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身体と心を考える 聖地熊野の漢方薬屋⑧爪でわかるあなたの健康 



 しばらくお休みしておりました。かっこよく申せば「構想」していたわけですが、前回の「腎」に関するお話に力が入り、ちょっと脱力しておりました。反省として、私も読んでいただける皆様はもちろん私も肩に力の入らないお気楽な内容をも盛り込んでいただきたいと考えています。


ネイルアートとアスリート


 さてそんな今回は「爪」。
 近年では、ネイルアートなど爪に時間とお金をかけることもあり、これまでに見られなかったファッションポイントとなっています。そうそう、アスリート界でもメイクはもちろん、ピアスやネックレスは至極当然のオシャレとして認識されてきています。昔オリンピックのトラック競技でのアメリカ選手、フローレンス・ジョイナー(またまた登場!)が出てきた時は驚きました。ドレッドヘア、長い爪、奇抜なユニフォームなどで注目を集め、しかも世界記録を出したという驚き、晩年の黒い噂(本稿⑦「最近気になる『腎』」ご参照)…。しかしながら近年ではジョイナー選手並みのファッションを纏うアスリートは珍しくもなくなっています。
 

爪の状態で身体の健康を診る

 
 さてそんな爪、健康状態を反映する事実は意外と知られていません。
 
 爪は皮膚の一部で、角質層や毛髪と同じ成分で出来ています。健康な人の爪はピンク色をしていますが、爪自体には色はなく、爪の下の皮膚を流れる血管が透けて見えるためです。表面は滑らかで艶がありますが、爪そのものの病気のみならず、内臓疾患や代謝異常でも爪に異常が現れます。
 
 手の爪は、1日に約0・1㎜、足の爪はやや遅く1日約0・05㎜伸びます。
 
 爪の異常は、爪を形成する部分に外傷や炎症、感染、栄養不良などの原因が加わって起こります。手の爪すべてに異常が見られる場合は、全身性の病気が疑われます。
 
 色の変化のうちで多いのは白い爪。カンジダや白癬菌(水虫)による真菌症です。爪白癬(爪が白く濁って厚くなり、表面がデコボコとなる)や、貧血・糖尿病、マニキュアや除光液の刺激などで白くなることもあります。また、リンパ浮腫で黄色い爪に、緑色や黒色に変わったら重大な内臓疾患の疑いもありますので、皮膚科や内科を受診した方がよいでしょう。

 ● 爪の縦シワ・横シワ
 縦シワは、動脈硬化が進行している状態で、いわば老化のシグナル。末梢の血液循環が悪くなったために起こる現象です。
 横シワや小さなヘコみは、大病で栄養障害が起こった証左で、甲状腺機能低下症、ネフローゼ、扁平苔癬を疑います。高熱後や尿毒症、円形脱毛症等の時も起こりやすいと言われます。爪の成長から推測して、例えば根本から5㎜の所に横シワやヘコみがあれば、約50日前にそんな病気をしたことと推察できます。
 
 ● 爪の色
1) 白斑は、少量なら問題はないが、爪全体に無数の白斑などが現れると、肝硬変や、若年性糖尿病、慢性腎炎の疑い。
2) 白っぽい爪は、前述したが、貧血やレイノー病。また、すりガラスの様に濁っている爪は、肝硬変や腎臓病の疑い。
3) 黄色い爪は、老化から来るもので、いわゆる代謝低下が原因であることが多いが、リンパ浮腫や肺の慢性病変、薬物などがその原因になることもあります。
4) 爪が緑色の場合は緑膿菌感染が原因のことが多い。
5) 黒色のスジが爪に現れるのは、二種類あって、ひとつは爪全体が褐色傾向になり、線上の色素沈着が見られる場合、それはアジソン病(副腎皮質の機能低下)やウィルソン病(先天性銅代謝異常)、または銀皮症(銀沈着症。銀によって引き起こされる色素増強作用)、ヒ素中毒が疑われます。もうひとつは鮮やかな黒色線が現れ、他は正常な場合、爪母(そうぼ。爪をつくる部位)への機械的刺激や外傷が原因で、悪性化することはありません。
 
 ●形
1) 爪甲(そうこう)剥離
爪がもろくなってはがれやすくなるのは、鉄欠乏性貧血や、尋常性乾癬、カンジダ、バセドウ氏病を疑います。また刺激の強い洗剤などの使いすぎは、はがれやすくなりますので注意が必要です。
2) 点状陥凹(てんじょうかんおう)
円形脱毛症や尋常性白癬(しろなまず)に伴い、粟粒大の陥凹が生じます。
3) 時計皿爪、ヒポクラテス爪
爪が円形ドーム状に指先を覆います。ちょうど形がドームのようになります。漢方で言う「肺」「心」「肝」に加えて血管や消化管の疾患が原因と言われます。肺気腫や肝硬変などが疑われます
4) さじ状爪
爪が凹んでスプーン状になります。鉄欠乏性貧血や、胃の切除後の患者さん(ビタミンB1欠乏)、甲状腺機能亢進症(代謝亢進)などが原因と言われます。
 

爪のマッサージを


 最後に「爪もみ療法」。漢方療法などと併せて行えば効果がアップするかも。以下、その方法です。
(1)爪の生え際の角を、反対側の手の親指と人差し指で両側からつまんでもむ。
(2)1箇所を10秒ずつ、症状に対応する指は20秒ずつもむ。薬指は刺激しない。
(3)以上を、1日2、3回行う。
 
 親指:肺などの呼吸器(咳、喘息、アトピー、ドライマウ
    スなど)
 人差し指:胃や腸などの消化器系(胃弱、胃・十二指腸潰   
      瘍など)
 中指:耳(耳鳴り、難聴など)
 小指:心臓や腎臓などの循環器(高血圧、脳梗塞、ボケ、 
    肩こり、腰痛、動悸、息切れ、めまい、頭重感、頻
    尿、精力減退、しびれ、生理痛、更年期障害、肥 
    満、顔面神経痛、自律神経失調症、うつ状態など)

 ※注意:薬指は交感神経を興奮させてしまうため、刺激し
     ない。
 


お身体のご相談・お問い合わせ、また本稿内容に関するお問い合わせは以下までお願いします。
メール:yusojin@gmail.com または
    漢方の森本 電話0735(22)3349
 




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