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藍活2021/沈殿藍を作る

秋が深まって冬の足音が聞こえて来る直前になってしまいましたね。
振り返ればこの夏は塩石けんにかかり切りで、会社員の方も時間外の勉強が煮詰まっていて結構ぎゅうぎゅうでした。でもその隙間で藍活もちゃっかりというか無理やりねじ込みました。
今年は1kg強の生藍葉をてに入れて、沈殿藍作りに挑戦です。

沈殿藍の作り方

沈殿藍の作り方はいくつかありますが、一番ポピュラーなのが数日間水に浸して発酵させる方法です。この方法の中にもいろいろ流派があるようですが、あまり細かいことにはこだわらず、キッチンでできる範囲でなんとかします。

もう一つは発酵させずに煮出す方法。原理は昨年紹介した「いつでも空色染め」と似たところがあります。たくさん処理するのは(道具の関係で)限度がありますが、発酵法のように匂いがなく、1日で酸化まで持っていけるのがいいところです。こちらも、発酵がうまくいかなかった時の押さえにやってみます。

また、生葉を使わない方法もいくつかあって、整理して公開されている情報はなくて、個人的にいろいろ実験して成功しています。過去にフィトピグメント講座では青い乾燥葉から簡単に化学建てで取り出す方法を紹介しましたが、他の建て方や違う素材を使う方法です。これらはちゃんと写真を撮ったらまた別の記事にしてご紹介できればと思います。

緑の葉から青いインディゴが生成する化学は「いつでも空色染め」の記事で紹介しているのでご参考ください。画像だけ貼っておきます。

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発酵法の沈殿藍作り

【原理】生の葉から水にインジカンを抽出し、発酵でインドキシルに分解した後、酸化によってインディゴを生成させます。

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【写真上段】 本来、藍は茎ごと浸せばいいのですが、小さいバケツしかないので葉だけむしることにしました。茎がないと取り出すのも大変なので、三角コーナー用の不織布の袋に入れておきます。浮きあがらないように重しをして。蓋(ラップ)をして暖かい窓辺に放置します(8月です)。

【写真下段】 2日おいた様子。水が蛍光黄色になっています。いい感じ。そして臭い! いっちょまえに藍独特の発酵臭を発しています。室内でもうこれ以上無理かも(ラップを外さなければ臭いませんが)。
念のため、少量取り出して、青くなるかを確認しました。

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続いて、少量の消石灰を加え、空気を含ませて酸化させます。
小さいバケツなので、キッチンのシンクで、計量カップで水をすくい上げて注ぐ、を繰り返しました。
※大きい容器で作るときは皆さん独自のかき混ぜ棒やバスポンプを使うようです。
空気を含ませ始めると青い泡が出てきます。写真左は消石灰を入れる前なので泡が白いですが、本当は右上のように青くなります。
エアレーションを何度も繰り返し、泡が白っぽく、キメが粗くすぐ消えるようになったら終了。生成したインディゴを沈澱させるために、1日ほど放置します。
写真右下は、放置後の液面です。

発酵しない方法での沈殿藍作り

こちらはほとんで写真を撮っていませんでした。
生葉からお湯でインジカンを抽出し、酵素を加えて分解を行います。写真は酸化させた後、沈殿を確認した時のものですね。
きれいに沈澱して、水は黄色です。

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沈澱を取り出す

発酵も非発酵も、酸化から一日置いたら上澄みの水を捨て、沈澱したインディゴを取り出します。
染めに使う場合はいきなり濾過してペーストをとればいいですが、私は石けんや絵の具作りに使いたいので、なるべく夾雑物、水に溶けている黄色なども除いておきたいので、小さい容器に移して新しい水を注ぎ、また沈澱させて上澄みを捨てるのを何度か繰り返して沈殿を洗浄します。
その後コーヒーフィルタで濾過して得た沈澱を乾燥して保管します。
今回は少量だったので、乾燥後に乳鉢ですり潰しまで行いました。

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完成

写真の2本の瓶のうち、色が薄めで量が多いのが発酵法、濃くて少なめのが非発酵です。色の差は消石灰の加え方の違いなどによるものと思われます。
(下の瓶は生産者さんが作ったもの。見た目の比較がしたくてそばに置いていました。)
沈殿藍の収量は藍の重量の1%ほどと言われていますが、大体その程度となりました。発酵法の方はだいぶフィルタに持っていかれてしまったのが残念です。

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まとめに代えて

頑張って作った沈殿藍、ほんの少しですが、めちゃめちゃ達成感!
この後石鹸など作って色を確認します。これを書いている今日現在、実は非発酵の方だけしかできていなくて、インスタやFBを見ていただいている方はご存知と思いますが、そこから別の色素インジルビン方向へ脱線したりしています。それはそれで面白いので、順次整理していきます。
気長にお待ちください。


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