市ヶ谷の杜 本と活字館はワンダーランド

「市ヶ谷の杜 本と活字館」に行った。
DNP(大日本印刷)の前身だった秀英舎の本社、市ヶ谷工場だった建物をリニューアルして2020年11月に博物館及び体験施設としてオープンしたものだ。

「秀英」と聞けば私のような文字デザイン好きは「おっ。あの」となる。そう、明朝体フォントの基本の基本である「秀英体」を活字として作ったのが秀英舎だ。

開館当初から印刷好き、文字デザイン好き、近代建築好きの話題を呼んでいたが、ようやく訪れることができた。

入場は無料だが入館すると受付の人が入館登録をしますと言って声をかけてくる。と言っても名前を聞かれる訳ではなく、初めての人に利用上の注意事項とロッカーの場所を教えてくれ案内MAPを渡してくれるだけだ。館内スタッフは皆、親切で質問したり感想を言ったりすると実に嬉しそうに説明してくれる。

かつて活字は種字彫刻師と呼ばれる職人が木や鉛の角材の先端に彫刻刀を使って左右逆字に彫って作っていた。彼らの足跡と種字彫刻についての企画展「活字の種を作った人々」(2024/6/11まで)も常設展も地下で見られるリニューアル過程のスライドも面白いったらありゃしない。時間が経つのを忘れそうになった。2階のベンチも館内サインも活字を模しているし。

企画展の無料パンフレットは本文18ページの内、2ページが展示資料リストで7ページが参考文献リスト。参考文献のタイトルを見るだけで勉強になるしワクワクする。DNPの本気が伝わってくる。

2階の購買コーナーは危険だった。厳選された書籍もフォントカルタなどのグッズも魅力的。お金と置いておく場所があれば買い占めたいぐらい。リニューアルする前の銀座伊東屋本店で様々な紙や書体のシートやデザイン(文字、グラフィック)の本を前にしていた時の記憶が蘇った。なんとか理性を保って『もじモジ探偵団 まちで見かける文字デザインの秘密』と建物の基礎に使われていた松杭を加工したルーペを買うだけで我慢した。

神田神保町の北澤書店が今のビルに建て替えられる前には裏通りから印刷所、製本屋さんの音が聞こえていたなぁと思いながらブックハウスカフェまで30分ほどかけて

散歩した。

2024/5/2から平日も入館予約不要。イベントは予約が必要。
https://ichigaya-letterpress.jp/about/index.html


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