ニコニコ動画で活動するクリエイターのインボイス登録

どうもこんにちは、脳筋の優作です。
リアルに経理事務やってます。

2023年10月からインボイス制度がスタートしました。
10/2未明にマイページのお知らせとメールでニコニコから

「インボイス登録がまだの人は登録してね!」

的な内容の文面が届きました。
文面そのものが強制的な印象を持っていたこともあり、案の定X(Twitter)では混乱する人が続出していました。
すぐに訂正の文面を送付してきましたが、既に登録してしまった人はどうすんだ?との疑問もそこかしこで湧いており完全に落ち着いたわけではなさそうです。

今回はややこしくて難しいインボイスについて、私も分からんなりに仕事柄色々調べているので、分かる範囲でネット活動で生計を立ててる人用にまとめておきたいと思います。
まず最初にインボイス登録について大まかに内容と現状を書いていきます。




インボイス登録をする人ってどういう人?


・年間の売上が1000万円を超える人

この場合は否応なしに課税事業者(適格請求書発行事業者)になります。
つまりインボイス登録をしなければいけません。
(別にインボイス登録しなくてもいいけどクッソ税金取られる)
わかりやすいのが年間数千万以上稼いでるYouTuberでしょうか。

では年間の売上が1000万円未満の人はどうなるのかというと
「任意」です。

任意ということはインボイス登録しなくてもいいんでしょ?
確かにそのとおりです。
これが同じ免税事業者(年間の売上が1000万円未満の人)同士の取引で生計が成り立っているなら特に問題ないでしょう。
ですが多くの免税事業者は課税事業者と全く取引をしないことは少ないと思います。

この課税事業者と免税事業者の取引で課税事業者が割りを食うので色々と世間は困っているわけです。

今までなら課税事業者と免税事業者の取引は免税事業者だけが
「手続き大変だよね?消費税の納付は免除するね?」
ってな感じで免除されてきました。
ところがインボイス制度開始に伴って
「免税事業者の人たちも申請して課税事業者になってね!免税事業者のままでいるなら取引してる課税事業者にあなたが納める消費税を代わりに納めてもらうね!」
ということになりました。
さすがに課税事業者も黙ってはいません。
ここで「個人事業主との取引は終わりにしよう」とか、「報酬は消費税分差し引いて払えばええやん」みたいな策がわんさか出てきました。
そうなると免税事業者も黙っていられないわけで。
署名とか反対運動とか起こってるわけですね。

ざっくり現状はこんな感じです。

さて本題の「ニコニコ動画で活動するクリエイター」ってそのへんどうすればいいの?ということですが、マジレスするとケースバイケースだとは思います。
いろんな収入源があり、それぞれ分けて考えなくてはいけないと思います。
とはいえある程度ざっくり分けられるかと思うので一つずつ書いていきます。

①クリエイター奨励プログラム(クリ奨)で生計を立てている場合

あまりいないと思いますが100%クリ奨で生活している人について。
クリ奨がどういう原理で成り立っているのかというと
「プレミアム会員費を原資として、再生数などの盛り上がりに応じて奨励ポイント(後に換金できるポイント)を分配する」というものです。
Amazonギフト券など数種類に換金できますが、換金した時点で課税対象だそうです。
これがYoutubeの広告収入になると、海外企業との取引になるので不課税です。

仮にYoutubeの広告収入で年間500万稼ぐ人と、ニコニコのクリ奨で年間500万稼ぐ人がいたとして、ユーチューバーは不課税なので今まで通りでいいですが、ニコニコ活動主は課税されてるので消費税を納めないといけない、もしくはドワンゴに肩代わりさせることになります。
だからドワンゴ側もインボイスの登録要件を満たしてるなら登録してね!と言ってるわけです。

結論:インボイス登録をして消費税を支払うか、ドワンゴに肩代わりさせる
※ドワンゴの心証が悪くなる可能性は大いにある。


②イベントや公式生などの出演料で生計を立てている場合

コロナ禍になってしばらく経つので昔ほど多くはないかもしれませんが、このパターンもよく聞きます。
イベント出演料は役務の提供にあたるので課税対象です。
この辺はユーチューバーであっても大体国内のイベント出演が多いので課税されているはずです。

結論:インボイス登録をして消費税を支払うか、イベント会社(ドワンゴなど)に肩代わりさせる。
※イベント会社(ドワンゴなど)の心証が悪くなる可能性は大いにある。

③ニコニコチャンネルの会員費で生計を立てている場合

ここまで来ると察しがつくと思いますが課税です。
会費は基本的に不課税ですが、この場合は対価があるので課税対象です。
ただ稀に「うちのチャンネルは何もしないよ。応援したい人が応援できるように設置してあるだけだよ」という強者がいます。
その場合は単純に諸会費として不課税扱いになるのかはたまた寄付金のような扱いになるのか…この辺は奥が深すぎます。

結論:視聴者に対して明らかにサービスを提供しているなら、インボイス登録をして消費税を支払うか、ドワンゴに肩代わりさせる。
※ドワンゴの心証が悪くなる可能性は大いにある。
サービスの提供が殆どないなら寄付金扱いにして雑収入として不課税処理するのもあり。(実際できるのかはわからんが…)


④スパチャ・ギフトで生計を立てている場合

どちらも投げ銭と言われるものですが、Youtubeのスーパーチャットとニコニコのギフトは少し違います。
スパチャはググる人も多いと思いますが不課税です。
ニコニコのギフトは最終的にクリ奨の中に組み込まれるので①と同じと考えていいと思います。つまり課税です。

結論:ニコニコギフトはクリ奨と同じなので、インボイス登録をして消費税を支払うか、ドワンゴに肩代わりさせる
※ドワンゴの心証が悪くなる可能性は大いにある。


最終結論


インボイス関連の手間だけを考えるなら、Youtubeの広告収入とスパチャで賄ったほうが今まで通りの手間だけで済む。ニコニコ中心で生計を立てたいならドワンゴとの衝突や、納税による利益減少を覚悟したほうがいいかも。

といった感じでしょうか。
当然ですがこの話は「ネット活動で生計を立てている人」の話なので、お小遣い程度のクリ奨が入るだけの人はもちろんインボイス登録をする必要はありません。
その収入は事業で得た収入なのか?ということです。
(とはいえ、お小遣い程度の収入が年間で20万円を超えるなら確定申告はしないといけません。これはインボイスとは関係なく昔から決まっています)

まあ、国は税金を取りたがってるので、間違えて一般人がインボイス申請をしても通しそうではありますが…さすがにそれはないか。
事業者番号とか書く欄あるしそんなことはないと…思います(自信ない)

インボイス関連は施行直前でも特にアナウンスもなく新解釈が追加されたりして、税理士・会計士でも対応が追いついていません。
なのでこのnoteもめちゃくちゃ間違っていると思います。
そんな中でも自分の分かる範囲で何かしら役に立てたらなあと思っています。
まだまだ勉強しないとね。

それではまた次回!



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