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人を撮る

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人を撮ること、それについて思うこと
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#スナップ

心を揺るがす、ちまっこさ 4

泣く、眠る…そんな赤子の生存本能に負けた大人達。 1時間の撮影もほぼ終わりに近づき、「しょうがないから撮れる物を撮ろう」という空気になりつつあった。 コントロールできないものは、もうしょうがない。 というわけで、眠るままにあれやこれやと好きにされる赤ちゃん。 しかし、お父さんが大好きなカービィを大量に並べ始めたところ… そこでパチリと目が開くという奇跡が!! 今だ!この時を逃してはならぬ!! 皆の心がひとつになり、再び高速で始まるとっかえひっかえ。 お父さんお母さんの

心を揺るがす、ちまっこさ 3

撮影時間のほとんどが、泣いてばかり寝てばかりの赤ちゃん… そんな姿もかわいらしいけれど、どうにか起きてる写真を撮りたい大人達。 とはいえ、人生経験18日にあまり無茶ぶりをするわけにも行かず… 「とりあえず、今撮れるものを撮りましょう!」とご提案してみることに。例えば赤ちゃん写真では定番の、サイズ感の違いがわかるような写真。 小さな赤ちゃんは幼児と違って動きも少なく、表情の変化も乏しくて…あかちゃんだけを撮影していると、単調な写真になりがちなもの。 こんな風に大人に

心を揺るがす、ちまっこさ 2

今回撮らせていただいたお子さんは、なんと生後18日。 この世に出てきて、まだ1ヶ月も経っていないというホヤホヤちゃん。 もう何もかもが小さくて「人間、始めました」というスタートラインに立ったばかりなので、まだ何もかもに慣れていない。目もよく見えないはずなので、それまで寄り添っていた温かな身体が突然なくなると不安になるのだろう…床に置かれると全身で不満を表明してくる。 そして泣く。小さいなりに、精一杯の抗議をしてくる。 気持ちはよくわかる。 あったかくて柔らかくて気持ちの

大人が写真を撮るとき その2

大人は、写真を撮られる機会が少ない。 さらには撮られること自体を好まない人も多い。 だけれども、この撮影の中でお客様もおっしゃられていたのだけれど。人間いつでも「今日がこれからの人生の中で1番若い」のである。であるからには、写真を撮るのであれば。常に「今、この瞬間」に残すのがもっともベストな選択であるといえるはずだ。 わたしもあなたも、これから先、今日より若い日はないのだ。 ほら、後ろで鹿も「そうだそうだ」という顔をしている。 だからご家族での出張撮影においても、でき

子供の撮影とは、待ち続けること

「子供の撮影とは、自由さを見守ること」の続きです。 ひたすらに走り回って、追いかけて…そして最後にやってきた"待ち"のターン。延々と砂場でドングリを埋めることに夢中になる2人、全く顔を上げる気配がない…。 必死で話しかけても顔を上げてくれることはほぼなく、それどころか「お姉さんのドングリはありません」という残念なお知らせを告げられるという。そうか、ないのか…。 気を惹くことは諦めて。下から覗き込むことで、どうにか表情を捉えるという作戦。しゃがんだ子供より下からのアングル

Instagram的な、アレ

よくあるInstagram的な、あの構図。 まさか、こんな若いメンズとする事になるなんて… ずるずるしたカーデの裾を引っ張って、ぐいぐい進んでいかれて。 「なんだ、このかわいい生き物は!!」と思わずパチリ。 撮影中、子供に気を許されたなぁと思った瞬間でした。 ちなみに、この後は。 探していたお母さんを見つけたのに、なぜか照れ出して…。 くるりとカーデの中に入ってきて隠れるの、ますますかわいい。 出張撮影では1~2時間くらい一緒にいるので。 最初は(なんだこいつは…)

文句の出ない写真

「子供が大人になって見せても、文句の出ん写真じゃわ」 子供さんを撮影した写真に対して、お母さんからもらった言葉。 撮る側からは発想できない、お母さんの立場からの感想だった。 自分の中には無い例え方、言葉の使い方って。 どうしてこうも、グッとくるんだろう? というか「文句の出ない写真」という言葉の強さ、すごいよね。 だって。 「人に喜ばれる写真です」(にっこり) くらいなら、自分でも営業スマイル浮かべながら言えるかもしれないけど… 「文句の出ない写真を撮ります!」

まだ瑞々しさのある、ヘソの緒は

機会があって、出産直後の赤ちゃんの写真を撮らせてもらったことがある。 自分に子供がいないので。出産、そして生まれたての子供…というのは色々な点で衝撃だった。 まずは物凄く当たり前のことではあるんだけれど… さっきまで大きく膨らんでいたお母さんのお腹が、ペタンコになっていること。ついさっきまで、そのお腹の中にいた存在が目の前にいること。たったそれだけのことが、なんとも不思議なことのように思えた。 この写真は本当に生まれた直後で、まだヘソの緒もお母さんと繋がっている状態。さ