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関節の【バキバキ音】について。鳴らすことの“驚異性”について解説

一般的に関節を鳴らす行為は良くないことだと、頭ではわかっていても実際に鳴らす癖が多い人は後を経ちませんし、YouTube等の動画では「バキバキ整体」のようなタイトルでパフォーマンス的に施術を行う人が多く見受けられます。

少なからず私の治療者仲間には関節を鳴らす施術を行う方はいます。
関節を鳴らすことがどれだけ関節へのダメージが大きいかを理解している方は少ないと感じています。

あの関節を鳴らした「バキバキ音」

この正体を知らずに施術を行っていたり、鳴らす癖があったり、頭では「関節を鳴らすことが良くない」と分かっていてもうまく説明できない方。
そう言った方達の意識や考え方が少しでも変わっていただけるようであれば幸いです。

実際に関節が鳴った時のあの「バキバキ音」について今回は論理的に順を追って整理していきながら解説していこうと思います。

バキバキと音がなる正体

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よく関節を鳴らす人は
「関節をバキバキ鳴らすと可動域が広がるし、鳴らすとすっきりする」「固まっていた関節が元に戻る音だ」
と思っている人は結構いると思いますし、実際に私のところへくる患者さんも関節を鳴らしてしまっている人は結構話に聞きます。

結論から話すと「よくありません」(冒頭にも言いましたが多分皆さん分かっていると思います笑笑)

関節がなる時の音には大きく2つに分かれます。

・骨の上を筋肉や腱が乗り越えた時になる音
・関節内の気体が弾ける時の音

以上の2つに大きく分けられると思いますが、1つ目の骨の上を筋肉や腱が乗り越えた時になる音に関しては、連続で鳴らすことができるのが特徴です。

2つ目の関節内の気体が弾ける時の音に関しては連続で鳴らす事はできません。頚椎、腰椎、指などでよくなる部分だと思いますが、一度鳴らすと10〜20分くらい時間が経たないとまた鳴らすことができないのです。

では「何故鳴らせないのか?」

関節の中には関節液があり、関節液の中には気体が溶け込んでいます。気体が抜けた後、また気体が溶け込むには時間がかかるので連続では鳴らせないのです。

発泡現象について

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化学的に発泡現象を起こそうと思ったら2つの方法があります。

・沸騰
・減圧

この2つで気泡が発生します。

沸騰に関しては皆さん日常でも目にしているように、お鍋の中の水が100℃に達した時に起こるあれです。関節の中で関節液が100℃になる事はないので沸騰はまず今回の「バキバキ音」には関与致しません。

となるともう一つの「減圧」が関節のなった時に起こる「バキバキ音」になります。減圧はどういった時に起こるかというと、関節は常に圧力が加わっている状態にあるのですが関節に対して牽引力、回旋力が加わった際、関節の中の圧が抜けます。そして減圧が起こった関節内では気体が出現し、気体が弾けます。

この時の「バキっ」という音が減圧時の関節の音になります。この減圧時の力っていうのはとてつもないものと理解してください。

これを知ると関節を鳴らすのが怖くなると思います。以前、私は関節を鳴らすような施術を勉強しにいっていましたが実際にメカニズムを勉強して知り、一切関節を「バキバキ」鳴らすような施術を行うことをやめることにしました。

ではこの減圧時の関節の音がなんで悪いのかを解説していきたいと思います。

キャビテーション

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皆さんキャビテーションという言葉はご存知でしょうか?

