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靴の修理屋の靴紹介

ご覧頂きありがとうございます。
今回は本職の靴に関する記事を書きたいと思います。毎日沢山の靴を修理、補強しています。経験すればするほど、ブランドごとの癖であったり、メリット、デメリットが見えてきます。
色々な観点からご紹介させていただきます。

トリッカーズ/バートンM5633

この靴ははっきりいって、文句なしです。
靴好きの人であれば、大抵持っているのではないでしょうか。僕はずっと憧れ続けてた靴で手に入れた時はずっと眺めていました。
素材良し、作り良し、修理補強のし易さ良しで、長年ずっと履いてくださいと言うブランドからのメッセージが受け取れます。

作りはグッドイヤー製法ですが、バートンはしっかりと360度縫われてます。そしてなんといっても、ストムウェルトとダブルソールによってとてつもない強度を約束されます。そのしっかりとした作り故の、あの無骨さはカッコいいの一言に尽きます。
そしてこれは修理屋ならではの気づきかもしれませんが、出し縫いの為のドブ本当にしっかり掘られている事です。補強でハーフソールを貼る場合、新品、履かれた状態問わずに、削り込みを入れます。

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じゃないとハーフソールが貼れないからです。ドブが浅いと、このように削った時糸も一緒に切れてしまいます。ハーフソールは糸切れから守る意味合いもあるので、この段階で糸切ってしまったら意味がないです。その為の深いドブです。トリッカーズは理由があって、ソールはガチガチに糊付けされてません。なぜならオールソールで本体からソールを剥がす時、ガチガチに糊付けされてると、どうしても負荷をかけて剥がすことになり、本体が痛みます。オールソールや修理をする人のことまで考えて作られているのです。
そういうところも素敵です。

※厳密に言いますと、ソールは剥がそうとしなければ、糸が切れても早々はがれません。ガチガチに糊付けされてる靴より、糸が切れてしまうと剥がれやすいという意味です。

バートンのデメリット
これはもうあたりまえのことですが、僕が思うバートンのデメリットは値段と必ずといっていいほど靴擦れを起こすことだと思います。
しかし、これが、実はメリットなんですけどね、、、

どういうことかと言いますと、バートンは9万円くらいします。作りから言って当たり前なのですが、正直メンテナンスをしっかりすれば、一生履けると思います。一生モノで9万って激安と思いませんか?さらに、経年劣化を楽しめる革質の為、愛着は深まっていくばかりです。
靴擦れも、ダブルソールが故です。最初は硬くて曲がりませんが、ソールの革、中のコルクが馴染んでくれば、最高の履き心地になります。メンテナンスというコミュニケーションを大事にすれば自分だけの一足になります。トリッカーズは愛情が大好物という事です。

結論
バートンは最強


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