あの時

あの時私が発した言葉は、
どのようにあなたに届いたのだろう。
もっとほかの言葉にすればよかった、
今でもそう思う。


そんなことより。

あなたの変化になんとなく気付いていたのに、何もできなかった。
ちがう、何もしようとしなかった自分が、時々ゆるせない。

会うたびにに変わっていく姿。
好きだったライブにも行かなくなってた。
せっかくとれたチケットも、
友だちに譲るんだ、って、私のところへ来たよね。

あの時は、これ以上触れてはいけないのかと思って、
そのまま帰してしまった。

その頃にはきっと、こころの病気は随分と進んでいて、
でも、誰にも助けを求められなくて。ひとりで苦しんでいたんだろうか。


少しずつ痩せていく姿をみて、私は、「病院に行きなよ」って言ったの。

でも、

「行っても何もしてもらえないから」って答えが返ってきた。

まさか、こころが傷ついているとは思ってなかったから。
そんなはずないのにな、って思った。


どうして私は気付かなかったんだろう。

あの頃はもう、ほとんど笑っていなかった、そんな気がする。
遊びに来てくれる回数も減っていたんだ。

私は少し疲れているんだろうな、くらいにしか思わなかった。

もっとちゃんと見ていればよかった。
なんとなく変わっていくのに気付いていたんだから。


そして、とうとう、
仕事に行けなくなったんだよね。


ごめんなさいって、突然消えたあの日。
心配でたくさん連絡してごめん。
帰ってきにくかったよね、きっと。


あんな状態になるまで、たくさん連絡してこなかった事も、私の罪。


普段からもっと、私のほうから連絡していたら?
もっと会いに来てもらっていたら?
なにか変わっていたのかな。
それも今となってはわからない。

私はいつも来てくれて当然だという気がしてたんだ。
私たちの事大好きでいてくれたから。


甘えていたんだね、わたし。


もうじき2年がたつ。
忘れている事の方が多いよ。
でもね、やっぱり春になると、思いだしちゃった。


帰って来たあの日。
私が発した言葉は、どのようにあなたに届いたのだろう。


なにが正解かわからない。
今となっては。


ただわかるのは、
私のあの時の気持ち、それだけ。


そして、2度目に突然消えたあなたは、もう、帰らなかった。

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