保護フィルター付ける?付けない?

こんばんわ!!都内でシステムエンジニアをしている ゆる写 です。

はじめに

2024年4月某日X上で保護フィルターが賑わっていました。
発端となったのは別のアカウントですが気になる発言をしているアカウントが目についたのでレスバトルに参加しました。
ここではアカウント名にLEICA_M~(~の箇所についてはご想像にお任せします♪)とありましたので以降LEICA氏と呼び、LEICA氏の発言の一部を載せておきます。

「Leica(ライカ)は純正で保護フィルターを出していません。」
「だから保護目的でしか無い保護フィルターは撮影前外すがベストなんですよ?」
「優れたコーティング技術でUVカット機能だけでなく反射も抑えられるという機能を付加してないなら」
「安い保護フィルターでもコーティングしてあるとか言い出す?」
「保護キャップあるなら保護フィルター要らなくありませんか?」

LEICA氏の発言については後ほど見ていくことにしましょう。
なお本記事はLEICA氏を貶めるつもりは一切ないただの読み物です。


保護フィルターを付ける?付けない?

結論から申しますと、わたしは撮影現場で撮影者自身が保護フィルターを付けるか付けないかを判断すれば良いと考えています。
保護フィルターを付けることで画質は低下するでしょう。でもその違いを分かる人ってどのくらい居るのでしょうか?比べたところでほぼ分からないと思います。それならお高いレンズを保護するために保険で保護フィルターを付けておいたほうがレンズに傷がつくことを気にせず撮影することができます。
例え保護フィルターを付けていても石が飛んできてフィルターが割れ、割れたフィルターがレンズの前玉を割ったなんて事故もあります。なかには保護フィルターなんて意味がないとおっしゃる方も居ますよね。意味がないと感じるなら付けなければ良いのです。
先に書いた通り撮影者自身が保護フィルターを付けるか付けないかを判断してください。決して誰かに強制されるものではありません。

保護フィルターについて

そもそも保護フィルターとはどういったものでしょうか?紐解いていきましょう。

保護フィルター

レンズを購入したときに一緒に保護フィルターも購入しレンズ前面に付ける人が多い定番の無色透明のフィルターです。
Wikipediaのレンズ保護用フィルター(プロテクター)の項目に以下のように書かれています。

無色透明で、前球レンズを衝撃や汚れから保護するだけの機能しか持たないフィルター(レンズプロテクター・MC(multi-coated)プロテクター)。レンズ本体の光学性能や描写能力を低下させると一部のカメラマンからは敬遠されるが、現在市販されているものではほとんどレンズ本体の能力に影響しない。但し夜景撮影や逆光状態においてはレンズフレアなどが発生する原因となるので、現在でも外すのが妥当である。高級モデルでは耐久性や防汚性が高くなっている。紫外線カットフィルターやスカイライトフィルターを保護用フィルターとして代用することがあるが、スカイライトフィルターは赤っぽくなるため注意が必要である。

Wikipedia

長いので簡単にまとめるとこんな感じですかね。
気になる箇所を太字にしました。

  • 無色透明

  • レンズプロテクター、MC(multi-coated)プロテクター

  • レンズの前玉の保護(衝撃や汚れ)

  • レンズ本体の性能を低下させる

    • 現在市販されているものは影響しない

    • シチュエーションによって悪影響が出る(夜景撮影、逆光撮影)

  • 高級モデルは耐久性、防汚性が優れる

  • 紫外線カットフィルター、スカイライトフィルターで代用することもある

レンズ保護フィルターは衝撃や汚れからレンズの前玉を保護する機能しかもたないフィルターのようです。また、使用することによってレンズ本体の性能を低下させるとのこと。
ここで出てきた紫外線カットフィルター、スカイライトフィルターについても見ていきましょう。どのような違いがあるかも気になるところですね。

