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2022/5/8 #平ハウス物語 @秋葉原MOGRA のDJ選曲についての怪文書

平ハウス物語フライヤー

はじめに

 2022年、3年ぶりの制限なしのGW最終日の5/8(日)、山田尚子監督ファン有志による非公式イベント、平ハウス物語がMOGRAにて催されました。
 有り難いことに私百合蔵もmirrorboyさんからお声がけ頂き、はるばる滋賀から馳せ参じDJをさせて頂きました。
 自分もそれなりに山田尚子監督作品については何度も何度も見返している自負はありますが、皆さんのトークの中で新たな発見が沢山あり、非常に濃密な6時間半でした。

 さて、今回は非常に珍しいのですが自分の選曲について言葉で解説を加えてみようかなと思います。
 私のDJの今回のテーマはざっくり、クラブミュージックにも実は造詣が深い(と思われる)山田監督が「京都のクラブ、CLUB METROのフロアで踊っていたなら…」という妄想です。重ねて申し上げますが、断片的な情報などをかき集めてできた私の妄想です。
 個々のトラック説明でも後述しますが、かなり幅広く音楽を聴かれている山田監督が、ダンスミュージックの中では実は無骨めなテクノやハウスが結構好きなんじゃないか?というのは牛尾憲輔さんとのタッグからも垣間見える部分ではあると考えています。
 と言うわけで、テクノ/ハウスからBPMを上げつつボーカル曲を交えて最後に我慢できずに『ねぐせ』をかける…と言うのが私の予定だったのですが、実際はもっと早くに我慢ならず Girlfriend by 常盤みどりさん をかけてしまい、事前告知よりも更に二重人格性の濃いセットになってしまいました。
 結局DJ3名とも『平ハウス物語』からハウスミュージックを想起して各々毛色の異なるセットで臨んでいたのは面白かったですね。

怪文書本編

 コンセプチュアルなDJセットでは、キーとなるトラックの間に音楽的類似性などを共通項に他のトラックを差し込み、接続して大きな流れを作るという手法をとることが多いです。今回も例によってそんな感じでした。なので、今回はこのDJセットにおけるキートラック+後半のたまこ楽曲についてのみ触れていこうと思います。以下人名に敬称がついたりつかなかったりしますがご了承下さい。

トラックリスト(イベント後に整理してプレイ楽曲を再リストアップしたもの)

1. H.R.A.R / OUTATBERO

 以前自分がCLUB METROで主催イベント関連でお世話になっていた制作のビンゴさんことB FROM OUTATBERO(現在は退職されています)の所属するオルタナティブバンド、OUTATBEROのElementsというアルバムに収録されている楽曲です。
 2018/2019年にはこの曲と同名のOUTATBERO自主企画にagraphが出演しています。自分もMETROでの公演に伺いました。

 山田監督自身も以前OUTATBEROに言及していたらしく、牛尾さんと山田監督両方に関わるという意味でもこの楽曲は今回のセットの中でもセレクトしたい一曲でした。(以下のツイートで天竺さんの紹介して下さっているYellowもこのアルバムの収録楽曲です。)

3. GAF 2.0 feat.ELOQ / Qrion

 北海道生まれ、今はアメリカで活動するテクノ/ハウスのトラックメイカーのQrionによるディープハウス。RSD2019限定のアナログで、数枚だけ持っていった中で唯一アナログでかけた楽曲です(ので、データ版を代わりに上に掲示したトラックリストにリストアップしました)。
 アナログは別でリリースされたGAF1/2を1枚にしたものでトラックリストも変わっており、もしかするとデジタル版とは曲も多少構成が違うかもしれません。

 このアーティストについても過去に山田監督による言及があります。

6. After High / Stones Taro

 今回のコンセプト下のセットの構築にあたって、やはり京都の音楽シーン・京都のトラックメイカーと言うのも欠かせない要素の1つでした。この曲は自分も個人的にパーティでお世話になった京都のハウス/ガラージプロデューサーStones TaroさんがUKのScuffed Recordingsから2019年に出したアシッドハウスです。今やShall Not FadeのTime is nowシリーズからもリリースするなど、間違いなく京都を代表するプロデューサーの1人であると思います。

