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『この恋を星には願わない』3巻感想!

「この恋を星には願わない」最新3第が2024年8月9日に発売されました!

表紙も本編も特典イラストも、とにかく絵がきれい…!!やっぱり紫のあ先生の作品は紙で読むのがいちばんですね。

一言感想を書いていきます。


3巻あらすじ

3巻は、映像研究部の夏合宿回です。

【あらすじ】

不揃いの想い、離れていく距離。

夏休みが始まり、冬葵たちは映研の夏合宿を控えていた。

ただ、本来楽しみにしていたはずの合宿も、それぞれが打ち明けられない想いを抱えたまま当日を迎えてしまう。

彼女、彼氏、友達、幼なじみ、

複雑に絡み合った関係性はぶつかり、大きく捻じれていく…

この恋を星には願わない 3 (it COMICS) コミック

うん…。
あらすじの通り、それぞれの想いとは裏腹に、どんどん捻じれていく様が描かれていく回でした。
読み進めるのがつらかった…。だからこそ全員を応援したくなるし、どんどん物語に引き込まれていくんだけれどもね。

現状はどうにもならない関係になりつつあるよね。

1,2巻は冬葵目線、3巻は瑛莉ちゃん目線

1,2巻はどちらかというと、冬葵目線での瑛莉ちゃんへの想いと苦しさが描かれていて、2巻の終わりでモノローグが入れ替わって、というか重なって、3巻は瑛莉ちゃん目線といえる展開でした。

まさにこのイラストの通り…!
1,2巻は、冬葵→→(苦)→→瑛莉ちゃん
3巻は、京ちゃん→→(苦)→→瑛莉ちゃん→→(苦)→→冬葵

という感じ。
とにかく全員の矢印が苦しいのよね…(笑)。

一人一人の心境が気になるので、少しずつメモをつらつらと。

3巻の冬葵

2巻で、誕生日を恋人らしく過ごす瑛莉ちゃんと京ちゃんを目撃してしまい、メンタル不安定になっていたところを、妃咲さんのおかげで気持ちを落ち着かせることができた冬葵。
でも、心の傷はなくすことはできず、3巻で自分に触れようとする瑛莉ちゃんを拒絶してしまう。

思ってもいない自分の反応に自分でも戸惑っているし、しゃがみ込む様子からは自分を責めてもいそう。好きな人に対して、拒絶反応が出てしまうのは、しんどいだろうな…。心と身体がちぐはぐ。

ただ、こういうとき、1巻でも言っていた通り、「心の痛みのごまかし方」を、冬葵は知っている。「私には先輩が必要です」と、時に頼ることができる。
だから合宿に妃咲さんが来てくれることになって、「嬉しい」と言ったのは、本物の恋人同士ではないにしても、心安らげる人がそばにいてくれることへの安堵感から出た、本心だったと思う。

拠りどころになるところがなければ、血がにじむほどに自分を傷つけてしまうこともある冬葵だから、心は壊れてしまうかもしれない。
自分を保てるように、瑛莉ちゃんに心配をかけないように、妃咲さんに弱さを見せられることは、ある意味冬葵の強さだと思う。

そして3巻の終盤、砂浜でのシーン、すごかったですね。
冬葵は自分を保てているから、瑛莉ちゃんがいちばんつらい場面で、誰よりも早く気づくことができる。
努めて冷静に、優しく、瑛莉ちゃんに寄り添う言葉をかけることができる。幼なじみとして、いちばんの親友としての、もっとも正しい言葉をかけることができる。
ただそれが冬葵の本心ではないのがつらいとこなのですけど…。

冬葵と瑛莉ちゃん、きっとお互いに「いちばんに私を見てほしい」「いつも隣にいたい」「私があなたをいちばん好きなのに」と思っているはずなのに、お互いに口にできない。

きっと長い時間をかけて造られた美しいフォルムだった砂のお城が、波に飲まれて、あっけなく脆く崩れていく様子はうなりましたね…。冬葵と瑛莉ちゃんの17年を表しているかのよう。

