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【スパレッティは何をしたかったのか】惨敗したイタリアの今大会振り返りと今後について【EURO2024】


スパレッティが今大会でやりたかったこと

とっさん(イタリアファン):今大会、何がダメだったかと言われると、メンバーと戦い方が完全にミスマッチだったところよね。

ポール:ずっと言ってたやつやね。

とっさん:3-4-3でいくと思ったメンバーが蓋を開けたら4-3-3でびっくり。しかも右ウィング呼ばずに、左が得意なキエーザを右に置いた。これはイタリアサッカー見ている人はみんな言ってる。
じゃあ一体スパレッティは何をしたかったのかというのを考えないといけないなと思ってスタメンを見比べたりとかしてみたんよ。
グループステージ1戦目アルバニア戦は右にキエーザ置いて上手くいった。2戦目はスペインにボッコボコにされて、3戦目クロアチア戦は2戦目とそんなにメンバーは入れ替えずに5-3-2にしたわけよね。
スパレッティは3戦目について「選手を入れ替えなかったがために高いインテンシティを保てなかった」ってインタビューで言ってて。つまり前からプレッシャーに行けなかったと言ってるんよ。

ポール:選手たちに疲れがたまっていたんじゃないかということかな。

とっさん:そう、メンバー変更しなかった自分を責めてた。だからラウンド16のスイス戦はメンバーを変更したって言ってた。中盤はバレッラ以外を入れ替えて、クロアチア戦はスタメンじゃなかったらキエーザをスタメンに戻した。でもこの結果になってしまった。
この発言とメンバー選考をみると、スパレッティはどうもプレッシングは選手のコンディションによる、と思ってる節があるんじゃないかと思ったんですよ。

ポール:うん。

とっさん:でも俺は違う意見で、誰がどうプレッシングのスイッチを入れるか、っていうのが設定されてないから、インテンシティ高く前からプレスにいけてないんじゃないかと思ったんよ。

ポール:確かにとっさんの言うように、スイス戦はハイプレスにいこうとしてたけどチグハグたったっていう印象やった。とりあえず前に人数かけてはいるけど、どこにどうプレスに行くかは決まってなかったように思うね。

とっさん:スカマッカがどうコースを切ってどう追い詰めるか、みたいなタスクを渡されてなかった気がする。渡されてたらやるからな。EL決勝でレヴァークーゼンを封じたチームのフォワードですからね。

ポール:ガスペリーニのアタランタね。

とっさん:そう考えたら、それぐらい仕込んだらできるでしょって俺は思ってしまう。仕込んでないだけじゃないかと。

ポール:それはそんな気がするね。ナポリの時も結構前からプレス行くチームを作ってたと思うけど、コンディション重視のチーム作りで上手くいってたということなんですかね。

とっさん:そうかもな。ナポリではアンカーのロボツカが指示してたかもしれないね。ピッチ上の監督がいた可能性があるよね。

ポール:今回はジョルジーノとかでは上手くいかずってことだったのかね。

とっさん:スイス戦はジョルジーノがスタメンじゃなかったから、いたらどうなってたかわからなかった。結局出場せずやったからね。

ポール:あー、スイス戦はそうやったか。

スパレッティの評価は、まだよくわからない

とっさん:一応、スパレッティ監督の続投は決まってると、イタリアサッカー連盟の会長が記者会見で言ってましたね。

ポール:それはどうなんですか、ファンとしては。

とっさん:次のワールドカップまで、期待できない空虚な2年間になりそうやな、っていう気持ち半分。時間かけたら持ち直してくれるかもしれないよね、っていうのが半分かな。予測ができへんのよ、代表監督のスパレッティって。サンプルが少なすぎて、正直わからん。
敗退が決まった後の記者会見でスパレッティは、「今回で世代交代した。私はこれをやり続けたいと思っている。もっと時間をかければいいチームが作れるはずだから、時間をくれ」というようなことを言ってるんよね。

