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「桜嵐記」を【花道の隣】で見て気づいたこと
久しぶりにnoteを書きたくなりました。
twitterでさんざん自慢させていただいたとおり、6/12(日)の「桜嵐記」、三井住友VISAカード・宝塚友の会の貸し切り公演、私の座席は花道の真横でございました。
私の持っている三井住友VISAカードは、チケットを申し込むと優先的にSS、S席が当たるというもの。今回ももちろん、鼻息強くSS席を申し込みましたが、見事落選、S席となりました。(ちなみに私のSS席体験は、月組の久世星佳トップお披露目公演「CAN-CAN」「マンハッタン不夜城」大劇場公演初日、1996年3月29日のみ)
チケット到着の日も「10列1番!」と盛り上がったのですが、桜嵐記は花道芝居が多いとの噂を聞いてさらに胸は高まるばかり。
近すぎじゃね?(冷静)
私の座席~ あったあった、こっこだー♪ という一人芝居をそこそこに、席を見てびっくり。
デデーン!
ジェンヌさんが歩く場所との距離、おそらく160センチくらいでしょうか。なんならここに私が横たわって、私の身長165センチとの差分を確認したかったのですが、さすがに止めました。
そしてそして、開演始まって気が付いた、「前の座席がスコーンと誰もいない!」という事実。オーシャンビュー。
最初、「後からくるのかな」なんて思っていたのですが、あれよあれよとこのまま幕が開いて、ようやく事態を把握しました。感染症対策でSS席1列目が空席だとは知っていましたが、まさか花道横もそうだったとは。
私の強運はnoteでもさんざん書いてきたのですが、宝塚大劇場で見る最初で最後のりょうちゃんのサヨナラ公演がこの座席ということに、もう何か怖いものさえ感じました。神様ありがとう!
ここからは、花道に最も近い女Sと化した私の自慢レポートです。
さくら、お前ってやつは……
一番書きたかったのがこれ。
「ほな、いきまひょか」のあと、楠木正行(珠城りょう)と弁内侍(美園さくら)が、この花道を通って退場します。恥ずかしそうにうつむくりょうちゃんに肩を抱かれながら、痛い足をかばって歩くさくさく。
さくさくは歩きながら、数度、りょうちゃんをいとおしげに、はずかしげに、そっと見上げます。りょうちゃんの目を見上げます。
そして、花道の最後の最後の最後、退場まで「あと1歩」、というところで…
弁内侍は正行を、熱のこもった瞳でぐっと見上げたのです。
おそらく座席の角度から、これが確認できた方は少なかったのではないでしょうか。最も至近距離で目撃した私が皆さんを代表して報告しておきます。
こんなことを言ってはなんですが、もう半歩で舞台裏ところなら、そのまま歩いてよいと思うのです。実際、芝居をフェイドアウトさせるようなジェンヌさんがいたことも報告します。
でも、さくさくはそれをしなかった。しなかったどころか、リミッターを外して思いっきりラブビーム(昭和)を飛ばしていた……
さくら~! お前って本当に本当に、りょうちゃんのこと好きなんだな~!!!(大の字)
ひっくり返りたくなりました。
間近で見る千海華蘭ちゃんの、凄さ
これも書きたかったやつ。
からんちゃんは今回、武士でも公家でもない平民のおじさん「ジンベエ」を演じていますが、このお化粧の巧みなこと…… おっさんとしか思えませんでした。
そして、下半身の動かし方や表情……おそらく教養がないことを表現するような、口の開き方、目のお芝居が見事でした。「俺には分からねえ」というかんじで会話を聞いていたり、平民には理解できない単語には顔をわずかにしかめたり。
私の座席からよくからんちゃんのお芝居が見えたのですが、役者っぷりがすごいなあと感激しました。
からんちゃんも、花道に引っ込む最後の最後まで、「ジンベエ」そのものでした。恐れ入りました。
立ち方・歩き方
月組を見てきて、オペラなしで遠目でジェンヌさんを見て、その体型、立ち方、歩き方で誰だかわかるようになってきました。
ありちゃん、ちなつさん、れいこ、りょうちゃん、れんこん、このあたりはよくわかります。輝月ゆうま氏の場合は身長でまず分かってしまうけれど。
花道横で皆さんが歩いているのを感じて、特に歩き方がすごいなあと思ったのが、ちなつさん(鳳月杏)。
すーっと軽やかに、でも気高く歩かれていて、さすがでした。
れいこ(月城かなと)は、三男坊らしく、ちょっとわんぱくな、粗雑な感じの歩き方だったかな。ズンズンズンと音がしそうでした。
りょうちゃんの目に光る涙
桜嵐記の最後、りょうちゃんが花道を通って引っ込み、芝居は終わります。
りょうちゃんのサヨナラ公演、しかもこんな素敵な内容のお芝居で、最後の最後に舞台にいる姿を、一番近くで見られて本当に幸せでした。
拍手の中花道を歩くりょうちゃんの瞳には、零れ落ちそうなほどの大きな涙が光っていました。とても美しかったです。
「珠城の方程式」に感謝
前にも書きましたが、以前OGさんとお話しする幸せな機会を持った時に「舞台上では何もかも装ったものは通用しなくて、自分個人が出てしまう。恐ろしい場所」と仰っていました。
りょうちゃんの良さは、飾らない、真っ正直なところ。スポーツ少女らしく、根性!やります!といった一直線なところだと思います。「こう見せたい」というのはあまりなくて、舞台の上でその人になること、その人に近づくことが最もよい舞台になると心から信じている人だと思います。
りょうちゃんの舞台人としての技術のいくつかは、ほかのトップさんより劣るところもあるのかもしれない。
それでもそんなことは全く関係なくて、それがあっても有りあまるほどの舞台人としての魅力、女性、人としての魅力があふれているから、圧倒的な「陽」の空気が劇場を満たすから、こんなふうに我々の心をとらえるのだと思います。
りょうちゃんの「月雲の皇子」は誰がなんといっても宝塚の歴史に残る名作ですが、上田久美子先生のなかにはこの大成功した公演で編み出した、「珠城の方程式」があるのだと思います。
「陽」の役者の悲恋+珠城+日本物+死+鳳月+長男+実直+…… etc
サヨナラ公演だからと過多になりすぎずに、慎重に最高の配合でその方程式を活かしてくださった、上田久美子先生の脚本、演出が素晴らしかったです。
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