3巻の瑛莉ちゃん

3巻の瑛莉ちゃん。
今までになく、瑛莉ちゃんの激重感情が描かれました。

迫真と評された演技シーンは、まさに彼女自身の心境が言葉にされていたよね。このコマ、見れば見るほど情緒がおかしくなる…!絵の表現力がすごい。

連載を追っていたときは正直、瑛莉ちゃん、それはちょっと自分勝手な物言いでは?さすがに京ちゃんがかわいそうだよ、と思ったこともありました。

京ちゃんの「俺はお前のなんなんだよ…」のシーンはかなり胸に刺さりました

私、基本百合に出てくる男性に対しては心が虚無になることが多いんだけど(笑)、京ちゃんだけは別だな。
「冬葵がいちばん」だと言う瑛莉ちゃんのことを理解しようとして、尊重したいとするのはえらいと思う。でも、さすがに許容できないことを言われて、突き付けられて、あまりにかわいそうで同情してしまったよ…。

後輩の伊野ちゃんがきっといいと思うよ。京ちゃんにも幸あれ。

そして、そんな印象だった瑛莉ちゃんですが。
今回通して1-3巻と改めて読んでみて、瑛莉ちゃんが何度も示している「誰よりも何よりも冬葵が第一」という行動原理は筋が通っているし、世間の「恋人が最優先」という価値観はものともせず、自分が大事にしたいものを何より大事にできる、一途な子なんだなと思って、瑛莉ちゃんのことをすごく好きになりました。
一途すぎるから、あと素直に人の言葉を受け取りすぎるから、そして不器用なので、今のこの苦しい状況にならざるをえなかったんだろうな…。

瑛莉ちゃんはきっと、本当の意味で「恋愛感情」を自覚したことがないんだと思う。
男性に好きになられて、一緒にいれば次第に好きになる、と自分を思い込ませて、それが恋愛で、でも「いちばん大事」なのは、いつだって冬葵。

恋愛はいつか別れがくるもの、と認識しているから、だったら終わりの来ることのない今の関係のままの方が、幼なじみでいちばんの親友のままの方が、瑛莉ちゃんにとって大切なものだと思っている。
そうやってずっと、冬葵にとってのいちばんも自分であり続けたいと思っている。そして最後のモノローグにあったように、冬葵の隣をひとり占めしたいと思っている。

読者から見れば、瑛莉ちゃんそれは、きっと恋愛感情だと思うよ、と思うけれど。

今の瑛莉ちゃんはそうは思えないんだろうな。

瑛莉ちゃんが今後自分の気持ちと向き合う中で、もし転換点が来るとしたら、やっぱり妃咲さんから浴びせ続けられるスパイス(笑)がきっかけになるんだろうな。

3巻の妃咲さん

3巻、表紙を飾った妃咲さん。
いやーーーーー、なんて美しい表紙。このままパネルにして飾りたい。

そして電子版2ページ目(裏表紙)を初めて見て、変な声でちゃいました…。そこに瑛莉ちゃんがいるんかいーーー
妃咲さんの挑発的な視線の意味がさらに深まっちゃうよね…。いくらなんでも煽りすぎでしょう先輩(笑)。

3巻を読んで改めて、このイラストのように、妃咲さんといるときの冬葵が私は好きだなと思いました。
妃咲さんといるときは、本音を話せて、表情もずっとリラックスしていて、冗談を言ったり、笑ったり怒ったりもできて、すごく自然体。

この表情もね、冬葵かわいいよーーーー
冬葵のこの表情を自然と引き出せる妃咲さん、読者の救いです。最高ですありがとう。

瑛莉ちゃんといるときは、どうしてもつらそうなんだもの…。
ただね、もちろん瑛莉ちゃんの隣にいる時にだけ見せる冬葵の表情もたくさんあるのよね。
心から嬉しそうだったり、はにかんでたり、最近はそういう場面が見られないだけで(涙)
こことかね。冬葵かわいいよ(涙)

さて、3巻の妃咲さん。

やっぱり通して読んでも、妃咲さんの本心がなかなかわからないのよね。

あそこで見せつけるように冬葵にキスをしたのは、煽るように彼女宣言をしたのは、どうして?わざわざ火種を作るような行為をしたのは、なぜ?

