どうなってっちゃうの日本語
見逃し配信サービスの番組を息子と見ていて、
CMに切り替わった途端、二人して「ん?」とフリーズした。
「最近、透け感が気になって…」。
髪の薄さを気にするイラスト風の女性が言っている。
息子が開口一番、「”透け感”って」。
スマホですぐさま「透け感」の意味を調べ、
例:ブラウス、カーテンなど という説明を導き出した。
「透け感」は、ふつうはポジティブなイメージに使うものと私は思っていた。
透け感のあるシフォンのブラウス、透け感のある前髪。
確かに、Google辞書には「透けて見える感じ。特に、重ね着をした際の透け具合」とあった。
ネガティブともポジティブとも言ってない。状態を指してるだけ。
でも、私の中では、「透けることによってプラスのイメージになる」的な感じがあったのだ。
「透けていておしゃれ」みたいな。
それなのに、薄毛になったことを「透け感」って。
「男性向けのCMはストレートに薄毛とか言うのに、なんで女性向けはストレートに言わないんだろう。いえばいいのに」
と、息子。私もそう思った。
もちろん、テレビという全国電波で商品をアピールするから、
ドラッグストアでその商品を手にした人が、人の目を気にしないで買えるように、というささやかな配慮なのかもしれない。
でも、加齢で髪の毛が細くなって頭皮が透けて見えてしまうのは、本人にとってはダメージであり明らかにネガティブなこと。
それをオブラートに包もうとして無理やりポジティブな言葉に変換すると、かえってそこだけ浮いてしまって逆効果な気がする。
髪の毛の、透け感(ポジ状態)が、気になって(ネガ悩み)
やっぱり違和感が残るし(もしかしてそれが狙い?)個人的には気持ち悪い。
だって、「透け感」はポジティブなイメージの言葉なのに、それが「気になるって、あべこべだ。
日本語リテラシーの育っていない人がそのCMを見て、何の考えもなしにその表現を使い始めたら、ますます日本語がぐずぐずになってしまう。
CMを印象付けたいからって、こういうのは辞めてほしい、断固として。
そう思っていると、さらにスマホをいじっていた息子が、
「業界ではふつうに”透け感”って使ってるらしいよ」。
二人で顔を見合わせて、
「なんか気持ち悪いねー!」。
あなたはどうでしょう。どう思います?
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