鬼様のブランチ 「深夜にケーキの霊を祓う」
今回の鬼ブラ！
・ケーキの霊に憑かれた女を救う。
前回の鬼ブラ！
・父の日、何かをする者としない者。日頃の行いが全部出る時。
買い出しをした帰り……
あっ、おいしそうなケーキだ。
ね～っ、あのケーキ屋に寄っていこう。
今日はマジで金がないからダメです。クレカも克己様から預かってるヤツしか持ってねえから、小刻みに使いたくねえ。
私も今日はマジで財布に現金が入っていないのだ。カードは屋敷に置いてきてしまった……。
でもイオンに入っているテナントなのだから、電子決済の……あの……ペイ？ そういうのに対応していると思う！
今両手が袋で塞がってるから、スマホ出したくねえ。
私はそういう新しいものを何も導入していない……。えーっと、きっとアプリをダウンロードするのだろう。えーとえーと。
こんなとこで場所塞いでたら、周りの迷惑ですよ。今日は諦めなさいよ。
諦めて帰宅（21時）
ということがあって、今の私はケーキに憑かれているのだ。
あすケーキを食べに行きましょうか。
いま食べたい。
何かないかな、ケーキ的な甘いものが……。
クッキーの生地は冷凍がありますが、憑かれているのでしたら、それでは祓えないでしょう。
ケーキを作りましょうか、今から。
わあっ♡
台所へ
どういったケーキがよろしいですか。
パウンドケーキやブラウニーでしたら、混ぜて焼くだけなのですぐできますよ。
ココア味のクリームと台が二層以上になっているもので、周りを冷たいクリームで覆ったものがいい。台はふわふわしているものより、詰まったタイプが望ましい。でもあまり重たくなく、ぼろっとした食感の……。
ブリティッシュ・ベイクオフのレシピくらいの具体的なイメージがある。でしたら、それを作りましょうか。
ええと……生クリームがある、小麦粉もある、卵も若干賞味期限が怪しいですが、まあ大丈夫だろう。ココアもバターもある。
冷やす時間を入れて、日付けが変わるくらいかな。できたらお部屋にお持ちします。
えっ、私も手伝う。
いざ名前のないケーキ作り
ご所望のケーキ生地は「ビスケット寄りのシートにシロップを打ったもの」と推察できます。
斎観の持っている全粒粉をパクりましょう。ジェノワーズと違ってそれほど神経質にならずともいいので、量は全部勘でいきます。このくらいかな。
沙羅さんはバターを練っていただけますか。
手で？
いいえ、手でバターを触ると溶けてべたべたになってしまいますので、その泡立て器でです。クリーム状にしたいのです。
何も知らなくて恥ずかしい……。
よいしょ、こういうことでいいのかな？ よいしょよいしょ。
そうです。けっこう力が必要な作業なので、助かります。
ここに勘で砂糖を入れていきますので、練り続けてください。熱が伝わると溶けてしまうので、ボウルの底には触らないように。
うんうん。
誰かが切ってタッパーに入れていたバター（たぶん斎観だと判断して拝借）なので、有塩か無塩かがわからない。舐めて確認するか……いや。
勘で塩を少し入れます。卵も入れて、これでよし。
これは「卵入りの味つきバター」だと思うが、これを焼くのか？
これに先ほどの全粒粉を混ぜます。
練らずに混ぜるのは少しコツがいるので、私が代わりましょう。手早くこうこうこう、こう。
もう寝かせずにサッと伸ばして焼いてしまいます。オーブンの予熱もなし。ピッ。
生地を焼いている間に
私はシロップを調合しますので、生クリームを泡立てていただけますか？ もったりするくらいまで。
こう、カシャカシャすればいいのだな？ まかせてくれ。
さて、シロップはどうしようかな。ベースはガムシロップでよし。
キルシュかコアントロー、いや、ダークラムにして、オレンジの皮か何かを入れるか。
……オレンジがないのでオレンジ香料で代替。水とクエン酸をこのくらいで、よし、おいしい。
先生、クリームがもったりしてきた。
ではココアと砂糖を入れますので、混ぜてください。
……ここで少し味を見ます。うん、斎観の買った高いココアと高い生クリームなので、これで充分おいしい。沙羅さんもどうぞ。
うんうん、おいしい。……もっと甘くなくてもいいと思うが……もう砂糖を入れてしまったのだから、それはできないのだな。
ココアを足すことで苦さを足して、甘さをマイナスする結果を作り出せます。
すごい！！！
甘く香ばしい香りの中で
生地が焼けたので、出して冷ましておきます。クリームも冷蔵庫で冷やしておきましょう。
四十分くらいかな。お茶でも飲みながらここで待ちましょうか。
わあ、賛成！
フフ。
ルシピア「白桃烏龍 極品」
友達とお茶を飲むことなどないから、わくわくしてしまう……。
今、恋をしているか？
師以外に、ということですね。
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