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「宝塚って、一回見てみたいんだよね」という男性に桜嵐記を見せた話-1

「こんなに評価されている宝塚を一度本当に見てみたい」という同僚男子が現れたので、チケットをご用意しました。実録レポです。

意外に多い「一回見てみたい」人


「宝塚、一回見ていたいんだけどね~」という人は、私の周りに非常に非常に多い。でもその中に「チケット取ってくれたら見るよ」というニュアンスが含まれていたら、その場で「ぜひぜひっ!」と答えて終わりにする。だって、全員にチケットを手配していたら、身が持ちません。

しかし「こんなに世間で宝塚宝塚言われているから、一度見てみたい」と話す同僚男子の中に本気度を感じたので細かいコミュニケーションを重ねて、ついに一枚チケットを手渡すことにしました。

初観劇は来週。どう準備してどうプロモートしたか、リアルタイムで残しておきます。誰の参考にもならないと思うけど。

布教三原則(笑)


「私、宝塚好きなんです!見たほういいですよ!」と誰彼構わず言うことは絶対しません。私の中の布教三原則は以下。
※「布教」と書くと怖いけど、半分冗談でそう書きます。

1. タイミングを見極める
2. その人に合う布教方法
3. 感想を押し付けない

1. タイミングを見極める

いつも共有しあうヅカ友が試験勉強のため宝塚断ちしているので、誰かいないかなあと本格的に思うようになりました。

見せたいな、と思う相手は数人いたのですが、このタイミングでは同僚男子君に決定。

理由は以下の通り。

1. 彼が親友から観劇を勧められていた

彼の親友くんが宙組さんの『天(そら)は赤い河のほとり』を見たそうで、彼に「お前、宝塚っていいぞ。一度見てみたほうがいい。すごいから」と言ったそう。彼が親友くんと「見たよー」と話をするためにも、見てもらったらいいなと思うように。

2. 彼の知人が、某トップ娘役さんの弟さん 

彼が「そういえば~」と、まるでこの間マクドナルドを食べたよ!的な軽いかんじでこれを言い出したときに、「お前早くそれを言え!」とレストランで大声を出してしまいました…(コロナ禍以前の話です) 

やはりこの彼に宝塚を見せると、彼の人生も豊かになりそうだなと。

3. ミュージカル好き

海外でミュージカルを劇場で何度か見たことがあり、ミュージカル映画も好きとのこと。これも加点要素に。

4. 悲劇好き

明るいスカーン!とした作品やアクションよりも悲劇路線の映画の話をよくしていたので、マッチするかな?と思いました。

5. 実は月城かなとファンだった

以前私がエリザベートを見に行った時にちらっと検索したそうで、月城ルキーニを注目していたそうです。面食いの彼、「すんげえ美人」と何度も言っていました(笑)

その後も動画を見たり、トップスター決定発表のニュースもちゃんと読んでいたそう。トップ就任の日付まで知っていました(笑)

桜嵐記に月城かなとも出てるよ、と言ったら喜んでいました。

…これらの話を聞いていて、今がタイミング的にもよいのかなと考えました。

2. その人に合う布教方法を考える

・どの演目ならその人に合うか、楽しめるか
・どんな体験をゴールとするか(ただ単にチケットを取ってお任せにするのか、その人が知的好奇心を持っている対象をクリアにするのか、三時間をめいっぱい楽しんでもらうのか)
・どんなインプットが邪魔にならずに最もその人の観劇体験をサポートできるか

このあたりを考えます。基本、どうしたらその人がその時間を楽しんでくれるかを考えます。その後も好きになってくれたらいいけど、欲張りすぎると情報過多なので選択と集中。

2-a 桜嵐記は初観劇にベスト? Twitterで質問してみた

結果、桜嵐記はよさそうと思って決行することに。

2-b 初観劇の「予習」の手配

初観劇の人には必ず「どういう事前情報が欲しい?」と聞きます。あらすじだけ知りたい人もいれば、見どころを知りたがる人もいます。

私からの情報に、せっかくの初体験の邪魔になる成分が含まれているともったいないので、相手に合わせることにしています。

今回の彼にはまず、

「初めて宝塚を見た人は、いろいろ驚いたり見るべきところが多くて、あちこち見ていて終わってしまった人も多い。事前にどんな情報があったら、本番で見たいところをじっくり見れると思う?」

と聞きました。

彼は過去に海外でミュージカルを見た際に、初見ではストーリーが分からないのでふわっと見てしまい、とても残念だった記憶があるそう。一方で、映画で先にストーリーを知ったミュージカルは没頭できてとても良かったそうです。

これを聞いて、

1. あらすじだけ教える

2. プログラムを渡して自分で判断して必要なところを読んでもらう

3. ルサンクを渡して台本を先に読んでもらう

3つのパターンを掲示。結果、彼は迷わず3を選んだので、プログラムとルサンクをセットで差し上げました。「これを読んでおけば、誰が何を言っているのか聞き取ろうとしないでほかのことをじっくり見れるし、ストーリーが追えなくてモヤモヤすることもないから、すごくいい」とのことでした。

全ての人に当てはまるわけではないですが、こういう方法もあるということでご紹介しておきます。

くわえて、楠木三兄弟物語の漫画も共有しておきました。


2-c その他の「予習」、インプット

その人の性格や興味がありそうなことを話すようにしています。自分が言いたいことを全部言うと、単なる押し売りになってしまうので…

今回はさらっと以下の説明。

「もうこの辺でやめとく?」と何度も聞くのを忘れずに。「もっと聞きたい」があったらさらに付け足すスタイルで。

・経済面)宝塚歌劇団の一回の公演のチケット代収益と、チケット代収益から予想される一公演あたりの収益。その金額が動く公演を「座長・トップスター」として30そこそこの女の子が担う重さ。(ここが一番響いたみたい)

・基礎知識)宝塚歌劇団ができた経緯、107年続いていること、5組あること、専科の存在

・本公演の背景)トップスター珠城りょうさんの退団公演であること 大千秋楽間近なのでそこにも共感してみている観客が多いこと、りょうちゃんの軌跡 どんな五年間のトップスター人生だったか

・脚本の背景)脚本家・上田久美子先生と演者・りょうちゃんの関係性

彼は黒燕尾の群舞と大羽根を背負ってトップスターが降りてくるのがとても楽しみなのだそうです。

3. 感想を押し付けない

「私はいろいろ見たうえでこれが好きで勧めているけれど、すごかったでしょうという押し売りはしたくないから、無理に『良かった』と言おうとしなくていいからね」と伝えてあります。

いろいろ見た末の「良かった、これが好き」と初見の「良かった、これが好き」は違うし、どちらも尊いものだと思うので、機会は用意するけれどあとはフランクに行きましょう、というスタンスがお互い楽です。

「四條畷で待つ!」

「四條畷で待つ!」と言ってパンフとルサンクを渡してお別れ。苦笑されましたが、見終わった後に意味が分かってくれるでしょう。

来週劇場で見たあとの、彼の第一声が楽しみです。





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