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3D映像ってなぜ流行らないんだろう

本日は、

立体映像って、なぜもうひとつパッとしないのだろう?

という話なんだけど、そもそもぼくらは立体的な世界に住んでいる。タテヨコだけでなく奥行きのある世界に住んでいる。

しかし、立体的なエンターテイメントってもうひとつ盛り上がらない気がする。なぜなんだろう。

任天堂ですら苦戦している

任天堂はかつて「バーチャルボーイ」というゲーム機で立体ゲームに挑んだのだが、轟沈した。ミッドウェー海戦における空母赤城のごとくはなばなしく轟沈した。

しかし、天下の任天堂はそれであきらめたりしなかった。時代が早すぎたのだ。それから十数年、雪辱を果たすべく満を持して登場したのが「3DS」だった。

今度は重い眼鏡などいらない。なんにも装着しなくても裸眼で立体映像が見れるというおどろきのテクノロジーをひっさげてバーチャルボーイの弔い合戦に出た。

業界にゲームチェンジが起こるに違いない。3Dゲームの時代が訪れるにちがいない・・はずだったのだが、結局は、Switchに追われるように生産中止に追い込まれている。

それどころか、3DSの後継機として、2DSというゲーム機まで投入しており、これは、バーチャルボーイの後継機として「非バーチャルボーイ」を投入するのようなものであり、みずから3Dを否定してしまっている。

立体テレビって何だったんだろう

任天堂だけを悪者にするわけにはいかない。
一時、家電量販店を席巻していた3Dテレビだが、今では

母さん、ぼくのあの3Dテレビ、どうしたんでせうね?

というくらい、完全に行方不明になっている。ほんとにどこへ行ってしまったのだろう。

映像だけではない。

音楽の世界でも、立体音響(サラウンド)っていまいちなのである。

レコードが、モノラルからステレオに進化したときには、それはもうたいへんなものだった。音が左右に広がるということは、人類が二足歩行を始めたくらいに画期的なことであり、現代のレコード音楽は、ステレオとともに始まったといっていいほど、新しい音楽世界が開かれた。

ならば、つぎは立体音響だということになるわけだが、これがまるでお話にならない。戦争映画を見ている時に頭の上からヘリコプターの音がしたり、うしろからミサイルの音がしたりする程度のもので、まあ、おもちゃである。

骸骨を飛ばす

なぜこういう話をするかというと、今日おもしろい映画を見たのである。

『地獄へつづく部屋』(1959)という奇妙な映画で、幽霊屋敷で無事に一晩過ごせば1万ドルの大金を得られる、ということで金に困ったいろんな人が集まってきて、そこで殺人事件が起こる・・という筋立ての奇妙なミステリー映画なのだが、『TATARI タタリ』(1999)としてリメイクされているくらいだから、おもしろいのはまちがいない。

それはいいとして、この映画では骸骨が重要な役割を果たすのだが、Wikipediaによれば、初公開の時に

スクリーンの横に滑車を仕掛け、映画の後半、ある場面が来たところで、観客の頭上にプラスチック製の骸骨を飛ばしたのである。

とある。これが評判になり、低予算ながら興行的には大成功を収めたのだそうだ。スクリーンの中の骸骨が、いきなり観客の頭上を飛び回ったわけだからバーチャルリアリティーのはしりといってもいいだろう。

画面から立体が飛び出して観客に向かっていくほうが

おもしろいだろうな

と考える人はいつの時代にもいたということで、立体映画の技術が生まれる前は、ホントに骸骨を飛ばしていたわけだ。

そこまでして人は、立体を求める。

なのに、これまでのあらゆる立体映像のこころみは、単発的な話題作りに終わっているというか、新境地を開いてない。

音楽がモノラルからステレオに変わったように、あるいは映画がモノクロからカラーに変わったように、あるいは映画にCGが使われ始めた時のように、新しい可能性を開いている感じがしない。

何が足らないのだろう

最近、アップルが新型のVRマシンを発売したそうだが、あれでバーチャル映像の時代がやってくるのだろうか。

つまり、立体映像の時代がやってこないのは、技術的な問題にすぎず、もっと軽くて高性能で、安価なVRマシンが大量に出回ればそれで済む話なのだろうか。

骸骨を飛ばすのもそうだし、飛び出す絵本もそうだし、人は立体に対して貪欲である。しかしそのわりには普及しないのはなぜなのだろう。

なぜ「飛び出すジャンプ」の時代はやってこないのだろう。

現在のVRを含めた立体映像には、なにか根本的に足りないものがあるのではないか。そこを突破しないかぎり、映像の新時代はおとずれないのかもしれない。

だとすれば、それは、いつだれがどうやって突破していくのだろうか?ということを、ふと考えさせられた。

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