社会の底辺で自由を謳歌する
なにごとにも優先順位というヤツがある。
非常事態において、たとえば船が沈没するきに最初に助けるべきは子どもであり、次に女性、それからお年寄りだ。けが人や病人も優先される。
まず弱い立場の人が優先される。それから医師とか看護師といった「必要な人々」だ。リーダーにも生き残ってもらわなければならない。
そうやって順番に助けていったときに最後に残る「カス」。すなわちいちばん後回しになるのは特にエラクもなく、職能もない一般中年男性である。
しかし、そういうカス層の中にも、実は2種類の人々がいる。
非常時に「特にとりえのない一般中年男性」として切り捨てられる中年男性の多くは、いわゆる働き盛りの会社員だ。こういう人たちは平常時にはいちばん幅を利かせており、社会の主力を形成している。
つねひごろ、子供に対しても女性に対してもお年寄りに対しても、体力面、金銭面、そして社会的立場で優位に立っており、いちばんエラそうな顔をして道を歩いているのがこの層だ。
平時にのさばっている分、緊急時にみすてられるのは仕方がないといえるだろう。
しかしカスにはもう1種類いる。
たとえば、派遣労働者だったり、アルバイトだったり、フリーランスだったり、専業主夫だったり、無職だったり、生活保護を受けていたりする中年男性である。
あるいは「警察24時」に出てくるような人々。パチプロやアル中や前科者や結婚詐欺師などもここに含まれる。こういう人たちは普段から立場が弱いのだが、非常時にはもっと不要な人になってしまう。この層こそ、真のカス、すなわちカスの中のカスと言える。
ぼくは長年、日本社会におけるこのカスの中のカス層に属してきた。
「ワクチンが国民分足りない」というときには「自分の分はないんだな」とあたりまえのように自覚して生きてきた。そういうポジションで生きてもうウン十年だ。
この連中こそが社会における最底辺、すなわち「エクスペンダブルズ」だといえる。つまり、いつ死んでも惜しくない連中である。
ちなみにゴルゴ13も、「いつ死んでも惜しくない」エクスペンダブルズだ。
組織に守られていないし、社会的ステータスもない。ばつぐんに強くてカネを持っているので、真のカスに見えないだけだ。
ブラックジャックもおなじだ。真のエクスペンダブルズなのだが、普通の医師よりもばつぐんに手術がうまくカネを持っているので真カスに見えないだけである。
この映画のスタローンは「ギャラは高いが仕事は確実」な傭兵部隊を率いており、強くて金を持っている。つまり、ゴルゴ13やブラックジャックと同じく金を持っていて強いのでカスに見えないだけのカスである。
ヒーローは皆そうだ。カスに見えない強さを持つカスだけがヒーローと呼ばれる。
彼らは国家の命令に従わない自由があるからこそヒーローでいられるわけだが、自分の力と金だけがたよりであり、それがなくなればただのカスである。
ヒーロー マイナス 強さと金 = カスなのだ。
ブラックジャック マイナス 強さとカネ = もぐりの医者
ゴルゴ13 マイナス 強さとカネ = 連続殺人犯なのである。
一方、ぼくは強さも金もないれっきとした「カスに見えるカス」である。しかしヒーローたちとの共通点もあり、それはいろんな束縛から自由だということ。
すでに50歳を過ぎているのに若者とおなじくらい自由を謳歌している。自由ほどイイものはない。
この点では、派遣労働者だったり、アルバイトだったり、フリーランスだったり、専業主夫だったり、無職だったり、生活保護を受けていたりする中年男性はみなそうではないだろうか。
ブラックジャックやゴルゴ13ほどうまくやっているわけではないが、パチプロや結婚詐欺師やシャブ中やホームレスよりはうまくやっており、たっぷりと自由を味わっている。
だから、非常時にカス扱いされるのは納得している。
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