SaveOurSpaceでの活動を振り返る 第一回 番組制作編

SaveOurSpaceやWeNeedCultureの活動は、大きく分けると4つあります。
自分が参加した範囲でこれまでの活動をそれぞれまとめてみようと思います。

省庁・政党要請編
番組制作編
署名活動編
メディア・世論喚起編
の計4回です。

第一回目は『番組制作編』です。
※紹介する番組はフライヤー画像のクリックでアーカイブへ飛べます。

今回意味している番組制作というのは、記者会見や、DOMMUNEやChoose Life Projectと共同で行った配信番組を指します。

WeNeedCultureの活動の中でも、SaveOurSpaceチームは世論喚起や番組制作の担当を任されることが多いです。

番組など作ったことがなかったので未だに毎回勉強中で、色々と至らないことも多いのですが、
たしかに普段からライブイベントやパーティーなど公演の制作を行なっているメンバーも多いので、それが活かされるところでもあります。

そうなんです。やってみて思ったのが、ライブイベントやパーティーのオーガナイズに似てるんです。正解かどうかは分からないですけど!(多分間違いなんでしょうけど!)

その日のテーマ、出演者のブッキング、タイムテーブル、サプライズや仕掛け、トッパー、イベントのサビ、アフターアワーズなど。
パーティー用語とごっちゃに書きましたが、つまりそういう考え方。
トッパーはイベントの空気を立ち上げるDJのこと、番組の始まりはすごく大事ですよね。
出演者の組み合わせ、バランス感覚はまさしくパーティーのラインナップそのものの考え方。
ビデオメッセージやテロップなど、飽きさせないような展開を作ったり。
出演者が多い日は、フェスのような気分です。
イベントにしろ、番組にしろ、それがひとつの主張や表現の塊だと思っていて、音楽のイベントをなかなかオーガナイズ出来なかったこの1年、もしかするとそういった欲を埋めてくれていた活動だったのかもしれません。
もちろん、楽しい内容というよりは、大変な状況を伝える番組作りではあったのですが、終わった後の達成感は、良いパーティー明けの朝焼けの如く気持ちの良い瞬間でした。
なにより、みんなで協力して作っていく作業が文化祭みたいで楽しいんですよね (文化祭にほとんど参加したことはないですが多分そういうことではないでしょうか)。
いつもバタバタで、裏側はメチャクチャなSaveOurSpaceチームの番組作りですが、すごく良い内容の番組がアーカイブとして残っていますので、是非ご覧ください。

それでは、これまでに制作に携わった配信番組を振り返っていこうと思います。

最初の配信は、SaveOurSpaceの記者会見です。

SUPER DOMMUNE
2020/03/31
「#SaveOurSpace」
新型コロナウイルス感染拡大防止のため営業停止を行う文化施設に対する助成金を求める記者会見

登壇者:
篠田ミル、スガナミユウ(LIVEHAUS) 、Mars89、 Licaxxx


30万筆以上の署名を背負って臨んだ記者会見でした。この頃の自分は署名活動や要請行動、記者会見など全くの無知で、一つ一つがとても新鮮でした。SaveOurSpaceの初期メンバーで番組作りに慣れているひとがいて、自分はほとんど登壇者として参加するだけでした。
感染が拡大して、記者を集められない状況だったため、DOMMUNEで記者会見をして配信をしようというアイディアでした。
登壇者もソーシャル・ディスタンスを保ち、感染防止を徹底して行いました。
この配信の後、DOMMUNEは記者会見ブームに。SaveOurSpaceも度々お世話になります。
会見の2時間くらい前に、渋谷PARCO近くのカフェバー”人間関係”にメンバーで集まったのを憶えています。
みんなPCなどを取り出して、スピーチの台本作成やメディア対応など黙々と作業をしていて、カッコいい、、と思いました。
会場に着くとあっという間に放送の時間が迫ってきましたが、みんな慌てず、自分の役割を瞬時に掴んでいて、能力がとても高いんだなと感心していました。
自分はとりあえず出来ることをしようと、登壇に向けて腹を決めました。

会見は、冒頭の篠田ミルくんの宣言が素晴らしいので観てほしいです。
ミルくんにしろMarsくんにしろ、とても聡明な人たちで、SaveOurSpaceで一緒に動くようになって衝撃を受けました。
自分は泣きそうになりながら言葉を発していたのを憶えています。全然上手く喋れませんでしたが、本当にどうにかしたいという気持ちを言葉に詰まりながら話しました。カメラから目を離さずに喋ろうとだけ決めていました。
チャットで、自分の容姿について「パーマは誠実じゃない」というコメントがあったことを聞いたときは、思わず笑ってしまいました。あれでも髪を切り綺麗にして登壇したつもりでした。ムズイ!