紫外線カットフィルター

WikipediaのUV(紫外線吸収)フィルターの項目に以下のように書かれています。

UV(Ultra Violet)フィルターは紫外線をカットするフィルターで、かつての乾板やフィルムが紫外線や青色光に敏感すぎる為、極淡黄色(もしくは極淡黄灰色)の濾光器やスクリーンを用いる事で風景を鮮明に捉えていたが、その後継的な物である。

無色透明と言われているが[4]、実際は視認できないほど極めて淡い黄色(もしくは黄灰色)を帯びていて、この極淡黄色(もしくは極淡黄灰色)が紫外線を吸収する役割を果たし、その濃さによって紫外線の吸収量が変わる。

紫外線が大気中の塵などに反射して散乱し、遠景がハッキリと写らない時にこれを使用する。装着しても色再現に影響はなく、また露出倍数がないので、つけたままでも撮影時間を変える必要がないことから、レンズ保護用フィルターの代用としてレンズ面の保護用に常用することもできる[4]。ただし、埃が付着したり瑕が入る可能性がある為、やはり必要な時だけ装着した方が良い。

近年はレンズコーティングの技術が進んでレンズ自体が紫外線をカットするようになった事に加え、カメラのデジタル化に伴いカメラボディ内部側のCMOSセンサーの発達やローパスフィルタが搭載されたカメラの登場なども相まって、現在では本来の目的としてはあまり使われなくなってきている。

シャープカットフィルターとしての名称はSC37(L37)[5]、SC39(L39)[6]がこれに当たる。この他にL38、L40、L41も存在する。

L37やL38そしてL39は白紙上に置いても黄色を視認する事は難しいが、L40は仄かに黄色(または黄灰色)を視認する事ができる。L41は薄い紫色をしており、紫外線と青色光の一部を吸収する働きを持っているのでスカイライトフィルターに似ていて、UVフィルターとプロテクトフィルターを兼ねている。

Wikipedia

長いので簡単にまとめるとこんな感じですかね。
気になる箇所を太字にしました。

  • 紫外線をカットするフィルター

  • 無色透明

    • 視認できないほど極めて淡い黄色(もしくは黄灰色)を帯びている

      • 濃さによって紫外線の吸収量が変わる

  • 紫外線が大気中の塵などに反射して散乱し、遠景がハッキリと写らない時に使用する

  • 装着しても色再現に影響はない

  • 露出倍数がない

    • 撮影時間(シャッタースピード)に影響がない

  • レンズ保護フィルターの代用として常用することもできる

  • レンズコーティングの技術が進みレンズ自体が紫外線をカットするようになった

  • デジタル化に伴い現在では本来の目的としてはあまり使われなくなってきている

  • L41は効果がスカイライトフィルターに似ていて、UVフィルターとプロテクトフィルターを兼ねている

紫外線カットフィルターと言いながらデジタル化された現在では本来の目的で使用されることはなくなってきていて、レンズ保護フィルターとして代用できるってことですね。L41に至っては紫外線カットフィルターとレンズ保護フィルターを兼ねているそうです。つまりデジタルカメラで使うとレンズ保護フィルター、フィルムカメラで使うと紫外線カットフィルター兼レンズ保護フィルターってことですね。

スカイライトフィルター

Wikipediaのスカイライトフィルターの項目に以下のように書かれています。

薄い小豆色もしくは薄紫色のフィルターで、紫外線をカットし且つ青色光(菫色、藍色、紫色、青色)の一部をカットする働きを有する。通常“1A”と“1B”の2種類があり、“1B”の方が効果が強い。

主に快晴時の山上や海、そして高原での屋外撮影、及び晴天時(殊に青空が清澄である時)の屋外撮影で短波長の光の影響が強いと起こる「青被り[7]」を防ぐため使用する。また、色温度が高く青味掛り易い曇天や日陰などでの撮影にもそれを防ぐために使用する場合がある。製品によって差異はあるものの、その原理は波長の内、おおよそ390 nm - 410 nm以下をカットする事にある。可視光線は380 nm - 750 nmであるため、紫外線と同時に該当する波長の可視光線、つまりは青み(厳密には紫)を僅かにカットし、青空の下で撮影した被写体の「青被り」を軽減する仕組みである。

