市だご探検●取材メモ2024/8/23
今日は、まち全体が学びの場コーディネーターの松野さんにご紹介いただき、地域おこし協力隊小仲さんと共に、木山出身・在住の80代の方のもとに取材に行きました。元々農家をされていた方です。市だご以外のいろんなおやつのお話も聞けて、とっても興味深く、楽しく、90分があっという間でした。
「市かぜ」といって、初市の日はとても寒かった
昔は木山の畑でスイカを育てているときに、雪が積もることがあった。初市の日は寒いことがよくあった。(初市の頃に寒い風が吹くことを「市かぜ」と言ったということかなと思います)
初市の日に家で振る舞うもの
市だごの他に、ひともじのぐるぐる、くじらの酢味噌、吸い物などがあった。酒は多分、日本酒。「かたびんた」の人も、来ていた。横顔だけ知っているような、ちょっとした顔見知り、という意味。
昔は米がとても貴重なものだった
供出といって、米や麦は国に提出していた。なので、米は貴重なもので、日常で自分達で米を食べることはほとんど無かった。小麦はたくさんあったので、普段の食事は、米の代わりにだご汁を毎日のようによく作って食べていた。市だごの団子の粉も、くず米を使って粉にしていた。戦前は砂糖はあった。戦後は砂糖がないときもあって、代用品を使っていた。
小豆を作る過程
昔は4月に小豆植え。柿の葉の新芽に、小豆が3粒乗る頃が、植え時。
7~8月には「あずきしの」といって、収穫の時期。朝、暗い時間帯からしないと、昼の暑いときにすると小豆がはじけたそうで、早朝からの収穫だったそう。収穫後、小屋に持って行き、家族4人でたたく。柄の付いた道具を使う。リズム感が大事で、ひとりがたたいた後、ふたりめがたたき、トントントントンと順にたたく。誰かがズレると、怒られたそう。子どもも、成長してくると上手にたたけるようになる。
収穫後、きれいな小豆と食べられない小豆の仕分けは、おばあちゃんの仕事。基本的には小豆は売っていた。家で食べる分はとっておく。
小豆を収穫した夜は、小豆だご汁
夏に「しの」をした日は、とれたての小豆で、小豆だご汁を作って食べた。小豆を炊いて、砂糖を入れて、だご汁のだごと同じものを入れて、できあがり。ごちそうだった。ちょっとしたお祝いの日や特別な日に、小豆だご汁を作っていた。
おやつシリーズ①いきなりまんじゅう
さつまいもがある季節。夏くらいから。よく作っていた。
おやつシリーズ②のべだご
だご汁のだごを伸ばして、幅広く切って、ゆでて、きなこをまぶす。田植えのときにおやつに食べた。きなこがないときは、黒砂糖だけまぶすときもあった。
おやつシリーズ③しるまんじゅう
大津の方の人は「ひめだご汁」と呼ぶみたい。からいも餡をだごで包んで、みそ汁の中に入れる。大根のつまびな(間引きしたもの)を入れることもあった。
取材を終えて
夏の日、小豆を収穫した後に、家族で小豆をたたいて、夜は小豆だご汁をいただく。この日はきっと、大変だけど、夜の小豆だご汁が楽しみで、小豆をたたくタイミングの上手さで兄弟の成長を感じたり、色んな気持ちになる1日だったんだろうなと想像します。
今ほど食材のバリエーションがあったのかどうかは分かりませんが、そこにあるもので、人の手で、とても豊かに暮らされていたことが伝わってきました。取材にご協力いただいた80代の方は、戦前から復興して今に至るまで、ものすごい時代の移り変わりを目の当たりにされてきたんだと思います。変わってしまったもの、変わらないもの、変えたいもの、残していきたいもの、色んな視点で、もっと考えをめぐらせてみたいです。
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