見出し画像

「宝塚って、一回見てみたいんだよね」という男性に桜嵐記を見せた話-5

同僚の男子が「宝塚って一度見てみたいんだよね」と言うので、宝塚歌劇月組公演「桜嵐記・Dream Chaser」を観劇してもらいました。その後の情熱の方向性がとても興味深いので、皆様にもシェアします。

前回の記事はこちら

初観劇から16日経ちました。

現在の彼のステイタス
・8月中旬 東京宝塚劇場一階席にて観劇
・8/15珠城りょうラストデイ大千秋楽 ライブ配信視聴済
・iTunesで桜嵐記の実況音源購入済
・桜嵐記/Dream ChaserのBlu-rayを筆者より貸与中。
※度重なる返却要請に応えず、日々満喫中。(画面を写真に撮って送ってくる。私はどの場面もよく知ってるから写真いらないのに)


こっちでいろいろ書いている、その続きです。
今回も名言のオンパレードをご紹介します。

3人連なって歩くところがやばい。演出かっこよすぎ

桜嵐記冒頭、後醍醐天皇、楠木正成、楠木正行、が一列になって舞台奥へ歩いていくあのシーンがとてつもなく好きなのだそうです。あのシーンは私たちも好きですよね。

何度見てもかっこいい

桜嵐記冒頭、振り向いてスポットライトがあたり、矢を放つ正行登場シーンがとても好きとのこと。男子にここまで絶賛されるりょうちゃん、本物だなー

「今日があなたの限界ですか」ってすごいね

月城かなとの回のカフェブレイクを見たそうです(笑)ウエクミ先生にも興味を持ち始めたみたいでした。

何段かに一回はみんな見てるね

ドリチェのフィナーレの階段降り、ジェンヌさんがどれくらい足元を見ているかを見ているそう。(暇なのかな)
「よく見ないで降りれるな、すごい」とのこと。

(出島)見たい。興味あり。

れーこ(月城かなと)から入って、りょうちゃん(珠城りょう)に惹かれ、巡り巡って今、ちなつ(鳳月杏)さんにハマっているので、出島のフィナーレのソロ燕尾のすばらしさをちょろっと語ったら、即答(笑)

鳳月杏やっぱ、かっけーな



脈絡もなく書いてくる。

お決まりのルーティンに惹かれます

タカラヅカフォーエバーを歌ってお別れしましょう、というヅカオタならお馴染みの(お馴染みすぎる)あの光景に惹かれるそう。

「安心感と期待感」と表現していました。

そしてそこから…

また僕が卒業公演を見たらタカラヅカフォーエバー聞けると思うと、楽しみになる

そこまで?(笑)歌が好きなのだそうです。

壮観ですよね

「トップが優雅に歩いて、周りが盛り立てて」という宝塚独特の絶対的な構図が壮観なのだそう。ドラマを感じるそうです。

相変わらず頭の中で、美園さくらが、夢を追いかけーって言ってブルンブルンしてる

あの、ぶりぶりっと両手をふわっと広げて、るんるんと銀橋から帰っていくさくらちゃんが印象的だった様子。ついに頭の中にまで登場しているそうです。

そういえば、さくらちゃんの歌唱力は本当に絶賛していました。何と言ってたかな…笑って覚えていなかった。何かすごいたとえをしていました。

愛しいキャラですね。どストレートな感じというか

珠城りょうさんをこう表現。

鳳月杏は足の出し方に特徴があって、珠城りょうは肩から腕の構えに特徴がある

研究の結果、そう特徴を捉えたそうです。初見の動画を見て、遠目でも誰が誰だか分かるようになっていました。

「もう…どうしてもっと早く教えてくれなかったんですか。こんな世界」

これを初観劇から二週間ちょっとの男子から引き出せたら、私はもう満足です。布教レベル、いっきにあがった気がする。

口を開けば宝塚。仕事の合間に宝塚。
夜寝る前に、ドリチェを再生。
ルサンクをめくって、検索して、またひとつ知識が増えたと再確認。
日々のルーティンに宝塚が加わって、彼の生活は楽しそうです。

統括)彼は何故こんなにも宝塚に惹かれているのか

彼本人はオタク気質を持たず、まったく違う世界の住人です。それがどうしてこんなにも宝塚に惹かれてしまったのか。

背景にはコロナがありそうです。

私たちの会社はフルリモートで、昨年春から出社しない生活を送っています。私の場合、昨年二月から今年八月の間に、出社したのは六回です。

彼も同様の生活を送っているなか、演劇、スポーツ観戦など全く縁遠い生活をおくっており、本当に本当に久しぶりに私が連れ出して、「人がたくさんいる」劇場に入ったのだそうです。

そしてあの熱量。

周りの客はハンカチを握りしめて号泣し、身を乗り出すように手拍子をする。ぴったり揃う拍手。会場全体の大きな一体感。……まずその段階で、わあっと体中で興奮して、軽く涙してしまったのだそう。(「人がいる!」という懐かしさもあったんだろうなと。それを聞いたとき私も少し泣いてしまいました)

そのなかで初めて見るキラキラした舞台。

一生懸命なひたむきな姿のタカラジェンヌの姿は、特別な存在。トップスターは完全無敵の笑顔で圧倒し、組子はそれを大事に大事に迎える。舞台に立っているのが嬉しくてたまらない笑顔。懐かしいようで新鮮な、圧倒的なピラミッド型のスターシステム。

そして、しっかり予習して臨んだ桜嵐記。ストーリーは把握していたから、あのシーンはこう表現するんだ、と細部が心に伝わる。夢のようなDream Chaser。分かりやすい音楽。耳に残る懐かしいメロディ。

…この総合的な体験、体感が、体を「嬉しい」「すごい」で満たしてくれる。観劇後に、音楽やBlu-rayに触れることで繰り返し繰り返し、その嬉しさが蘇ってくる。

そんな状態のようです。今まで聞いていた話をまとめると。

「タカラジェンヌめっちゃ美人!」といった単純な浅い喜びじゃなくて、コロナ禍で寂しい生活を強いられてきた一年半を経たからこそ、あの素晴らしい舞台のすべてが体と心に染み入ったんだなあと思うと、なんだかとても、見せてよかった気持ちになりました。

これこそ、りょうちゃんが繰り返し言っていた「日常を忘れ、私たちの舞台を見て少しでも楽しい気持ちになっていただけたら」の体現だと思いました。

「やべえ。楽しい」

何度も彼が繰り返すのがこれ。いろいろ知る楽しみ、見る楽しみで、毎日がとても楽しいそう。暇さえあればyoutubeでいろいろ探して、顔と名前の一致に励んでいるそうです。

月組はすごいな。繰り返し繰り返し見ている我らヅカオタの心もじゅうぶんに満たしながら、こんな風に初見の男子も虜にして、たった三時間で価値観を変え、その後の生活を楽しくさせた

宝塚の力は、本当に偉大ですね。

これからも温かい目で見守りたいと思います。

(仕事中も変な正行語のメッセンジャーが飛んできて、ちょっとやべーやつだなあと思い始めてはいるけれど)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?