紫外線をカットすると同時に被写体のカラーバランスを整えるので、カラーフィルムが一般に普及するに伴って常用される様になったが、カメラのデジタル化に伴い使われなくなった。UVフィルターはプロテクト・フィルターの代わりに現在でも使われる事があるが、これは上記の特性からデジタルカメラに装着して撮影すると、画像が僅かに赤味を帯びる「赤被り」が起きるので代替にはならない。また、フィルムでの撮影でも赤色光をより多く透過する事になるので、赤色系の部分に白飛びが発生する事がある。

Wikipedia

長いので簡単にまとめるとこんな感じですかね。
気になる箇所を太字にしました。

  • 薄い小豆色もしくは薄紫色

  • 紫外線をカット

  • 青色光の一部をカット

  • 青被りを軽減

  • 被写体のカラーバランスを整える

  • デジタル化に伴い使われなくなった

    • デジタルカメラで撮影すると赤被りが起きる

  • フィルムでの撮影でも赤色光を多く透過する

    • 赤色系の部分に白飛びが発生することがある

スカイライトフィルターはデジタルカメラで撮影する場合、保護フィルターの代用としては不適切で付けた状態で撮影すると赤被りが起きるそうです。主にフィルムカメラで使うフィルターということですね。

LEICA氏の発言の検証

「Leica(ライカ)は純正で保護フィルターを出していません。」

現在Leicaではカラーフィルター、円偏光フィルター、NDフィルター、UVa IIフィルターの4種類をラインナップしています。その中のUVa IIフィルターを見ると下記の説明がされています。(2024年5月4日現在の内容のスクショ)

しっかり「ダメージや汚れから保護」「UVa IIフィルターは、レンズ表面を傷や汚れ、指紋の付着から保護します。」「大切なレンズを長く保護する役割を果たします。」と保護フィルターそのものの機能が書かれていますね。
つまりLEICA氏の「Leica(ライカ)は純正で保護フィルターを出していません。」と言う発言は誤りです。
仮にUVa IIフィルターは紫外線カットフィルターと言ってもデジタル全盛期の現在では意味のないフィルターなのでレンズの保護目的にしか使えないフィルターです。

「保護目的でしか無い保護フィルターは撮影前外すがベストなんですよ?」「優れたコーティング技術でUVカット機能だけでなく反射も抑えられるという機能を付加してないなら」

Wikipediaにも「レンズ本体の光学性能や描写能力を低下させると一部のカメラマンからは敬遠される」と書いてあります。が、こうも書いてあります。「現在市販されているものではほとんどレンズ本体の能力に影響しない。」
つまり撮影時に付けていても気にしなくて良いと捉えることができます。

画像の再掲になりますが、「新しいマルチコーティング技術と光学パラメーターが大幅に改善されたことで、悪条件の光源下でも、画質の低下を抑えることができます。」と書かれておりかなりハイスペックなフィルターのようです。

さらにLEICA氏はコーティング技術を付加していないなら保護フィルターは撮影前外すがベストと言い切っています。
ただの保護フィルターならその通りですね。間違えていません。

ただしこれには誤解があります。
間違えていませんが現在入手できる保護フィルターは保護機能だけではなくコーティングされているものが当たり前でLEICA氏の言う純粋な保護フィルターは中古やジャンクでしか入手できないのではないでしょうか?わたしの知る限りそんな保護フィルターは売っているところを見たことがありません。
さらにLEICA氏の言う「優れたコーティング技術でUVカット機能だけでなく反射も抑えられるという機能を付加してないなら」なんて先に書いたとおり純粋な保護フィルターはそもそも手に入らないか入手困難なのです。LEICA氏はいつの時代を生きているのでしょうか?

