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リトルブッダ・ Ram Bahadur Bamjanのこと

十数年前に、この少年の話を知りました。
全く飲食しない完全な断食で坐り続けているというのです。
しかも、何ヶ月も、です。
そんなことがあるわけない、という興味本位の話が広がっていたようですが、
当時、それ以上に詳しい情報は見つけられませんでした。

何も喋らず、只、坐り続けているだけで、
人々がドカドカお参りに来ている、というのが興味深かったです。

先日、You Tubeを見ていたら、この動画が出て来ました。
すぐに彼だと分かりました。

ネパール:リトルブッダ、リターン-ドキュメンタリー
https://youtu.be/eDho1Y8MekE?si=kF3NjdJZ1nswgdUp

15歳の彼が、10ヶ月、坐り続けていた木の根元から消えて、
再び、森の中で坐っているのを発見された時のものです。
16歳の頃なのだと思います。
そして、6年間、そのように坐り続けた後に、
21歳になってから、語り始めたようです。

Dharmasangha's Message Given on The Completion of Tapas on May 20, 2011
https://youtu.be/CJCcOp7vulc?si=W2XWvsaHj4-P0hcx

沢山の動画があるようですが、
周りの人達が、ロープを張ったり、
幕を張ったり、それらしい台座を作ったり、
徐々に彼をそれらしい教祖に祭り上げて行く様子が面白いです。

これは、今年のレポートみたいです。
The Cult of Little Buddha
https://youtu.be/vnH-Bxe6nzk?si=9KzOiGDtuERv3pWe

なにやら警察沙汰になっているらしく、逃亡しているようです。

彼は、1990年4月9日生まれ。今年、33歳です。

彼の話を見て、ドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』の中に出て来る
「大審問官」のエピソードを思い出しました。
中世のスペインで、キリスト教の異端者を次々に火炙りの刑にしていた時代を舞台にした物語です。
その場に、キリストが再臨するのです。
彼は何も言わないのですが、人々は、彼がキリストであると信じて、
彼に群がって行進して行くわけです。
しかし、彼は捕らえられて、異端審問にかけられます。
そして、夜、大審問官が密かに牢屋へ訪ねて来て、キリストと対決するのです。
キリストは、最後まで一言も発しません。
この話は、キリストとキリスト教=教会が全くの別物であり、
むしろ相反するものであることを物語っています。

Bamjanを再来のブッダだと信じて、人々が列をなして拝みに来るのと似ている感じがします。
それは、何ヶ月も断食のまま坐り続けるという奇跡を行じているから、ということではありますが、坐り続けているというそのことが、世界を動かしていることに感銘を受けます。

そして、Bamjanが、本当に再来のブッダ、弥勒の下生だとしたら、どうなのでしょう。
きっと仏教教団は、大審問官と同じようにBamjanに対するのではないでしょうか。

Buddha Boy Uncovered: Secret Techniques
https://youtu.be/GVoLvLXRILg?si=oMrHOfbyeElaTo9L

この動画は、よく分からないのですが、教団の指導的立場にあるような人が、
Bamjanを視察に来たのでしょうか。
只坐っている15歳の少年の圧倒的な威厳が、鮮烈です。

坐はすなわち仏行なり。坐はすなわち不為なり。是れ便ち自己の正体なり。
此の外別に仏法の求むべき無きなり。

正法眼蔵随聞記

正に、これです。

それ、修證は一つにあらずとおもへる、すなはち外道の見なり。佛法には修證これ一等なり。いまも證上の修なるゆゑに、初心の辨道すなはち本證の全體なり。かるがゆゑに、修行の用心をさづくるにも、修のほかに證をまつおもひなかれとをしふ、直指の本證なるがゆゑなるべし。すでに修の證なれば、證にきはなく、證の修なれば、修にはじめなし。

弁道話

「やったやった」など、仏道にあるわけがないのです。

2023年12月8日

                          幽雪 九拝

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