優しい大人が欲しかった
母になって3年目。わたしは優しいお母さんをしているが、時々黒い感情に襲われる。
子どものころ、「鈍臭い」「気が利かない」と言われて育った。「ぼーっとしてるね」とよく言われた。
みんながテキパキ動いている中、オロオロしてしまうことがよくあった。
そうして1人だけ注意された。
あの頃、「今はこうするとみんなが嬉しいよ」「どうしていいかわからなかったんだね」と寄り添ってくれる大人はいなかった。
母はみっともないものを見るような目をしていた。どうしてこの子はこうなのかしら、と。
みんなが当たり前にわかることがわからない。みんなが持っているものをわたしは持ってない。
持っていないわたしがよくない。
よくないわたしは、頑張らなきゃいけない。
大人になっても、根っこは変わってないなあと思う。
なにかあるとまず自分を否定する癖。
一旦自分の喉を突き、腹を3、4回刺し、全体的に串刺しにしてからニコニコ笑顔を相手に向けるみたいな、
アンバランスでグロテスクな内面は変わっていない。
自分を否定することに躊躇いがないため、相手からもらった指摘は大抵素直に聞けるし、変わることに積極的なところもある。
優しい大人にもたくさん出会って、私と同じように繊細な人がいることも知った。
いま、子どもに寄り添える親になれている、と思う。気持ちに共感を示すことにおいては市内でいちばんであろう!ビンボーだが。
子どもはとても明朗に、すくすく育っている。
でも、時々思うのだ。
自分のような人が、子どものころ私のそばにもいたらなあと。
子どもの頃の自分を抱きしめて言ってあげたい。大丈夫だよ。あなたはそのままで完璧だからと。
そんなことを言っていても救われないが、
できるだけ、息子にしてやるのと同じくらい
自分に対しても優しくありたい。
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