キャビテーションというのは

※Wikipediaより引用
液体の流れの中で圧力がごく短時間だけ(水では大気圧の1/50程度の)飽和蒸気圧より低くなったとき、液体中に存在する100マイクロメートル以下のごく微小な「気泡核」を核として液体が沸騰したり溶存気体の遊離によって小さな気泡が多数生じる。気泡核がなければ気泡も簡単には発生しない。
Cavitation bubble implosion.png
圧力が変化すると沸騰などによって生じた気体の体積も変化し泡の大きさが変わる。膨張と収縮を繰り返しながら圧力の上昇に応じてしだいに小さくなってゆく。小さくなる過程で、プロペラのような硬い表面近くの泡は粘性と表面張力も作用して、その表面に張り付きながら泡の遠い側がくぼみ、ジェットの勢いで表面に衝突して泡は分裂する。このジェット流で硬い表面にエロージョン(壊食)が発生する。最終的には周囲の圧力が飽和蒸気圧より高くなり、周囲の液体は泡の中心に向かって殺到して、気泡が消滅する瞬間に中心で衝突するため、微小ながら強い圧力波が発生し、騒音・振動を発生させる。あまりに圧力が高い場合には金属が破損する場合もある。爆薬の水中爆発によって大量の高圧気泡が発生することによって起こる破壊力を持ったキャビテーションの波をバブルパルスと呼ぶ。

引用文だけ見ると数字とか出てきてわかりにくいし、考えすぎないように(私も数字はよくわかりません笑笑)

液体の中の気泡が減圧によって発生する仕組みを簡単に説明していきます。

引用文にも出てきたプロペラ。これは船や潜水艦のプロペラをイメージしていただければいいかと思います。プロペラは水を後ろに押し出す力を利用して推進力を得ています。その過程で、プロペラが水を切って一枚一枚のプロペラが通り過ぎた瞬間、圧が急激に低下し気泡を発生させるといったものです。

ちなみにこのキャビテーション効果を受け続けたプロペラがどうなるかというとボロボロに削れて変形していくのです。

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⬆︎こんな風に(恐怖ですね笑)

鳴らすたび(気泡の爆発が起こるたび)に骨や関節が破壊されてていることになります。これだけの強い力が加わっていることも知らず、骨や関節を鳴らしても良いのでしょうか?

これが人間の骨格でも起こっているとなると恐ろしくてたまりませんね笑

プロペラなどの機会であれば取り換えれば事は済みますが、人間の骨格はリモデリングによって骨を修復していきます。

削られた骨は削られた部分だけ治すのではなく、もともとあった状態より多めに修復して徐々に元にあった状態に治してきます。

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この事を踏まえると関節を鳴らし、修復され切る前にまた関節を鳴らしてしまうとなると、どんどんその部位は分厚く、太く変形してしまうことになります。

「指を鳴らすと太くなるよ」っていうのは間違いではないのです。

指ならまだ骨の中に神経が通っているわけではないのでいいのですが、首や腰になるとどうでしょうか?
脊柱の中には脊髄という体の運動機能を司る「親玉」があります。もし首や腰を鳴らし続けているとその「親玉」に悪影響が出てくる可能性を高めることになります。どんどん身体の不調を増やすきっかけとなってきかねないので、関節を鳴らす事はよくないことだと言えます。

関節を鳴らさない為には・・・

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習慣的に首や腰を鳴らしてしまう人、もしくは患者の中でその状況にいるのであれば、まずはこのメカニズムというものを理解してもらう。

そして関節を鳴らさなければいけない状態にあるものを「鳴らさないでください」だけでは修正は難しいです。かといって施術者自身が鳴らす治療をするのも以上のことからリスクが大きいと思います。

そもそも首や腰を慣らさないといけない状態にあること自体がイレギュラーで結構まずい状態であると私は考えています。根性で鳴らさないようにしようとしても限界がありますし、必ずまた楽になろうと鳴らします。

まずは施術を受ける前に鳴らさないといけなくなった根本の「生活習慣」や「ライフスタイル」から改善していく必要があります。

患者だけでなく施術者にも同じことが言えますが、根本を明確に「なんでそうなったか?」というものを知るもしくは教えていかないと修正しようがないもの。
というのが私の見解です。

以上になります。

今回は人の体のことでしたが、心理的なことや化学的な情報発信をしていきますのでよろしくお願いいたします。
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