Nとズッキーニ

夏は食べることが億劫になる。

適当に切った生野菜と、焼いただけの野菜と、冷奴、ナスとみょうがの味噌汁。夜に食べる気がするのは、そんなのくらい。白米も食べる気がしないから米が減らない。

お昼は前は学食に行っていたのだけど、最近はなにもピンとこなくて、おにぎり1つくらい買ってもう満足してしまう。

特段暑いわけでもないのに、今年は梅雨明けも遅いのに、こうも食べる気力を失うのはなんだろうか、と思って、ああNがいないんだな、ということに気づく。

去年までは、同期のNと昼を一緒に食べることが多かった。業務の話、楽しい話、職場の困った話、最新のおいしいもの事情、旅行に行った話、などなど、いろいろ情報交換をする有意義な昼休みだった。

Nはこの4月から転勤で遠くへ行ってしまって、おかげで今は昼は一人だ。

まぁ、今は今で、noteを読んだり書いたりして悪くない休憩時間を過ごしているのではあるけど、やっぱり時々なんか寂しい。一人は一人で好きなんだけど、気を許す毒のない人との時間は、確実に癒やしだったのだなぁと思う。

Nは、白玉みたいな純なこころをしている人。そして酒に強くていろんな良いものおいしいものを知っている人だった。いろんなおいしいものを教えてもらったし、いろいろ頂いた。

ズッキーニを食べるようになったのも、Nの影響。
よくNのお弁当にはズッキーニが入っていた。買って食べたことないと言ったら、焼くだけ簡単でおいしいと教えてくれた。
その日ためしに一本買って帰り、輪切りにし、オリーブオイルを引いて焼いて塩コショウしてみたら、確かに実に簡単で、おいしかった。
それからは夕飯の定番入りをした。

ズッキーニってカボチャの仲間らしい、と、ウィキペディアを見ながら話をしたりして。ふと思ったんだけど、ズッキーニとトッカータって似てない?って、ほんとどうでもいい話をしたりして。
あぁ、なんだその平穏の象徴みたいな会話。
今じゃそんな会話、する人もないし、したくてもできやしない。

Nはお弁当派だったので、転勤の餞別にはランチボウルを贈ったのだった。
使ってくれてるかなぁと思いながら、ズッキーニを焼いてみる、今日。

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