レッツ・メイク・ニュー・ワールド
ここ最近のあるところに、おじいさんが住んでいました。ある時おじいさんは、公園に行きました。砂場へ向かうと、シャベルで穴を掘り始めました。タイムカプセルを探すためです。
1時間ぐらい探しますが見つかりません。おじいさんは、自分がタイムカプセルを埋めていないことに気づきました。仕方なくおじいさんは、誰かが埋めたかもしれないタイムカプセルを探しはじめました。しかし掘っても掘っても何も見つかりません。さすがのおじいさんも諦めかけていたその時、シャベルに何かがあたる感触がありました。
掘り進めてみると、懐中電灯が出てきました。おじいさんは、「ランプだ!魔法のランプだ!」とおおはしゃぎ。願い事を考え始めました。不老不死、世界平和、犬に吠えられない……。迷った結果、国王になることに決めました。
おじいさんは目をキラキラさせながら、一生懸命懐中電灯をこすりました。しかし現実はそんなに甘くありません。魔人が出てくるどころか、電気すらつきません。必死の血相でこすりますが、叶わず。国王になった後の演説まで考えていたおじいさん。諦めきれないので、自分で国をつくることにしました。
公園内は柵で囲まれています。国境ができていたので、ほっとするおじいさん。お城をつくることにしました。
本格的なお城をつくるために土台をつくっているおじいさん。シャベルで土を盛り、ペットボトルで水をまき、その上に体重をかけます。これを何度も繰り返します。肉体労働です。
土台が完成しました。次は造形です。おじいさんがタージ・マハルの形に土台を削っていると、一人の男の子が公園にやってきました。おじいさんは国民との出会いに感激しています。おじいさんがつくった土のかたまりに興味津々な男の子。おじいさんが男の子に近づいていきます。すると、泥だらけのシャベルを持った年上の男が近づいてくることに気がついた男の子は、全速力で逃げていきました。
おじいさんは国民の国外逃亡にひどく落胆しました。次の入国者を取り逃がすまいと、せっせとタージ・マハル建設を再開します。早くしないとサグラダ・ファミリアになってしまう、と焦ったおじいさん。疲労困憊です。休憩を取ることにしました。国内のトイレが荒れていたため、泥をはらい、国外のコンビニへ向かいました。
おじいさんが肉まんを食べながら戻ってくると、タージ・マハルが破壊されています。唖然とするおじいさんのそばで、子どもの楽しげな声が聞こえます。見ると、国内で子供たちがケイドロをして遊んでいます。よく見ると、その中の一人は、先ほどの国外逃亡者ではありませんか!
おじいさんは男の子に「砂場で遊びましたか?」と質問します。「遊んでない」と、首を縦に振りながら、男の子は言います。おじいさんは何か言いかけましたが、「わかりました。ありがとう」と言い、砂場に戻りました。
雨が降ってきました。国外の屋根がある場所に逃げ込み、ゆっくりと崩れていく城を、おじいさんが見つめています。おじいさんは思いました。国王は大変だ。
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