「イラつく」と口に出すほど、妃咲さんの感情が乱れているこのシーン。
両片想いに見える二人だけど、もどかしくて、冬葵は傷つけられているのに優しいままで。
それに対して、妃咲さんが完全な第三者だったら「あきれる」の方がしっくりくると思うんだけど、「イラつく」なのよね。
「イラつく」って、自分ごとの感情じゃない?と思います。

ここのモノローグをそのまま解釈すれば、

冬葵がそんなんだからさぁ
あの子は アンタを傷つけていることにも 気づかないで
同じこと繰り返して
また 冬葵のこと 傷つけるじゃん

妃咲さんが瑛莉ちゃんの気持ちをかき乱すような行為をするのは、ひとえに「冬葵をこれ以上傷つけさせないため」になるよね。

あと、瑛莉ちゃんに、冬葵への自分の気持ちに気づかせるためかもしれない。
どちらにしても、そのためにわざわざ揉め事を起こすってさ、瑛莉ちゃんからの嫌われ役を買って出るってさ、無償の愛どころじゃないと思うのですよね。それってもう”冬葵へのこの上ない愛”でしかなくない???と思ってしまうんだけど。

いくら”仲良しだからって、お互いの利害が一致しているからとって、”かわいい後輩”のためだけにここまでするんだろうか…。
冬葵への愛情がそこまでないのに、ここまで行動に起こすとしたら、妃咲さんいい人すぎるんですけど。

(妃咲さん推しフィルターが存分にかかっているかもだけど(笑))


そんなこんなで、この先、いつまでも煮え切らない瑛莉ちゃんに見切りをつけた妃咲さんが、冬葵に「アタシにしといたら?」って本気で言う未来を私は待ってます。

これがね、本気で実現してくれたら嬉しいよ、私が。

そして気づいちゃったんだけど、妃咲さん、大勢といるときや瑛莉ちゃんと話す時は、大体よそいきの「私」と言っててさ、心の中の声とか、冬葵といるときは「あたし」「アタシ」と言っているんだよね。これとてもいいな…。
いかに冬葵には心を許しているかが、わかる。

紫のあ先生は意図して使い分けてるのかな。

特典について

3巻、特典も最高でしたよね…!!描き下ろしがたくさんあってありがたい。

電子版の特典、笑いました。
ドシリアスな本編と突然の「好きな麺料理⭐︎」の温度差がすごすぎて風邪ひきそう(笑)
みんな一人一人、っぽすぎる麺料理と食べ方などで、とても癒やしでした。冬葵が太るほど食べられなさそうなのめっちゃわかるし、妃咲さんが食べるの早そうなのもめっちゃぽい。

そしてとくに4Pリーフレット!!
ネタバレすみませんが、「妃咲さんにもかわいい服を着てほしい冬葵さん」というシチュエーションからして最高です…。とてもかわいい4Pでした。「それを着ろと…私に」でもう笑ってしまった。

妃咲さん、その服はダメだけど、メイド服はいいんだ…と確かに思った(笑)
妃咲さん×黒といえば、この妃咲さんも素敵すぎますよね。この服装のスピンオフ回がものすごく見たいくらい。

ちなみにまんが王のサイン本、ものすごくほしかったけど、残念ながら抽選は外れてしまったみたいです。。めげずにまた次回があったら絶対応募しようと思います。

「この恋を星には願わない」次回16話は9/6!

3巻発売後、次回更新は、9月6日だそうです。
待ち遠しいですが、きっとあっという間ですね。ありがとうございます。

3巻の余韻にひたりながら待ちたいと思います。


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