ライブハウスが今するべきことは

はじめに、
これを読んでいる方で、ご存知ない方がいるかもしれないのでご説明します。

わたしは、4月に東京・下北沢で新しいライブハウス兼CLUBを開店する、その場所の店長のひとりです。

店名はLIVE HAUS、リヴハウスと読みます。

店に関しては、詳しくはこちらをご覧いただけたらと思います。

新型コロナウイルスの感染拡大について、世界的な流行を意味するパンデミックが宣言されました。
高齢者の重症化のリスク。ライブハウスでのクラスター(集団感染)の発生。日本と各国との温度差。
現場にてプレイをしているDJ・音楽家からも、今は営業を止めるべきだという苦渋の判断が聞こえてきています。
今朝、IOCの委員が東京オリンピックの最低1年の延期を述べたという報道がありました。

それを事前に受けてかどうなのかは分かりませんが、
小池都知事は、これから3週間がオーバーシュート(患者の爆発的急増)が発生するかどうかの大変重要な分かれ道だと言い、感染拡大を防止するため、
・換気の悪い密閉空間
・多くの人の密集する場所
・近距離での会話
これらの、感染の高リスク3条件が重なる場所を避けるよう自粛を呼びかけました。
具体的には、ライブハウス、クラブ、スポーツジムなどの利用、イベントの自粛をお願いしたいということでした。
自粛要請は、あくまで自粛なので、自己責任ということになります。

これまでは政府も都政も、オリンピックの開催をなにより第一に考えているように個人的には見えていました。
しかし延期となれば、リミッターを外して、首都を閉鎖し感染の拡大を防ぐような措置を取る可能性もあるかもしれません。

東京閉鎖、一ヶ月前までは想像もしていませんでしたが、感染拡大の不安を払拭するためには選択肢のひとつだと感じるようになりました。

それでなくとも、感染のリスクの高い場所限定の閉鎖は考えられます。

ライブハウスでの感染が報道されたときに、
「じゃあ満員電車はどうなんだ」と私も思いましたが、ある意味でなすりつけ合いというか、問題の解決には至らず。

そんな中で「ライブハウスを守る」という声をあげてくれた方もたくさんいて、自分も同じ気持ちなのですが、これも今の現状でいくと感情論になっているのかもしれません。

オープンは4月9日。日が迫っている。
こんなときに、ライブハウスを開店するなんて、、とてもクレイジーなことだと思います。
このプロジェクトは年末から進んでいて、甘いかもしれないですが、今の状況は誰も予想していませんでした (むしろ誰か予想できたでしょうか、、)。

一日一日状況が変化していくなかで、
今日現在の気持ちとしては、

「閉鎖指示があれば、それに準じ、同時に必要な補償を国に求める。それまでは店を開け続ける、なぜなら適切な補償がないから。」

とはいえ、クラスターの発生を防ぐことが今一番大切なことだというのは逃れらない事実だと思います。

今一度挙げますが、感染の高リスク3条件、

・換気の悪い密閉空間
・多くの人の密集する場所
・近距離での会話

これにライブハウスやCLUBは当てはまります。
というか、そういう場所で、ずっとそうでした。

ダンスをすることや、杯を交わすこと。
大きく口を開けて歌うこと、誰かと隣り合い音楽を聴くこと。
それは、この場所の在り方の根本です。

この価値を変えることが答えではないと私は思います。

新型コロナウイルスが収束すれば、何もなかったかのように、元のその姿に戻れる?

収束するのをじっと待っているような感じ。

いや、
収束したとして、問題が解決していない。

この文化の尊厳を踏みつけられ、晒し者にされたこと、忘れられません。

ライブハウス・CLUBを取り戻す。
ならば、こちらから踏み込んだ対策をしたいと思い至りました。
(アルコールを置く、とかだけじゃなくて)

それは、これからのライブハウスやCLUBの在り方を考えることでもあります。

今は営業をしないことが最大の攻撃であり防御であることはもう周知の事実かもしれません。
しかしながら、オープンしなければ、開店を前にしてこの店は潰れます。
※日本政策金融公庫が感染症の特別貸し付けを行なっていますが、直近1ヵ月の売上高が減少していることが条件で、これからオープンする私たちの店は対象外です。

そして、この状況化においてなお、イベントを開催して頂けるオーガナイザーさん、出演者さん、お客さんが納得してくれる対策を講じることが、唯一出来ることだと考えました。

感染のリスクが高い場所なのだから、どの施設よりもリスクと向き合う。

LIVE HAUS confronts COVID-19.

リヴハウスで現在検討している感染症対策を説明します。

まずは入場時、体温検知カメラによる温度チェック。37.5度以上の方は心苦しいのですがお引き取り願います。
お金の受け渡しのあと除菌。これには主にアミノエリアというスプレーを使用したいと思います。大豆アミノ酸が主成分でノロウィルスやインフルエンザにも効果を発揮しています。
エントランスの扉、トイレの扉、レバーなど不特定多数が触れる箇所には接触感染対策テープを貼ります。このテープは汚れても機能自体は消失しません。
これらは、設備による濃厚接触を防ぐために使用します。
換気の悪いホール内への導入を検討しているのが、業務用の次亜塩素酸 空間除菌脱臭機です。食塩水を電気分解することで次亜塩素酸(電解水)を生成。その次亜塩素酸(電解水)を含浸したフィルターに汚れた空気を通過させる「気液接触方式」で汚れた空気を除菌・脱臭します。また、揮発した次亜塩素酸が付着菌を抑制します。
ふたつ目が、医療施設にも多く導入されている紫外線殺菌装置です。
天井面に紫外線の層をつくり、そこを通る空気を殺菌する空気感染対策用装置です。
紫外線の中でも高い殺菌効果を持つ「UV-C」ランプを使用しており、インフルエンザ、ノロウイルスなどのウイルス、結核菌などの細菌類、黒かびなどの真菌類にいたるまで、すべての菌に対して有効です。また紫外線が菌の核を直接死滅させるため、耐性菌が出てこないのも大きなメリットです。空調や人の出入りなど屋内で起こる空気の自然対流を利用して、空間全体の浮遊菌に1年を通して優れた効果を発揮します。
このふたつに関しては在庫確保次第導入になりそうです (解説、メーカーから引用しています)。
ライブで使用するマイクのグリルボールですが除菌スプレーはもちろん、殺菌線消毒保管庫を使用し、殺菌線の照射により殺菌を行います。また、スタッフは、日に3度の体温チェックを行い、出勤中はマスクの着用、抗ウイルス・抗菌スプレーの徹底、医療用手袋の着用/交換を行います。

以上がリヴハウスで現在検討している感染症対策です。順次導入、在庫により変更もあるかと思いますが、高いレベルの対策に努めます。

私たちは、店をつくるにあたり、
”これからのライブハウス/CLUBをつくる”
“LIVE HAUS = 生きる家”
というテーマを掲げてスタートしました。

感染症のリスクという新たな壁に対しても立ち向かうのが生きる家の証だと考えています。

それで、

最後に声を大にして言いたいのが、

「感染症対策バッチリして、死ぬまでライブハウスやCLUBで遊べたら最高っす!!」

そのために今があるのだと思います。

世界中にいる、venueを愛する皆さま、
この暗闇を抜ければ、音楽が待ってる。
元気出していきましょう。

LIVE HAUS 店長のひとり 
スガナミユウ

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