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頭に"エロ”を思い浮かべないと、右も左も分からない

こんなことを書くのはとても恥ずかしいのだけど、僕は左右盲(さゆうもう)だ。あまり聞き慣れない単語かもしれないが、要するに右と左の区別をとっさに付けられないってこと。医学的には、左右失認とも言うらしい。

イメージしづらいという人に分かりやすく説明すれば、ある人から急に「右に曲がって!」と言われても、「えっと…どっちだっけ?」と頭の中が混乱して、ワタワタしてしまうって感じだ。めちゃくちゃ早い手旗信号を指示されている感覚といえば、共感できる人もいるかもしれない。

もちろん、ちょっと(10秒くらい?)落ち着けば冷静に左右の区別はつけられるから、完璧に分からないという訳ではない。地図を読んだりモノを整理整頓したりはできるけれど、手旗信号や視力検査なんかはとても苦手だ。

僕が左右盲に気づいたのは実は去年のことで、それまでとっさに判別できないのは、単に自分が頭が悪いからだと思っていた。気づいたきっかけは、僕の妻の運転をナビする必要があったときに、全く思うように案内できず焦ってしまったからだ。右と左を口で説明できないことを打ち明けると、妻がスマホで調べだして「もしかして、右左盲なんじゃないの?」と指摘したのである。

僕はそんなものがひとつの症状として名付けられているなんて思いも寄らなかったけれど、ネットで調べていると割と左右盲で悩んでいる人は他にもいることを知った。しかし、感覚的すぎる事柄のせいで、詳しい原因はあまり解明されていないようだ。

ただ、僕が左右盲になった原因については思い当たるフシがある。それは、利き手の矯正である。幼い頃から左利きだったが、それでは文字を書くのに不便だということで、祖母から矯正を受けたのだ。幼稚園の頃に慣れない右手でひらがなをノート1ページ延々と書く練習をやっていたことを今でも覚えている。(あの頃はばあちゃんが鬼のように怖かったな…)

しかし、母の方は「そのまま左手でいい」という方針だったようで、僕の知らないところで2人で相談したのだろう。食事の箸やスプーンは左でも持っていいということにされていた。なので、食事は左、筆は右というヘンテコな両利き人間として成長したのである。

おそらく、この左利きの矯正が左右盲の直接の原因だと思う。よく学校の先生から「お茶碗持つ方が左でお箸が右手」みたいな話をされたが、僕はまったくピンときていなかった。右と左をその時々で使い分けるようにして生きていたので、判別する習慣も身につかなかった。(調べたら、利き手の矯正が原因の人は結構の割合でいるらしい)

中学の頃は「お箸で飯食いながら、ペンでノートを書ける」ことが自慢だったけど、おそらくその頃から左右の区別について全然判別できていなかったはずだ。運動会の行進のとき「まずは右足だして!」という言葉の意味が分からず、何とか毎日ごまかしていた。

それで、29歳の今までどうにかこうにか生きてきた訳だけど、左右盲を指摘されてからは何とか解決法ないしは解消法がないかを探った。そうしていると、またも妻がこんな解決策があると教えてくれた。

ちらいむさんという方のTwitterがソースとなっているけれど、これによれば、頭の中に「エロ」という言葉を思い浮かべて、「エ」がある方が「左」、「ロ」がある方が右とすると、頭で整理しやすいとのこと。(見て分かると思うが、それぞれの漢字の一部が「エ」と「ロ」と同じになっているから、とっさに判別しやすいという理屈だ)

これには衝撃を受けた。まさか、左右の区別を「エロ」だけで解決できるなんて…。

それ以降、自然と左右の区別をつけられるよう、自転車の運転や知らない街の散策では、頭にいつもエロを思い浮かべられるよう訓練している。まだ、完全にとっさの判別はできないけれど、それでも自動車のナビはできるようになったので、多少の効果はあったと思う。

何が言いたいかといえば、やはりエロって大切なものなんだなということなんだけど、それを言うには多少の言葉が必要になったので、こんな記事を書いた。同じ症状で悩んでいる人は、気軽に試してほしい。


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