恋人の髪を切り続けて。
彼が最後に美容院に行ったのはいつなのだろう。
彼の髪を切るのはわたしのお仕事。
歴でいえば2年の大ベテラン
うまく切れるときもあるし
プロ名乗れるのでは?と自惚れることもある
が、ごめんな。ブチャラティみたいな髪型にしてと思うこともたくさん。
わたしが恋人の髪を始めて切ったのが夏の暑い日だった。
美容師の見よう見まねでハサミを縦に動かしてみる。
形を整えてガタガタ感をなくす。
少し時間はかかったが素人にしては上手くいったと思う。
それ以降、わたしは恋人の髪を切っている。
正直、美容院に行って欲しい。
ガタガタな不恰好な髪型から脱却して欲しい
それでも頑なに行きたがらない
美容院の会話が苦手人間なんだ。
ちなみにお金もケチっている。
「美容院に行ってかっこよくしてもらって。」なんて言うもんなら
「じゃあ、いつ空いてる?」なんてわたしのことを美容院か何かだと思っている発言。
まあ、その後はわたしの華麗なブチャラティカットをお見舞いするのだが。
わたしがどれだけ下手に切ってしまっても、笑いながら許してくれる。
その瞬間がまた楽しいと思うわたしもいる。
わたしはこれからも、多分だけど、彼の髪を切り続けるんだと思う。
積み重ねる日々に変な髪型という思い出を付けて、何気ない日常を楽しく彩れていると思えば
彼の髪を切るのも、まあ、悪くはないか。
恋人へ、また変な髪型で会おうね。
古い髪はアリーヴェデルチ!
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