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東京圏一極集中を進めている奴が東京圏一極集中の対策について考えてみた。

1.地方創生のいま

2014年の9月に第二次安倍改造内閣が「まち・ひと・しごと創生本部」を設立した。長期ビジョンとしては、地方経済の成長を促すことで若者の雇用を増やし、格差を縮小することと、人口減少を止めることが目標とされた。さらに、少子高齢化と人口流出により、自治体が維持困難となるのを防ぐために、東京に流出する人口を抑制し「地方への新しいひとの流れをつくる」、出生率を上げる「若い世代の結婚・出産・子育ての希望をかなえる」ことが、目標として掲げられたのである。つまり、東京圏一極集中を和らげて地方に若い人が移住するように促して地方からも活性化していこうということだ。

それに対して、交付金や事業費、その他政府の様々なプロジェクトをあわせ、2017年には1兆7536億円、2018年にはおよそ1兆7877億円が注ぎ込まれた。

その結果としては、アベノミクス政策などの景気回復や、地方に安定した仕事を作るという施策により、有効求人倍率は全国で1を超えた。

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(地域ブロック別有効求人倍率)出典:厚生労働省

しかし、日本の全地域に対して地方創生が成功したと言えるほどでは全くない。

依然として地方の高齢化と人口減、東京圏の人口一極集中という問題は残されているのだ。

まだまだ、東京圏の人口一極集中は続いていて、下記のグラフを見るとわかる通り、転入超過数の大半を10代後半、20代の若者が占めており、大学への進学や就職がきっかけになっているものと考えられている。

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2.「観光」による地方創生

先ほど学べた通り、東京圏一極集中が深刻化している中で、どうすれば地方創生に成功できるかを考える。

まず、地方創生を観光によるインバウンドにより成功した例を挙げる。

北海道の東川町である。ここは1994年頃から人口が7,000人を下回っていたが、地方創生により2014年に8000人を超えたのである。元々、東川町には国道や鉄道がなく、簡単にはアクセスできないため、スキーやスノーボードができる環境にもかかず、観光客の呼び込みができていなかった。そこで観光客を増やすために、大きく2つの取り組みを実施したのだ。

【東川町国際文化フォーラムの開催】

東川町と交流のある、カナダのキャンモア町
ラトビアのルイエナ町などの行政関係者、観光業者などを招待。互いの意見を交わす会を開いた。

【アルペンスノーボード国際大会の開催】

国際大会を実施し、スノーアクティビティ好きのインバウンド客を呼び込んだ。さらには大会後に、選手によるスキーやスノーボード教室を開催した。

また、その活動にアウトドアブランド「株式会社モンベル」が感銘を受け、地域創生に協力することになり実店舗として大雪ひがしかわ店が、東川町にオープンし、スキー客の消費税アップやモンベルのスタッフの雇用と移住にもつながったのだ。

つまり、観光が充実してインバウンド客などが増えることで、地域住民との交流も増える。その結果、「リピーターの増加」
「小売店やホテルなどの継続的な売上アップ」の2つが地方活性化を促す。

このように観光のインバウンドによる地方創生は効果的な戦略の一つであることが分かる。

3.石川県の「コマツ」って?

いきなりですが、私は石川県出身である。なので、ここからは石川県の小松市の地方創生について考えていきたい。

先に石川県の人口推移の現状から見る。

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見て分かる通り、石川県は2005年に初めて減少に転じ、2010年に約117万人となっており、日本の地域別将来推計人口によると2040年には97万4千人となると推計されている。この推計人口だけを見ても石川県全体として地方創生を進めるべきだということがわかる。それを進めてるのが中タイトルにもある「コマツ」である。

「コマツ」とは建設機械の大手企業である。建設機械では世界で2位だと言われているのが「コマツ」である。このコマツが粟津工場のある石川県小松市で石川県や地元の農林業者と連携し、地方創生に取り組んでいるのである。実際にした取り組みとしては、地方へ本社機能の一部を移転させることで、地域での人材創出、ならびに地域との交流を増やす機会を設けたことである。さらに小松工場の跡地に研修センターを建設した。この研修センターには、国際会議場が設置されており、研修や会議のために、一年間に世界中から約3万人が訪れる。そうすることで、彼らが小松市で宿泊、飲食をしたり、土産物を購入することで、少なからずお金が地域に落ちる仕組みができた。

そして、進めてきた本社機能の地元石川への回帰が、少子化対策としても効果を上げていることもわかった。コマツの社内データによれば、石川勤務の30代の女性社員1人あたりの子供の数が、結婚率を踏まえると東京勤務の女性社員の3.4倍にもなっている。少子化問題に対しても成果を挙げていることがわかる。他にもコマツは様々な地方創生への取り組みを行なっている。

4.まとめ

ここまでで自分が感じたことがある。それは地方創生を進めるとき、「観光」により進めたりといろんな切り口はあるが、なにをするにせよ国と自治体、国民がやるのではなくその間に企業を挟み、企業と国民が一緒になって地方創生を進め、それを自治体や国がバックアップしていくことが重要であると感じた。結局、国や自治体が「地方創生!、地方創生!」と言っていても国民の意識にはあまり届いてない気がする。その為、国民と国の間に企業が入ることで少子化対策にも地方創生にも国民レベルで話が向かっていくのではないかと私は考える。

さらに、このような地方創生を進めるコマツのような企業も日本にはまだあるはずだが、それをまだ知名度としては高くない。なのでメディアはもっとコマツのような企業を広く知らせるべきであると考える。また、大企業の経営者はいま一度、地方に目を向けた経営、雇用を考えてみるべきではないかとも思う。収益最大化を追い求めて工場の海外移転を進める企業ももちろん、日本を引っ張っていく上で必要であるとは思うが、国内で踏ん張って少子化対策や地方創生を体現しているコマツのような企業も今の日本にとっては大切であると感じた。

と、ずっと語っている私も来年から地元に帰る訳でもなく、東京で働きたい!という思いがある訳で、「東京圏一極集中を進めている奴が東京圏一極集中の対策について考えてみた。」でした。