ポール:うん

とっさん:スパレッティが言うように、時間かけてクラブチームみたいにメンバー固めれば、ナポリぐらい強くなる可能性もあるし。いろんな可能性がまだある状態やと思う。

ポール:なるほど。

とっさん:世代交代は確かに進んだなと思う。

ポール:そうやね。

とっさん:前回のEURO2020を優勝した、3年前のメンバー考えたら、センターバックはボヌッチ・キエッリーニやし、中盤はジョルジーノ・ヴェラッティ、前線はインモビレーとインシーニェ。その辺の世代が一気に入れ替わった。

ポール:はいはい。

とっさん:これからは、いま中堅26歳のキエーザの、さらにその下の新世代の選手たちを呼んで、もっとチームを活性化させていってくれると嬉しいなと思う。勝とうが負けようか。例えばニョントとか、ローマのバルダンツィとか。

ポール:ワールドカップまではそういう期間よね。予選さえ勝てば。

とっさん:ワールドカップ本大会も、若手もちゃんと切り札で入れてあげてほしい。今回は中堅ばっかり集めて、選手からフレッシュさというか必死さみたいなものを感じなかったから。そういう若手を見たいなとも思います。
あと、そういう若手の選手はキエーザとかオルソリーニの世代と違って、ワイドに張るだけじゃなくて、大外と中、両方できるアタッカーがちょっと増えてきてるんで、通り一辺倒にバルセロナ式の4-3-3みたいなのを続ける必要はないんじゃないかなとは思う。戦術を見直してもいいかなと思いますね。

アイデンティティを見直すタイミングなのかもしれない

ポール:前回のEURO2020は、フランスタイプのチームとスペインタイプのチームに大きく分けると、イタリアはスペイン方式で勝った、みたいなことを、前にとっさんは言ってたと思う。今後もスペイン方式の方がいいんですかね。イタリアの勝ち方としては。

とっさん:うん、自然とそうなると思う。そこは国の歴史・文化だと思ってて。フランスは、戦術的に何か代名詞的な言葉はないよね。過去に勝った時はジダンと仲間たち、のようなタレントを生した勝ち方をしてきた国やと思う。フランスから戦術が生まれてきた、革命が生まれてきたみたいなことが少ない。
イタリアってカテナチオっていう戦術とともに戦う歴史があったり、ゾーンディフェンスをやり始めた国だったりする。戦術とともに歴史があるから、やっぱり戦うとしたら戦術的に戦うだろうってなると思う。

ポール:じゃあやっぱりスパレッティに頑張ってもらわないとあかんね。監督によるところが大きいよね。

とっさん:大きいと思う。国内リーグを見てても、いま話題のカラフィオーリはチアゴ・モッタのボローニャみたいな戦術的なチームから生まれてきてるタレント。過去にはコンテが作ったユベントスからチームからキエッリーニ、ボヌッチ、バルザーリが出てきた。
だから、やっぱりイタリアは戦術の国で、じゃあ戦術に準じた方がいいんじゃないかなと思う。

ポール:なるほど。

とっさん:最後に、サッカーライターの西部謙司さんがイタリアを見て「これはドイツとイングランドが経験した『アイデンティティの喪失』を、イタリアがいま経験してる」みたいな話をしてた。引いてる守るイタリアの守備が笊(ざる)っていうのはアイデンティティの喪失だっていう話をしてたんよね。

ポール:ほー。

とっさん:これを聞いて、俺もそう感じた。ドイツとイングランドも一回グンと落ちちゃう時期があった。その時期には「ドイツらしさとは何か」ということが議論されてたけど、ナーゲルスマンで上手くいったら、そんなことを言う人は一人もいなくなるわけやん。
イタリアは今、チームサイクル的に過渡期なのかなって思った。監督がスパレッティやから上手くいかずに、いまから2年過渡期が続く可能性はあるけど、次の監督で上手くいったらいいんじゃないですかね、と思います。

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◆アディショナルタイム(編集後記)◆
結局アイデンティティも、勝てば官軍負ければ賊軍、なんですかね。いや、イングランドは勝っても叩かれてるし、ドイツは負けてもそんなに叩かれてないか。

このnoteはポッドキャストの内容を抜粋し、テキスト化して編集したものです。ポッドキャストでは、イタリアのタレント問題や、開催中にユーロについても詳しく話しているので、よければ聞いてください!

◆この記事の内容を話しているポッドキャスト
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