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次に番組を行ったのは、様々な業種、立場を超えて集まったSaveOurLifeの記者会見です。
青山にあるライブハウス「月見ル君想フ」をお借りして、DOMMUNEの配信チームに乗り込んでもらうカタチで行いました。
SaveOurLifeは、署名数こそ前回より少なかったものの、SaveOurSpaceの活動の中でも誇りに思っている運動のひとつです。
この頃は緊急事態宣言の真っ只中で、皆不安を抱えて暮らしていたのを思い出します。
手伝いの呼びかけに集まってくれた人たちとSaveOurLifeの活動チームを編成して、皆んなで死にものぐるいで奔走したのを憶えています。
沢山のひとたちと繋がったこの運動の集大成としての記者会見でした。

「日本に住むあらゆる人々の暮らしと職を守り、継続的な支援を求める記者会見」
日時 : 5月7日 11:45開始 16:00終了予定
主催 : SaveOurSpace
配信 : DOMMUNE

[登壇者 ※リモートでの参加を含む]
スガナミユウ (ライブハウス・クラブ LIVE HAUS/SaveOurSpace)
篠田ミル (音楽家/SaveOurSpace)
北條誠人 (映画館 ユーロスペース/SAVE the CINEMA)
中津留章仁 (劇団TRASHMASTERS主宰/劇作家)
鈴木将 (カルチャー・オブ・エイジア
スペース事業部 部長/clubasia店長)
西形公一 (池袋ロマンス通り商店会 副会長)
會田洋平(飲み屋 えるえふる)
飲食店店主 (匿名参加)
出ッ古直美(Strawberry jams 株式会社代表取締役社長)
K.E.I. (美容室 OOO YY)
ありさ22, 東さゆり(笑えるナースコミュニティ
𝐅𝐮𝐧𝐧𝐲
Nakayama Yoshiko(非常勤講師)
寺田 (保育士)
佐伯秀行(障害児通所支援事業 まーぶる株式会社)
甲賀 香織 (一般社団法人日本水商売協会)
ホストクラブ関係者 (匿名参加)
げいまきまき (セックスワーカーの労働と健康を応援する団体 SWASH)
妃 咲姫 (LGBTセックスワーカー)
太賀 麻郎(プロジェクトSEXワーク相談役)
春日空 (入管問題についてのさまざまな活動を行う個人有志の集まり #FREEUSHIKU )
奥田知志(ひとりにしない支援 NPO抱樸/牧師)
安藤裕 衆議院議員 (自民党)
逢坂誠二 衆議院議員 (立憲民主党)
小池晃 参議院議員 (共産党)
福島みずほ 参議院議員 (社民党)
※順不同
司会 Nozomi Nobody (音楽家/SaveOurSpace)



すごい数の出演者、、
まさにフェスの勢いでした。。

会場は登壇者入れ替え制で行いました。

司会はSaveOurSpaceのNozomi Nobodyさん。司会の経験はほとんどないだろうに、とんでもないことをお願いしてしまったなぁと今も思います (この後、司会をNozomiさんにお願いする機会が多くなる)。
SaveOurSpaceの記者会見から一ヶ月、この配信から自分は番組制作の責任者的な立場になりました。放送は五時間超えのフルボリューム。配信が始まってからも、飛び込みの出演者やらテキストメッセージやらリアルタイムで進行が追加されるような状態。
番組制作会社にお願いしたらむちゃくちゃキレられるような案件なんだと思います。

でも、なんか出来たんですよね、司会のノゾミさんもチームの皆んなも。
火事場のクソ力ってやつですね。

登壇者の中で特に印象に残っているのは、セックスワーカーの労働と健康を応援する団体 SWASHのメンバー、げいまきまきさんのスピーチでした。
決して流暢に話をしているわけではないのですが、言葉の重み、声、ひとつひとつの所作に、胸を締め付けられるような気持ちになります。
危機的な状況に直面したときのこの国の行政の脆さというものが、あらゆる面で浮き彫りになった会見だったと思います。
歴史的会見だと思いますので、観て頂きたいです。本当に長いので、少しづつでも。
自分の最後のスピーチは、ライブハウスだし、大きな声を出していこうと思い、ライブのような気持ちでやりました。
スピーチ後DOMMUNEの宇川さんに、「スガナミくん、出馬するか、教祖になった方が世の中救えるんじゃない?」と完全な冗談で言われましたが、褒め言葉なのか分かりませんでした(笑)。
何ヶ月も声量など出してなかったので、大きな声を出せたのは嬉しかったです。
元気出していこう、と言い聞かせるように。

