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古い映画がやたらとHDリマスターされるのでありがたい

古い映画がやたらとHDリマスターされるので、ありがたい。画面がきれいになるのがありがたいというよりも、なかなか見る機会のなかった作品がそういう形で復活し、いつでも見れるようになるのがありがたい。

井筒和幸監督の『ガキ帝国』(1981)もそういう作品の1つだ。

井筒監督と言えば、『岸和田少年愚連隊』(1996年)が有名で、ぼくも7回見ているけど、なんども見ても飽きない。

ナインティナインの矢部さんと岡村さんを主人公に、1970年代の大阪の不良高校生たちの姿がえがかれている。

いまでは全国区のお笑い芸人として知られている人たちがぞろぞろと登場し、若いころのあらけずりな姿を見せている点もみどころだ。

たとえば、元雨上がりの宮迫さんが演じる不良少年は、「ヤクザは神戸や!」と言って反社に入ってしまうのだが、今見ると味わい深い。

あるいは"メロリンキュー"こと山本太郎衆議院議員が、ナイナイ矢部さんを袋叩きにするシーンもある。いまではすっかり「ザ・弱者の味方」になった山本議員のこんなあくどい雄姿は、二度とお目にかかれないだろう。

そしてこの作品の元になったと言われる伝説的作品が『ガキ帝国』(1981)なのである。

デビューしたての紳助竜介のお二人が主役を張っている点も『岸和田・・』と似ており、大阪の不良高校生のすがたが描かれている点もそっくりだ。若者のエネルギーを画面に焼き付けたような荒っぽい感じも似ている。

ぼくも名前は知っていたけれども見る機会がなかった。しかしリマスターされ、Blu-rayやDVDだけでなく、アマゾンプライムビデオでも見れるようになったのは、ありがたいことだ。

アマゾンで見つけたときは、即クリックして2時間一気に見た。古本屋でお宝本を見つけて、そのままレジに持っていったような感じである。

ただし、「伝説的」作品というふうに期待しすぎてみると肩透かしを食らう。

展開もあら削りでよくわからないところが多いが、なにより紳助竜介さんの活舌(かつぜつ)が悪い。何をいっているのか聞き取れない箇所が多数あり、『岸和田・・』では考えられないことだ。でも1回見ておきたかったので満足している。

ところで、両方の作品に登場している役者さんが一人いる。このところ、ワイドショーをさかんに騒がせている方だ。

いまワイドショーでは、彼一人が悪者あつかいされているが、あんな地味な俳優さんが大物ぶった手口でセクハラにおよんだのは、きっとデビューのころに出会った「芸能界の大物」の影響が大きかったのだろう。

かれのことは骨髄バンクの先輩として尊敬していた。バンクは55歳でお払い箱になるので、近年はぼくも「もう呼ばれることはないかな」と思っていたんだけど、広報誌を通じて、この人が54歳で骨髄を提供したことを知った。

彼を見習って、55才になるまでいつ呼び出されてもいいように心の準備をしているが、そういう人はほかにもいるのではないか。その意味では彼の功績は大きく、いろいろ思うところの多い『ガキ帝国』だった。

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