yury.uehara

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最近の記事

たった一つの宝物

中学生の頃、私は規則正しい生活が苦手だったし、集団で明るく元気にみんなと楽しく過ごすという義務がストレスでたまらなかった。 しかし、いくら授業をサボっていようとも勉強は大変優秀で、先生からも一目置かれていた。(生活態度では逆の意味で一目置かれていた。) ある日の放課後、私以上に滅多に学校に来ない、授業に出ないクラスメイトが私に話し掛けてきた。 「ねぇ、どうしてゆりはそんなに頭が良いの?授業出てないのに、どうして勉強がわかるの?」って。 「ゆり別に頭良くないよ。勉強でき

    • 最近の会話

      ある生徒はずっと目標にしていた舞台があり、それに向けて本格的なレッスンを始めたばかり。彼女の集中力とポジティブさには驚かされるばかりだった。注意してきたことを必ず直し、直らなかったらどういう風に今日は気をつけていたけど、その方向性が合ってるかをレッスン後に必ず質問してきて、なにかを掴むと目がキラっと光って嬉しそうにレッスンする子。 しかしその目標の舞台のオーディション書類を出した途端、身体は一変して力んでテンションは空回り、集中力も落ちてしまった。そこそこオーディションで力を

      • 嵐が丘

        大切な人が健やかな状態ではなく、長いこと療養している。 ずいぶん昔の話だけれど、その人は突然私の前に現れて、10代の隅にいた私に「この先、色々な話をしましょうね」と言ってくれた。 その人と会ったのはたった数回で、最後に会ったのは一昨々年の夏だった。その時も「芸術家の顔になりましたね」と私に言った。知り合った時もその時も、今だって私は何者でもないのだけれども。 最後に会った時帰りに複数人で食事をして、その時同席していた人が作った映画をきっと私が好きだと、是非見て欲しいと勧めてく

      たった一つの宝物