「私にしか撮れない写真」なんて存在するのかな
学生のころ、カメラを持ってどこでも行った。最初の2年くらいはただシャッターを押すだけで楽しくて、ひたすらパシャパシャしてた。
でもそのうち、ふと思った。
この写真って、誰でも撮れるよね……?
当時の私は、風景ばかり(しかも観光名所や有名スポット)撮っていた。絵画と違ってカメラは機械だから、ある意味残酷だ。同じ場所に別の人が来て同じ設定でシャッターを切れば、似たような写真が出来上がる。
でも、それから数年経ち、すこし写真の勉強をした今となっては、考えが変わった。
同じ写真なんて、誰にも撮れない。撮りたくても撮れない。
ふりそそぐ太陽の光は毎日、毎秒、表情を変える。それに合わせてどんな設定をするか。どんなレンズを使うか。そもそもどんなカメラを使うか。そしてどう、レタッチするか。
まったく同じ写真をレタッチするだけでも、人によってやっぱり仕上がりは変わる。似せようとしても、どこか「その人っぽさ」がにじみ出る。
撮る対象が人間ならなおさらだ。おんなじモデルさんを撮ってても、人によって別人みたいに見えたりする。
「私にしか撮れない写真」なんてもの、目指さなくても勝手にそうなってしまうんだと思う。オリジナリティみたいなものは、無理にこねくり回して作るよりも、勝手ににじみでちゃうくらいがきっとちょうど良いんだろう。
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