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音声ガイドで分かりやすく 空手ファンを増やすために

(こちらは10月21日に共同通信社から地方紙向けに配信された「スポーツ随想」の千種担当回第8回の記事です。共同通信社からは許可を得てnoteにも配信しています。)


去年9月6~8日に、空手のプレミアリーグ東京大会が五輪会場となる日本武道館で行われました。日本は決勝に進んだ8階級全てで金メダルを獲得。開催国として強さを見せました。私は現地に取材に行きましたが、初めて見る人への情報不足が課題だと感じました。

 空手の競技の一つ、相手と闘う「組手」はルールや反則がラグビーのように複雑です。早ければ1分で決着がついてしまう場合もあり、慣れない人には何が何だか分からないうちに試合が終わってしまう可能性があります。例えば歌舞伎や美術館にある貸し出し式の音声ガイドのような仕組みが必要です。しかし今大会で行われていたインターネットでの生中継は、リアルタイムとは25秒ほどのタイムラグがあり、音声ガイド代わりには使えませんでした。

 参考にしたいのが柔道界の取り組みです。今年8~9月に行われた世界選手権東京大会では、スマートフォンなどを使ってほぼリアルタイムで五輪メダリストらの解説を聞くことができました。

 実況や解説の内容も、空手を知らない人をターゲットにしていく必要があります。私が日々気象情報を伝える上でも、気象を知らない小学生や高齢の方でも分かるような伝え方をするように心掛けています。現在行われているラグビーワールドカップでも、実況や解説にラグビー経験者からするとしつこいくらい反則やルール解説が挟み込まれていますよね。

 空手がマイナースポーツから脱することができないのは、「空手はやったことがないけど好き!」と言ってくれる、いわゆる「ファン」が少ないからだと感じています。空手を知らない人に積極的にアプローチしていくことが必要だと思います。

気象予報士、一橋大学空手道部女子監督 千種ゆり子

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