであれば、既存のルアーを模倣するだけでも動くルアーは作れる。
でも実用的な望んだルアーを作りたいけど、どうすればいいの?
と迷っているなら、サポートさせて下さい。

例えば)
速く巻いた時のアクションが派手じゃなく』
『潜りにくい』
『流れを意識しない』
その反対に)
『ゆっくり巻いた時のアクションは派手じゃなく』
『潜る』
『流れを意識する』

その中間)

アクションも、2つのパターンに分けられます。
『X字』タイプ『Y字』タイプ
この2のアクションの好みなど

ルアーの動く仕組みについて、な話が長くなってしまいました。
そろそろ、うんざりしてきたと思います。
この辺で、好き勝手に書いた記事を終わりにします。

釣りを楽しんでいる全ての方へ、
いい週末を

ここまで読んで頂いた方へ、
ありがとうございました。

次回は、この記事の反応次第で
プラスチック製ルアーの自費開発のことを書いてみたいと思う。


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