one scene.1

別れ話を切り出したというのに、彼女は悪戯な目でこちらを見つめてくるだけだった。
まるで最初から、こうなることを予期していたかのように、ニヤニヤしながら、「そう」と言った。

遠くから聞こえる波の音が、僕たちは海に来たのだという実感だけ残していて、僕は「残念な」別れ話なんて今ここですべきではなかったんじゃないか、というちょっとしたタイミングの悪さを感じた。

「とっても残念だわ」と彼女は言った。全然残念そうになんて見えなかった。

憂鬱な月曜日が始まる前に、私の記事を読んで「あ、水曜日くらいまでなら、なんとか息出来る気がしてきた」と思っていただけたら満足です。サポートしていただいたら、大満足です。(笑)