 京都でハウスレーベルのNC4Kを運営する1人でもありますが、フロアユースな骨太のハウスが続々とリリースされており今後も要チェックのレーベルかと思います。

7. war situation /牛尾憲輔

 さて、『平家物語』サントラから、牛尾さんによるガチガチのアシッドテクノです。どうしてアニメ『平家物語』のサントラにアシッドテクノが入ってくるんだ…って感じなんですが、実際にアニメを見ると本当にその辺りの違和感がなくスッと入ってくるのでびっくりします。平家物語とテクノといえば、B.Toriyamaさんによるマシンライブ「壇ノ浦」、本当に感服でした。ちなみに『平家物語』サントラですが24bit/96kHzのハイレゾ音源をプレイしておりました。普段はハイレゾをかけることもないし負荷も考えるとDJソフト側のIFの設定は48kHzにしてるんですが、今回はこのためだけに96kHzに設定して臨みました。

8. CHASE / CeeeSTee

 アシッドの流れで。DJ/プロデューサーの通称藤原ことCeeeSTeeによるアシッドハウス。この3月に氏もMETROを退職され新たな道へと進まれましたが、ビンゴさんの後に長らく制作として私の主催イベントでもお世話になっていました。彼もHIHATTからもREMIXをリリースするなど、京都を代表するプロデューサーの1人であると言えます。是非彼のLiveもDJも、機会があったら是非見て欲しいプレイヤーの1人です。
 この曲は2020年、30周年イヤーとコロナ禍突入が被ってしまったMETROを支援するために立ち上げられたコンピレーションに収録された楽曲です。全59曲3k、めちゃくちゃお得。

9. east saburahi / 牛尾憲輔

 『平家物語』サントラから2曲目。「東の侍」的なタイトルでどうしてこんなにディスコ要素のあるハウスなんだ…。でもこれも劇中で聴くと妙にマッチしていてどうしてこのバランス感が成立するのだろう…と驚いてしまいます。尺が1分40秒とTVサイズのアニソンぐらいしかないのでループも使いつつロングミックスしていきました。文明の利器最高!

12. On the train back / Mokelmbe

Bassline/Garage/GrimeプロデューサーJacotanu/DC Mizeyの別名義であるMokelmbeによる黄前久美子さんと高坂麗奈さんの非常に湿度の高いやり取りがサンプリングされた2step。音源は既にインターネットにはなさそうです。

13. Girlfriend(Oblongar Remix) / 常盤みどり

 盟友Oblongarによる常盤みどりさんのキャラクターソングのリミックス。直前のトークセッションで『たまこラブストーリー』終盤の教室での常盤みどりさんと牧野かんなさんの絡みのお話をしていたため我慢ができなくなりました。

14. カンカン・マキマキ / 牧野かんな

 ブートから原曲の流れへ。そして先述の常盤みどりさんと牧野かんなさんのやり取りを思い出し。二重奏クレッシェンドもかけれたらよかったですね。

15. Call Me Anne Louder /  北白川あんこ

 北白川あんこさんお誕生日おめでとうございますの気持ち。
元々AJ2014の『omochi-tronica ep plus』に収録されていた限定音源で、今手に入れる方法あるのかな…と思っていたのですがよく見たらベストアルバム「Everybody Loves Somebody ~ うさぎ山から愛をこめて」に入ってました。

16. ねぐせ / 北白川たまこ

 まわるまわるレコード、ヴァイナルコントロールのDJとしてはやっておきたかった気持ち(純粋なアナログでないのは残念ではありますが、形だけ)。慈悲深いキック(と言うワードをタグで何度か見たけど何なんだろう)がMOGRAのフロアに響き渡りました。ねぐせってエンディング、映像も楽曲も本当にすごいです(語彙力ゼロ)。

17. ひなこより/ ひなこ

 母の日だったので最後にかけました。帰るなりすぐ平日が始まってしまったのでアレですが、たまこラブストーリーを視聴したい気持ちになっています。

Everybody Loves Somebody

 『平家物語』完結記念と言うこともあり、その劇伴を軸として展開しようと思ってはいたのですがやはり自分が山田尚子監督作品に大きくハマったきっかけは『たまこまーけっと』なので、トークセッションなども経て最終的にそれが色濃く出るセットになりました。

 遊びに来てくれていたネルくんも感じ取ってくれてたみたいですが、何となく自分でもプレイしながら6年前の「おもちナイト」や4年前の「Layered01」を思い出したりして帰りの新幹線で我ながら懐かしい気持ちになりました。来年はたまこ10周年イヤーですね…

おもちナイトフライヤー
Layered01フライヤー


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