「かけがえのないもの」を考える ─ 『断片的なものの社会学』 岸政彦 著
物心がついて、自分の足で行ける範囲を見て回るようになった頃。
あらゆるものが刺激的で素晴らしく、ときには恐ろしく思えました。
汲めども尽きぬ好奇心。心をいっぱいにして、
今では気にもとめないようなものを見ては目を輝かせていました。
そして、この道の先には何があるんだろう。
空の向こうには何があるんだろう。と、
ぽつねんと、夢想していました。
さらに成長すると、もう少し現実を捉えられるようになりました。
自分の過ごす町の全てを歩いて回るのも大変なのに、
この、どうやらかなり広