見出し画像

藍活2022 藍生葉からの木綿染め(化学建て)

夏は藍の生葉染め♪
今年も生産者さんから立派に育った藍を分けていただいて、染めています。

木綿の染めに挑戦

藍の生葉染めはシルクなどタンパク系の繊維にはよく染め付きますが、木綿や麻のようなセルロース系はほとんど染まりません。
インディゴの前駆体であるインドキシル(生葉染め)とホワイトインディゴ(建て染め)の染め付き方の違いによるものと思われます。
化学式のイメージは下図、説明はリンク先を参照ください

藍染めでのインディゴ生成のイメージ

シルクのストールやスカーフなら簡単に鮮やかな空色が染まって気持ち的にはとてもあがるのですが、そのストールを使うかと言われると、私の普段着とはなかなか合わせにくくて結局死蔵させてしまうことになりがちです。(藍に限らず)
なので最近は染めるなら普段使うものと心掛けています。
色々考えて、そろそろ取り替えたかったバスルームの入り口の暖簾(のれん)に決定! 藍熊染料さんから40×150cmの木綿の縫製品を購入しました(2枚使います)。
大物ですが、口が広い容器は5リットルくらいの鍋しかない我が家で、しかもキッチンシンクの中で、果たしてちゃんと染められるでしょうか。。。

生葉からの化学建て

上記のように、木綿は生葉の青汁から直接は染まらないので、一旦インディゴを生成させてから建てて染める必要があります。
今回は手軽な化学建てをやってみます。(その他の建て方で当日中に染められるかわかりません)

実は今回、この染めを2回やっています。
一度めは試行錯誤だったこともあり薄めにしか染まらなかったので、その反省を踏まえて2回目は丁寧に藍色を取り出すことを心がけ、濃いめに染めることができました。
事前によく調べていなくて、こうやったら上手くいくかな〜の自己流なので、どこかに教科書があったら違っていることも多いかもしれません。その辺りはご容赦ください。

うっかりしていて建てるまでの工程の写真を撮っていなかったので、2回目の手順で文字だけのメモになります。
使用した藍の生葉は正味180グラム、のれんは1枚100グラム(2枚同時に染め)です

1)青汁を作る

藍は葉だけを使用。ひとつかみずつ水と一緒にブレンダーにかけて荒く粉砕し、不織布の三角コーナー用ネットで濾して濾液を貯める。
シルク染めの時のように急がなくて良い。
最後、濾された葉の残差をネットごと水を張ったボウルにつけてよく揉んで、さらにエキスを十分に絞り出す。
これらの水側を集めて、水を足して4.5リットルくらいにする

2)インジカンの分解(酵素反応)

酵素反応でインジカンがインドキシルに分解されるまでの時間はおよそ15分と言われているので、1)の液を15分以上置いて反応を進める。今回は結果として30分放置

3)インディゴ生成(エアレーションによる空気酸化)

2)の液に炭酸ナトリウム(炭酸ソーダ、ソーダ灰)小さじ2強を加えてアルカリ性にする(その方が酸化反応が早く進むため)。この時pHは10−11くらい。
酸化反応用の空気を液に含ませるため、カップで液をすくい上げて高めのところから注ぐ作業を10分ほど行う(ヒマなので数えて約300回)
その後30分ほど放置して反応を進める。
液は濃い緑から青緑色に変化しているはず。

4)化学建て(還元反応でホワイトインディゴを生成)

3)の液にハイドロサルファイト(藍染め用の還元剤)小さじ2を加え、よくかき混ぜて溶かす。
さらに15ー30分ほど放置して還元反応を進める。
白いスプーンですくってみた時に、液の縁が明るい黄緑色に見えていればOK。
(蛍光黄緑色のホワイトインディゴが生成していることが確認できる)

5)染める

布はよく濡らして絞っておく。
今回はグラデーションに染めたかったので、下の方だけを染液につけて、1回目は5分ほど、液の中で揺らしたりほぐしたりしながら染める。
時間になったら液中で布を絞って別容器にうつし、たっぷりの水で手早くすすぐ(2回)。
風のあたる場所に広げて10分ほど干し、酸化発色させる。日が当たればなお良し。

徐々に上の方まで浸すようにしながら、染める→すすぐ→干す を計4回繰り返し。
2回目からの染め時間は2−3分ほど。

※ハイドロ追加で染液の再還元

3回染めたところで、液の蛍光黄色が無くなってpHも9−10程度に下がっていた。
まだ青は残っていそうだったので、炭酸ナトリウムとハイドロを共に小さじ1/3ほど追加して15分ほどおき、再還元して染液を復活させた。

6)よく濯いで完成

染まった布を改めてたっぷりの水でよくすすぐ。2−3回。
さらに色揚げのために少量の酢を入れた水ですすぐ(アルカリの中和かな、やらなくてもいいかも)。
もう一回清水ですすいで、乾かす。

まとめ

藍染めのれん

化学建ては染液に戻した時に一度染まったインディゴも再還元されるためか、それほど濃くは染められないと聞いています。
でもまあまあ、わたし的には満足のいくところまで染められました。
一度目の挑戦はおそらく上記3)での青色発色が足りず(時間短くアルカリも入れていなかった)、写真だと白飛びしちゃうくらいの薄い水色しか出せなかったので藍に申し訳なかった、申し訳なかった!の気持ちをなんとか克服できたかな。

木綿をちゃんと染められることがわかったので、また次回もTシャツとか大物に挑戦したいなという意欲が湧いてきました。
来年に続く!
かな

藍染めのれん
左が初回、右が今回の染め直し
お弁当クロスも染めました!




もしお心に留まったなら、サポートいただけるとうれしいです。 ご支援はせっけんや色の研究に使わせていただき、noteでご報告いたします。