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映画を見ているうちに年をとっていく

子どものころ、海で泳いでいて一番気をつけていたのは、潮に流されることだった。潮は速いときにはけっこう速いのだが、自分が流されていることには案外気づかない。

気づいたときには手遅れ・・というの体験したことがあるし、他人が流されているのを見かねて、漁船に救助してもらったこともある。

沖に出たら、たえず目印を確認して、自分がどれくらいのスピードで流されているか確かめる。そして流れが速いとわかったら、急いで岸に戻るのだ・・・とはいえ、実際に流されてみてわかったのは、目印は1個ではダメだということだった。

たとえば沖のブイ(浮標)みたいなものを目印にして泳いでいるとしよう。ブイだけを見ていると、自分がブイを回りこんで、沖へ流されそうになっていることになかなか気づけない。

なので、たとえば「ブイ」と「防波堤」など、2点を直線でつないで、両者と自分の位置関係をたしかめながら泳がないとあぶない。

時間も似ている

なんでこんなことを書いているかというと、時間の流れも目印の取り方がむずかしくて、あっという間に流されるところが似ているなあと思ったからである。

とはいえ、ぼくは40代初めくらいまで住む場所も仕事も次々変わっていたので時間の流れが速いと思ったことはなくて、むしろ「西暦何年」と言われれると、その年に何をしていたかパッと思い出すことができた。

しかし、40代に入ったあたりから仕事に追われているうちにどんどん流れが速くなり、ウカウカしているうちに、かなり沖まで流されてしまった。

そんななかで、有名人の消息というのは、時間の目印というか、ブイみたいなありがたいものだ。

ハリソン・フォードは80歳

インディージョーンズの新作が間もなく公開されるけど、ハリソン・フォードは80歳だ。

映画はきっとおもしろいだろうと期待しているのだが、予告編を見るかぎり、80歳のアクションヒーローというのはビジュアル的にはなかなか苦しいものがある。

前作『クリスタルスカルの王国』を見た時ですら苦しいと思ったのに、あれから15年の月日が流れている。

それにしても、ついこのあいだ「クリスタルスカルの王国」を見にいったような気がしていたけど勘違いだった。あれから15年たっていて、当時ハリソンは65歳で、ぼくは40歳になったばかりだったのに、いまでは50代も半ばに差し掛かってしまった。

なんだか焦る

ハリソン・フォードのように15年に1回、同じコスチュームで同じ役をやってくれると、時の流れを実感できるのでにありがたいわけだが、それにしても、かれの姿を見ていると、時の流れの速さにあらためて焦ってしまう。

焦ったってどうにもなりはしないし、目の前のことを1つずつやっていくしかないのだが、それにしても、自分はあのころも今も、映画を見ることに時間を使いすぎているとは思う。でも、そう思ったところで、ずっとこのままなのだろう。

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