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せっけん女子へ、リン酢のススメ

小ネタです。
お酢でリンス(濯ぎ) =「リン酢」とか、ワードセンスの昭和感が否めませんが、うまく造語できないのでこのままいきます。せっけん男子も読んでね。

ちょっと前から赤箱が復権していたり、ご時世的に石けんでの手洗いを推奨されたりで、洗顔やお風呂、洗面所で固形石けんを使われる方がじわっと増えているとかいう話も聞きます。
若干不謹慎ですが石けんloverとしては見直してもらって嬉しい部分もあります。使いましょう、石けん♪

石けんのいいところと気になるところ

石けんでの肌洗浄の特徴は、程よい洗浄力と泡切れの良さ、そしてさっぱり感にあると思います。
身体を洗ったときのこのさっぱり感は他では得難いもので、多くのボディソープで洗浄成分のメインにセッケン成分(全成分表示にはカリせっけん素地などと記載されています)が使われています。ところが同じ石けんでも、洗顔すると、さっぱりを通り過ぎて突っ張りを感じてしまうことも少なくありません。 (顔は身体より敏感なので、そのように感じやすいとのことです)

このお顔の突っ張りを和らげて、その後化粧水をつけるのを忘れるほどの保湿感を与えてくれるのがお酢での濯ぎ洗い、つまり「リン酢」なのです。

リン酢の効果

私は洗髪にも石けんを使っていて、石けんによる髪のギシギシ感が避けられないので、洗髪の仕上げにリン酢を使っています。髪のギシギシも肌の突っ張りも実は理由が同じなので、髪にリン酢をする時に肌にもお裾分けすることで、お風呂上がりも突っ張り知らずでいられるし、以前は粉を噴くほど乾燥していた足の脛もすっかり気にならなくなりました。

市販の洗浄剤が合わなくて石けんにしたのだけどやっぱり乾燥気味なのが気になるという方が、身体にもリン酢をすることで、お風呂上がりに全身クリームの切迫感が和らいだとうかがったこともあります。(クリームは塗るのだけど、すぐ塗らなきゃ!みたいな感じではなくなったと)

リン酢の仕方

■用意するもの
お酢 : りんご酢、米酢、穀物酢、ホワイトビネガーなど

■やり方
石けんでの洗顔後
洗面器一杯のお湯にペットボトルのキャップ1〜2杯のお酢を混ぜ、顔を濯ぐ。
その後、清水(お湯)で1−2回濯ぐ。

お風呂であれば、顔をすすいだ後、身体にもかければ全身しっとりです。

注意として、髪、顔、身体、どこに使うにしても、洗浄に使った石けんをしっかり濯いでからリン酢してください。
石けん成分が残っていると、酸によって油分が大量発生してしっとりどころか不快な「ベタベタ」になります。

■ひと工夫

お好みで、ハーブを漬けで色や香りをつけたハーブビネガーを使うとお酢独特の匂いが和らぎます。
私は、ローズマリーやスギナなどの髪や頭皮に良いハーブに、ミントやレモンバーベナなど爽やかな香りのハーブ、そして綺麗な赤色の出るラベンダーやローズを合わせて漬けておくのがお気に入りです。

お酢の匂いは初め気になるもののすぐに慣れますし残りません。使う際に洗面器に薄めた状態ではほとんど匂いはしませんが、それでもダメという方は、クエン酸(食用のもの)やリンゴ酸をひとつまみ(ほんの少し)、洗面器のお湯に溶かすことで代用できます。

また、このくらいまで薄めたものは、私は目や小傷に染みたりしませんが、気になる人は控えてくださいね。

↓ ローズマリーとローズ、ホワイトリカーのハーブビネガー

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ちょっと化学の説明

さっぱり感や突っ張りの原因は「金属石鹸(石鹸カス)」です。
セッケンの分子は私たちが普段食している食用油を分解して取り出す脂肪酸とナトリウム(Na)が結合した「脂肪酸Na」ですが、洗浄中に一部の脂肪酸Naが水道水中のミネラル(硬度成分、多くはカルシウム(Ca)やマグネシウム)と反応してNaがCaと入れ替わった脂肪酸Ca(金属石鹸)が生成します。金属石鹸は名前には石鹸とついていますが水に溶けず、付着性があるので、濯ぎきれずに肌の上に残ります。

金属石鹸はアルカリ性で、お酢やクエン酸のような酸性の成分と反応しやすく、これによって突っ張らない成分に変化させることができます。

脂肪酸Ca + お酢(酢酸) →  脂肪酸 + 酢酸Ca

金属石鹸のカルシウム(やマグネシウム)が酢酸によって取り除かれて再び水に溶けるようになり、その後の濯ぎで取り除かれます。
片割れの脂肪酸は油分であり水に溶けにくいので引き続き肌に残りますが、そもそもセッケン由来の脂肪酸は食用油に含まれるもの、つまり私たちの皮脂の成分と同じか非常に近いものなので悪影響はありませんし、適度なしっとり感につながります。

リン酢をしなくても突っ張り感は時間と共に和らぎますが、これは皮脂が分泌されることで肌が弱酸性に戻りつつ、張り付いていた金属石鹸を浮かせて緩めるためと考えます。

余談ですが、全くミネラルを含まない超軟水で石けんを使うと金属石けんが生成しないので、突っ張らないしさっぱりもしません。さっぱり感に慣れていると、すすいでもすすいでもヌルヌルして終わりがわからない状態になるそうです。髪がギシギシしなくなるので洗髪には超軟水を使えるといいですね。
逆にいうと、普通の水道水でも髪がギシギシしないシャンプーで体を洗うと、さっぱりしなくてキレが悪い感じがしちゃうということです。

石けん以外の洗浄剤では?

リン酢は石けんとの相性が良いものですが、そもそもセッケン成分(脂肪酸Naや脂肪酸K)を含んでいない洗浄剤ではこの効果が得られないので、どっちかわからないという人はパッケージの全成分表示をよく確認してください。

まあ、石けん以外の洗浄剤の多くは石けんの悪いところ(石けんカスができやすいとか突っ張るとか目に染みるとかたくさん必要とか)を解消することから開発がスタートしているので、同じ対策が不要ということです。
シャンプーとペアのリンス剤や洗濯の柔軟剤も濯ぎ後にも残る洗浄剤によるゴワゴワの解消だったりしますが、ゴワゴワする理由が異なるので、お酢では代用できません。(実は石けん洗濯だと柔軟剤不要です!)

終わりに

石けん洗顔のツッパリ感の解消に、お酢による濯ぎ=リン酢が効果的というお話をまとめました。
このひと手間で、石けんの使用感が大幅アップ!、すでに満足の方もさらにうるうを求めて、ぜひお試しください。


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