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SaveOurLifeの配信で勢いづいた私たちは、WeNeedCultureの2daysキャンペーンのDOMMUNE編を仕切ることになりました。SaveOurLifeの主要チームがそのまま手伝ってくれました。
小泉今日子さんや渡辺えりさんにスタジオ出演をして頂いた、「#WeNeedCulture at DOMMUNE」〜文化芸術復興基金をつくろう、です。

SUPER DOMMUNE
2020/05/22
「#WeNeedCulture at DOMMUNE」〜文化芸術復興基金をつくろう

出演:小泉今日子、スガナミユウ、土田英生、渡辺えり、宇川直宏(DOMMUNE)
司会進行Nozomi Nobody
リモート出演:浅沼優子、井浦新、大友良英、
川瀬陽太、Jee YoungBang、田中要次、DJNobu他(50音順)
主体:SaveOurSpace、演劇緊急支援プロジェクト、SAVE the CINEMA
MOODOMMUNE#16 MOODMAN PLAYS THE 日本文化 ONLY SET!!!
SPECIAL DJ : MOODMAN (GODFATHER、
SLOWMOTION) BROADJ#2860

 
番組クレジットには載っていないですが、この他にも沢山の映画関係者・舞台関係者にリモート出演頂きました。海外からのビデオメッセージも届き、日本のカルチャーに対する愛と連帯を感じました。

番組後半は、俳優陣による朗読の時間を設けました。ユーザーの皆さんから事前に頂いた、音楽・映画・演劇に対する気持ちを代読して頂きました。
このコーナーが素晴らしかったので是非観て頂きたいです。

小泉さんや渡辺えりさんを迎えるにあたり、DOMMUNEであれど、プロの方々へスタジオ出演して頂くということは、TV番組のようなホスピタリティを求められるのではないかと戦々恐々としていたのですが、出演して頂いた皆様からは、なにも気にしないでくださいと臨機応変に協力してくださり、大好きになってしまいました。利害関係のない中で集まっているからこそ生まれる、上下のない連帯があるんだなと感じました。

最後、SaveOurSpaceチームだけが残ったフロアでMOODMANさんのDJで踊ったのを憶えています。
大きな音で音楽を体感する喜びと、良い番組になったことへの安堵、それぞれが何を語らずとも、そんな気持ちを皆んなで共有できていたような瞬間でした。

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2021年に入り再びの緊急事態宣言。要請行動も再び活性化し、世論喚起の一環として、また番組をやろうという話が立ち上がります。

ひとつは、WeNeedCultureで行った2度目のDOMMUNEです。

WeNeedCulture at DOMMUNE
#失くすわけにはいかない
2021年2月18日木曜日
18:00放送スタート

*手話通訳・UDトークによる文字支援あり
【出演】順不同
あっこゴリラ (ラッパー / ラジオパーソナリティ)
綾門優季(劇作家・演出家)
今泉力哉 (映画監督)
小川紗良 (俳優・映画監督)
笠原恵実子 (美術家 / art for all)
加藤梅造(ロフトプロジェクト社長 / SaveOurSpace)
川久保ジョイ (美術家 / art for all)
キュンチョメ (美術家)
斎藤工 (俳優)
島田桃子 (俳優 / ロロ)
しりあがり寿 (漫画家)
スガナミユウ(LIVE HAUS / SaveOurSpace)
スプツニ子!(美術家)
瀬戸山美咲 (劇作家・演出家 / 演劇緊急支援プロジェクト)
田中功起 (美術家)
玉置周啓 (MONO NO AWARE)
津田道子 (美術家)
中村公彦 (コミティア代表)
Naz Chris (DJ / 一般社団法人JDDA理事・クラブとクラブカルチャーを守る会 / #SaveTheDance)
西原孝至(映画監督 / SAVE the CINEMA)
福島明夫 (青年劇場代表)
深田晃司 (映画監督)
堀潤 (ジャーナリスト)
馬奈木厳太郎(弁護士・プロデューサー)
水谷八重子 (俳優)
モロ師岡 (俳優)
湯川れい子 (音楽評論家)
パノラマティクス齋藤精一 (クリエーター)

<LIVE>
寺尾紗穂
<DJ>
「レッツゴー・ヤ〜ング?」チーム(多胡!・美和子・ワタル・小西康陽)
Mars89
<司会>
Nozomi Nobody (シンガーソングライター / SaveOurSpace)
<ビデオメッセージ>
七尾旅人 (音楽家)
SKY-HI (音楽家)
入江悠 (映画監督)
宮島達男 (美術家)
森村泰昌 (美術家)

<メッセージ寄稿>
いとうせいこう
加藤登紀子 (音楽家)
細美武士 (ELLEGARDEN、the HIATUS、MONOEYES)
大九明子 (映画監督)
小林エリカ (美術家・文学作家)


