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身体と心を考える 聖地熊野の漢方薬屋11 体温と現代人 

体温調節と自律神経

 体温調節は、自律神経に支配されています。
自律神経は大別して交感神経と副交感神経に分けられ、我々が意識しないところで、体温、消化、代謝、免疫などの機能を自動で調整する働きをします。この自律神経の働きが低下して、エネルギー代謝にも影響、疲労が蓄積したり、ダイエット効果が減じられたりして太りやすくなったりします。また、皮膚の新陳代謝が低下すれば、シミやシワ、くすみが出来やすくなります。同様に免疫系に影響が及ぶと、風邪を引きやすくなったりします。ホルモン系の失調は、月経前症候群(PMS)やプレ更年期を引き起こすこともありうると、専門家も指摘しています。
 



自律神経の乱れと原因


 自律神経の乱れる原因の主なものは、生活環境の劇的な変化、ストレスなどと言われています。自律神経の働きの一つである体温調節は、汗をかいたり、震えたりして、自然環境に体内環境を合わせますが、元大は、冷暖房完備が普通で、夏は屋内外の温度差に悩まされる人も多いのが現状です。通常「寒い」「暑い」と肌が感じると、脳が情報を送り、自律神経を働かせます。暑さを感じると、血管を拡張して熱を放出します。自律神経が麻痺したり、激しい温度差で混乱すると「冷房病」と言われる症状が出てきます。ここ数年の冷房病には「汗をかかない」という症状が見受けられます。この症状は七〇年代以降に生まれた人に多く見られます。人は汗をかくことで体温を調節します。肌の表面にはエクリン腺と言われる汗腺が約二三〇万個あり、これには機能しているものと機能していないものがあります。機能している汗腺を能動汗腺といいますが、現代人にこの能動汗腺が少なくなってきているようです。これを「能動汗腺衰退症」と言うそうですが、このために体温調節能力が低下し、熱中症になりやすいと言われています。
 

 

「若いうちに汗をかけ」

一説には、七〇年代以降には一般家庭でもエアコンが普及し、この年代の人たちは生まれたときからエアコンがある世代とも言え、彼らには汗腺の数が決まる三歳までに発汗する機会が少ないために、体温調節機能が低下しているとの見解もあるようです。確かに最近のひどい暑さもありますが、近年小学校などの全校集会も、あまりに倒れてしまう児童が多いために屋内で実施する事が多いとか、2学期でなく1学期に運動会を開催するといった話を耳にします。推測ですが、発汗機能が衰えている子供たちが多くなっていることの証左ではないかと思っています。
 「恥は若いときにかけ」と言われますが、「汗も若いときにかけ」ということでしょうか。









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