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ライブハウス/クラブは、「配信は代替にはならない」と主張をするべき。

スガナミユウ

問題を整理したい。

ライブハウス/クラブは、どういった場所か。

“人が集い、音楽を楽しむ場所”

表現の違いはあれど、ライブハウスやクラブに通っているひとにとっては、その意味は揺るがないと思います。

コロナウイルス終息まで、時間をかけて、その根源的な価値に戻るべきで、配信ライブをはじめとするこの期間のあらゆる努力は、副産物としての収穫であり主たる存在価値ではないということ。

音楽業界はこの数ヶ月間、今できる術として配信に乗り出し、メディアは一握りの成功例をポジティブな動きとして取り上げてくれた。

そして、文化芸術における行政の支援策のほとんどが配信にかかる費用の援助になった。
感染拡大防止の狙いも込みで。

政府は赤字の補填はしない。キリがないから。
そこで、新規事業支援として配信というのはすごく都合がいい。そこを突かれた。

政府は補償という言葉を避ける。
あくまで未来への投資。
その間に、補償なき自粛を迫られたいくつものライブハウス/クラブが閉店に追い込まれた。

各省庁は国の予算を引っ張るために尽力した。

経産省は、“グローバルコンテンツ事業の推進”という建て付けを使い、配信などの支援策を用意した。
文化庁は、年間の予算の半分にあたる規模の補正予算を財務省から取り付けた。
しかしながら、文化庁の支援にライブハウス/クラブが含まれるかどうかは決定していない。
これは行政の縦割りによる管轄が大きく影響していて、
この国では、ライブハウス/クラブは、文化芸術の担い手として認められてこなかった。
ミニシアターも同様だ。
事業者としての側面だけを見られ、文化庁の支援の枠組みからは外されてきた。

そして、それらの複合的な要因が重なり、
行政と私たちのボタンの掛け違いが始まる。

何度も国会議員や省庁と話してきましたが、
行政はコロナ禍において、生の芸術やエンターテイメントのビジネスモデルとして、配信が成立すると考えています。

本当は、2月から続く赤字の補填と自粛要請による補償を求めていたはずだったのに。

例えば、老舗の小さなジャズ箱がどれだけ配信にフィットするでしょうか。
配信そのものについていけないひとや場所が出てくることを考えてほしい。
ライブハウス/クラブは、新たな才能を見出す場所で、知名度のないアーティストの有料配信を誰が観るでしょうか。

配信は、人気とコネクションが大きく左右し、技術面、権利関係のハードルが高い。
すでに生き残りをかけた競争が始まっている。
この誰の責任でもないコロナウイルスの影響のなかで、私たちは知らぬ間に新たな事業への競争を強いられている。
デジタルに対応できないひとや場所を取り残さないでほしい。

配信は音楽の灯を消さないためであり、すべてのベニュー、関係者、アーティスト・フリーランスを救うものではないということ。

ファイナル・メディアとして、そこに賭け続けてきたDOMMUNEのようにはなれない。

配信は出来るなら大いにやったほうがいいし今後にも繋がる。
ただ、新しいモデルとして打ち出していくと、世間や行政は、音楽業界はそれで大丈夫なんだ、となる。

経産省のJ-LODlive、文化庁の緊急支援パッケージ、地方公共団体の独自案。

どれを取っても、配信などにおける費用の援助が主たる目的だ。

例えば配信ライブは、全国ツアーが一本で済んでしまう。

思い出してほしい。

アーティストが土地土地へ行くことで、ライブハウス/クラブが店を開けられる。
従業員/フリーランスが仕事に就ける。
ひとが集うことで、
周りの飲食店など地域が活性化する。
毎日違うひとたちが、違う公演を求めて集う。
ツアーでなくとも、
毎日のイベントが継続的な雇用を生み、
地域の経済に貢献している。

これは、ミニシアターや劇団の地方公演など、生で体感する芸術全般に言えると思います。

東京都でも6月19日から、ガイドラインに沿う形でライブハウスの自粛要請が解除されます。

行政には、新規配信事業の支援が主眼ではなく、
間引き営業/縮小営業への補填など、
生のエンターテインメントへ戻るためのサポートを切に願います。

ps.
この文章は、配信への努力や可能性を否定するものではありません。
配信では置き去りにされてしまうひとたちがいることと、行政へライブハウス/クラブへの根本的な理解を求めています。
(6月13日追記)



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