WeNeedCultureは音楽・映画・演劇に加えて、美術の団体が合流しました。
各ジャンルを愛するユーザーの方々へ、今一度文化芸術の危機を伝えるために番組を行いました。
今回は、実演を多く入れたいと考え、寺尾紗穂さん、小西康陽さん(レッツゴー・ヤ〜ング?チームにて出演)、そしてSaveOurSpaceの発起人メンバーでもあるMars89くんにお願いしました。
音楽のジャンルや世代の振れ幅も意識して、まさしく音楽イベントのブッキングのような組み方をしました。

手話通訳・UDトークによる文字支援。
今回、この意義もとても大きいものでした。
寺尾紗穂さんと手話通訳の方の共演が素晴らしいので是非ご覧ください。
手話の方、事前に歌詞と曲を聴き読み込んで準備してくださったようで、おふたりの伝えようとする力が融合した、美しい瞬間でした。まさしくこれこそが、WeNeedCultureなんだと思います。
他にも見どころ沢山なんですが、番組最初のセクション、湯川れい子さん、あっこゴリラさん、Naz Chrisさん、堀潤さんら4人によるトークの熱量。
番組後半のセクション、劇作家の綾門優季くんとバンドMONO NO AWAREの玉置周啓くんの邂逅が良い瞬間でオススメです。

番組フライヤーは、美術家の田中功起さんに作って頂きました。上がってきたフライヤーの洗練されたシンプルなデザインを見て、あらためWeNeedCultureに参加して頂く美術家の皆さんを調べたところ、作品がすごい方ばかりで、WeNeedCultureとしても今後の活動がより楽しみになりました。

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そして翌週、間髪入れずに、#失くすわけにはいかない 音楽編をChoose Life Projectと共同で行いました。

「音楽の現場、もう限界です」
#失くすわけにはいかない
presented by SaveOurSpace × Choose Life Protject
2021.02.27 土曜
20:00 ON AIR
司会
小島慶子
出演 ※順不同
浅沼優子 (音楽ライター / ブッキングエージェント)
角張渉 (カクバリズム)
加藤梅造 (ロフトプロジェクト)
加藤修平 (音楽家 / NOT WONK)
スガナミユウ (LIVE HAUS)
曽我部恵一 (音楽家)
ダースレイダー (音楽家 / ラッパー)
高崎亮 (SMASH)
丹正功一(岡山 YEBISU YA PRO)
中込智子 (音楽ライター)
西片明人(SPC peakperformance代表 / 東北ライブハウス大作戦本部長)
Nozomi Nobody (シンガーソングライター)
平山善成 (クリエイティブマンプロダクション)
山田佳緒里 (LIQUIDROOM)

あんどう裕 (衆議院議員 / 自由民主党)
吉良よし子 (参議院議員 / 日本共産党)
入江のぶこ (東京都議会議員 / 都民ファーストの会総務会長)

ビデオインタビュー
lutz leichsenring (clubcommission / berlin)


短い時間ながら内容がギュッと詰まった良い番組になりました。もっと個別にゆっくりお話を聞く配信もしたいと終わった後にメンバーと振り返りました。
照明のフリーランスの方から頂いたテキストに胸を締め付けられる思いになりました。
SaveOurSpaceを手伝ってくれている浅沼優子さんによる、ドイツの即時支援のレポートは、日本の課題が見えてくる重要な内容でした。
篠田ミルくんとも企画段階から一緒に番組制作をやれて、Mars89くんもそうですが、SaveOurSpaceの発起人メンバーとまた色々と動ける機会が増えて個人的にはとても嬉しいです。
Choose Life projectは、配信プロジェクトとしてとても意欲的で、毎回のテーマもさることながら、進行の組み立て、テロップ出しや、出演者との連携まで、どんどんアップデートされていっています。
DOMMUNEもそうですが、こういった独自のメディアというものを、私たちは大事にし、共に成長していくべきだと感じました。
本当に感謝てす。
悔やまれたのは、出演する第二部で自分の電波状況が悪くなるという痛恨のミスを犯してしまったことです。
糧にします。。申し訳ありません。
議員さんともっとやり取りをしたかった。
しかしながら、ダースレイダーさん、ノゾミさん、司会の小島慶子さんがしっかりと議論して頂いてます。
自民党の安藤議員の提言は衝撃だと思います。
一部・二部ともに貴重なお話が満載でしたので是非アーカイブをご覧になってください!

以上、これまでSaveOurSpaceが制作に携わった配信番組について振り返りました。

バンドくらい情熱をかけた日々でした。

第二回に続きます。

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