そしてもう一つ誤解があります。
どのような撮影環境においても保護フィルターは外すべきなのでしょうか?
保護フィルターを付けることによってレンズ本体のみより光学性能は落ちるでしょう。これはフィルターメーカーも事実として認めています。
例えばNikon ARCREST IIであれば下記のように書かれています。

フィルターを装着することで生じるレンズ本来の描写力の低下を最小限にとどめ、コントラストが高く階調豊かな映像表現を可能にします。夜景、星景の撮影でも描写への影響がほとんどありません。

Nikon

この「レンズ本来の描写力の低下を最小限にとどめ」と書かれている箇所ですね。少なからず描写力が低下するのでしょう。

次に撮影環境ですが大きく分けて室内、屋外の2通りあると思います。
室内はスタジオ等の人工的に作られた環境での撮影で例外はありますが天候に左右されず撮影を行うことができる環境であります。室内に対し屋外は文字通り外での撮影で天候や環境に左右され撮影を行う環境であります。また室内と屋外を行き来する撮影もあることでしょう。
室内であればレンズを傷付ける可能性も低いしあえて付けなくても良いと思います。落下や何かにぶつける等の事故は十分に考えられます。
では屋外で撮影する場合はどうでしょうか?強風の中での撮影であれば前玉が砂まみれになりますし、雨の中での撮影であれば前玉に水滴が付きますし、山岳地帯では落下や岩などにぶつけることもあり都度何らかの対応をしなければなりません。そのような撮影環境でレンズ保護フィルターを外したまま安心して撮影できますか?
すぐに対応できるならレンズの前玉が汚れたらブロアーで汚れを飛ばしたり、クロスで拭いたりすれば良いです。
が、山岳地帯での撮影では安定した足場で撮影するとは限りませんし、ブロアーやクロスを落としてしまうリスクも考えなければなりません。
そのため撮影環境により保護フィルターを外すか外さないか考える必要があるのです。それぞれメリット、デメリットはあるでしょう。
撮影に影響が出てしまうなら外すべきでそれ以外は付けっぱなしで良いと考えます。

「安い保護フィルターでもコーティングしてあるとか言い出す?」

保護フィルターの価格が安いからといって、必ずしもコーティングがされていないとは限りません。安価な保護フィルターでも、コーティングが施されている可能性はあります。
コーティングが施されていない保護フィルターでも、耐久性や性能に優れているものも存在します。コーティングを必要としない代替品があり、それが安価なフィルターとして提供されている可能性もあるでしょう。
コーティングされていない保護フィルターも、一定の保護機能を提供することができます。価格が安いからといって、必ずしも保護機能が低いとは限りません。保護の程度や使用目的に応じて適切な保護フィルターを選ぶことが重要です。
LeicaやZeiss並みの高性能なコーティングが施されているとは限りません。

「保護キャップあるなら保護フィルター要らなくありませんか?」

保護キャップも保護フィルターもレンズの前玉を保護する目的は同じです。保護キャップと保護フィルターは異なる役割を果たしており、保護キャップの存在があるからといって、保護フィルターが不要とは限りません。
保護キャップは取り外して使用しなければならないため、保護の役割を果たすのは時間の限られた間だけです。一方、保護フィルターはレンズの前玉を常に保護してくれるため、長期的な保護を考えるならば必要です。もちろん魚眼レンズや出目金レンズのように保護フィルターが付けられないレンズも存在します。

まとめ

ここまで読まれた読者ならもう迷うことはありませんね?
何度も書きます。
「撮影現場で撮影者自身が保護フィルターを付けるか付けないかを判断すれば良い。」です。
そしてLEICA氏の発言内の保護フィルター(純粋に保護だけの機能)であれば間違いではないです。ただし現在の保護フィルター(保護機能とコーティング)にアップデートして発言する必要がありましたね。
今となってはブロックされているので関わることはありませんがね。

ではでは

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?