まるで小説

寝ている間に1つの小説を読んだみたいな目覚めだった。


私はどこかのオフィスビルで働く個人事業の女性。事務所を移動することになり、移動作業を外部に委託した。
来てくれた人はただの引越し屋ではなく計画からトータルで手伝ってくれる男性だった。
最初からお互いに惹かれあうものを感じ、彼が気になっていた。

すべての作業が終わり、彼から請求明細が渡された。中にメモが入ってるのがわかり、その場で開けて見るのがためらわれて、後で見ようとすぐにしまった。

その打ち上げに出ることになり、ビル内の居酒屋に女友達(Bちゃん)と向かった。
エレベーターには彼とその同業者(佐藤健似のCさん)が乗り合わせていた。気まずい空気の中、エレベーターは上階へ上がって行く。

居酒屋に着くと、すでに大勢の人が飲み始めていた。彼とCさん、Bちゃんは奥の席に一緒に座った。入口で靴を脱いで上がるタイプの座敷席だった。

わたしが履いていたブーツを脱いでいると、近くの席に座っていた男性から「こっちおいでよ」と誘われた。本当は彼の席に行きたかったが。その誘いに応じることにした。

しばらく近くの人たちとしゃべり、席を移動するものの、彼の近くには行けなかった。

思い出したことは、作業の最後に彼から渡された彼の私物。彼の香りのするセーターやタオルをなぜかその時の私は持っていた。

切ない気持ちが押し寄せてくる中、気づくと身体にしびれ感があった。

「目がピリピリする!危ない!」
と咄嗟に思い、隣りにいた看護師の女性と同時に叫んだ。

「みんなすぐに外に出て!」

居酒屋で出されたカレーに毒が入っていたのだ。

全員を誘導する私が目にしたのは、事態を見届けて出て行こうとするCさんの姿。おそらく”彼”も仲間だったのだろうとその時悟った。

エレベーターホールに出ると、横たわされているおびただしい数の人体が見えた。医療関係者らしき人たちが数人で看病している。
あたりが騒然とする中、彼らがテロ行為に加担していたことを知った。

それでも彼を憎めず、彼の本心を知りたいと思った。だから彼から渡された紙を取りに行きたいと願った。そこに書かれていた言葉は何だったのか?


残念ながらそれは読むことはできずに目が覚めてしまった。

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