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私を元気にしてくれる、たったひとつのせりふ ~拝啓、朝霧真さま~ 

ほんの数時間前、月組公演の大千秋楽が終わりました。ライブ配信を自宅で見ていましたが、17時から用事があったので、蘭世惠翔ちゃんの階段降りを見届けたところで途中で見るのをやめて向かいました。

今日は、タイトルそのまんまですが、今日で宝塚歌劇団を卒業した月組男役、朝霧真さまに御礼を書きたいと思います。

ちょうど一昨日、仕事が休みでした。映画に行こうか、マッサージに行こうか、海を見に行こうか、ずっと考えていて、朝起きてやっぱり月組公演をどうしても見たいと思い、見に行くことにしました。(月組が東京にいて、チケットを譲ってくれる方がいて、自分の体があいていたら、そりゃ月組を見に行くだろう、と我に返りました)

その前にどうしてもお手紙が書きたくなり、るうさん(光月るうさん)と朝霧真さんに手紙を書いて、日比谷シャンテ前から投函して、観劇しました。るうさんに手紙を書いたのは二回目。朝霧さんに手紙を書いたのは初めてです。

たったひとつのせりふ

朝霧さんに手紙を書いたのは、御礼を伝えたかったからです。

私には、大好きなせりふがあります。たった一言のせりふです。本当に大好きで大好きで、思い出すといつどこにいても声が出ちゃうくらい笑ってしまって、元気になって、はあーっと心の中があったかくなるのです。

仕事でいやなことがあっても、悲しいことがあっても、今こうしてnoteを書いていても、それを思い出すと笑ってしまいます。

私の大好きなそのせりふは、「今夜、ロマンス劇場で」の朝霧さん演じる映画監督の「なに死んでんだ!」です。(ロマンス劇場を見たことがある人ならきっと分かりますよね)

新選組の映画の撮影中に美雪姫(海乃美月さん)が乱入してくる。ドタバタのなかで美雪姫が演者の模造刀を抜き取り、新選組の格好をした俳優を切り付ける真似をする。映画俳優のサガで俳優は瀕死の、迫真の演技をしてしまう。あっけにとられたほんの一瞬の間があって、監督役の朝霧さんの「なに死んでんだ!」の怒声とメガホンで殴る仕草。あっサーセン、というかんじで我に返る役者。

この、いろんな人が立ち回ってスピーディではちゃめちゃなシーンのなかで、朝霧さんのせりふの、間と、声の張りと、構図と、誰よりもすらっとして足が長い監督の立ち姿。大好きなシーンで、いつも大笑いしてしまいました。

ロマンス劇場は何度も見に行ったので、見に行くたびにこのシーンが楽しみで楽しみで、シーンが近づくとフライングして笑いを抑えきれずにフフフフ……と声が出ちゃったりして、非常に楽しい時間でした。

あのとき宝塚全体が、コロナで休演が続いていて、月組だけがノンストップで上演できている状態でした。宝塚もそうですが、私自身もコロナの影響で仕事がイレギュラーで、これまでの当たり前が当たり前ではなくなって、いろいろしんどい時期でした。

たったひとつのせりふ、短いシーンですが、それに元気をもらっていました。こんなことってあるんだな、たったひとつのせりふで、と何度も思っていました。

今日、私は朝霧さんの階段降りを見ることはできず最後のご挨拶を聞くこともできなかったけれど、朝霧さんがせりふに対するこだわりのことをお話されていたと知って、胸がいっぱいになりました。やっぱり、こだわっていらしたんだなと、あの私の大好きなシーンは偶然出来上がったものではなくて、練って練って作ってくださったものなのだと、感謝の気持ちでいっぱいになりました。

朝霧さんのことは、ショー「Full Swing」でも注目するようになって、私の大好きな久世星佳さんに立ち姿が似ていて素敵だなと思うようになりました。退団を知ったときはとても残念で、今回の公演も、るうさんを見て、朝霧さんを見て……と忙しくさせていただきました。

たったひとつのせりふ、たった一回の瞳の輝き、ただ手を挙げるだけの仕草、振り向いた時の表情、そういった一瞬のもので胸がいっぱいになり、ずっと心に残ることがあります。頻度は多くないけれど、たまにそういったものに出逢います。

映画やテレビで見るドラマと違って、劇場という同じ空間を共にして、同じ時をリアルタイムに過ごしている、一期一会だからこそ生まれる宝物のような瞬間です。

私はこれからも、あのシーンを思い出すたびにちょっと笑って、ちょっと元気になるのだと思います。そしてそのたびに、あの朝霧さんを思い出すんだろうなと思います。

もっともっと舞台を見たかったなと、シンプルにそれだけを思います。過去の作品のなかから、朝霧さんを見つけて、楽しみたいと思います。


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