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賽の汚部屋

私は物心ついた頃から綺麗な家で暮らした記憶がありません。
もうかれこれ30年以上も汚部屋と付き合っています。

汚部屋の原因は重度の買い物症候群だった祖母と、片付けが出来ない父です。
基本的にどの部屋の四方にも、祖母の購入した物でピラミッドのように積み上げられている。トイレとて例外ではない。
そして父は『散らかったら掃除をする』という概念が無い人だった為、家の衛生面はとにかくヤバかった。

どのくらいヤバい汚部屋なのか?
食事を食べるテーブルに、ゴキブリが当たり前に蔓延るレベル。
当時の部屋を思い返すとウエッてなる。

親である祖母と父が、掃除の面で全く役立たずな為、必然的に私が掃除人となった。

ちなみに私の感覚では掃除と片付けは違うものとして考えています。

掃除は汚部屋を最低限人に見せられる状態にする事

片付けは部屋を綺麗にする事

初めての大掃除は小学4年生頃。
やる気を奮い立たせて掃除を始めた。
まずはテーブルのゴキブリ共を殺虫剤で殺す。逃げるゴキブリに悲鳴を上げながらスプレーで全殺。一番嫌な作業だった。
次はゴキブリが巣喰う原因の砂糖やらコーヒークリームやらがこびりついた調味料入れを綺麗にした。
床に散乱した父と祖母の洗濯物を一気に洗い、積み上げられた服は畳んでタンスへ。
何十個もある謎のキーホルダーやライターを全部捨て、リモコンなどの物の場所を決めて配置する。
物を捨てる時は「なんやねんこれ!💢」と言い通し。
積もった埃や蜘蛛の巣を箒で落とし、掃除機を掛ける。
丸一日かけて掃除は終了した。
達成感と疲労感でグッタリだ。

夕方に帰ってきた祖母と父は、部屋の様子を見てとても感動してくれた。
「めっちや綺麗になってる・・・ユリエありがとうねえ。おばあちゃん嬉しいわぁ、正直わたし、子供がそこまで掃除出来る訳あるかいて舐めてたわ。」
空気読め祖母、余計な一言はいらん。

これで健やかで綺麗な生活が送れる!て思った。
しかし私は舐めていた、汚部屋製造機達を。

2人は子供の頑張りを3日あまりで元の汚部屋へと変えたのだ。
この畜生が!!とブチギレなかった当時の私を褒めたい。

子供ながらにとてつもなく落胆した。
友人と遊ぶのを断って、丸1日を掃除に費やした私の時間は無駄だったのかと。しかし私はめげなかった。汚部屋で生活はしたくなかったから、年に3回は一人で黙々と掃除した。

それから30年以上、現在も家が汚部屋にならないようにと戦っている。

親戚は家族の中で私しか片付けられる者がいないと知ってるから、割りと簡単に私へ「もっと片付けられないの?」と聞いてくる。

笑顔で躱しつつ、心の中では「貴方たちの片付けとは訳がちゃうねん」と毒を吐く。
親戚に片付けホヤホヤの部屋を見せてやりたい。そしてこれが一週間でこうなります、と逆ビフォーアフターを知ったら親戚たちはどんな反応をするだろう。

私にとって掃除とは賽の河原の石積みと同じ。
積み上げても積み上げても鬼が全てを無へと帰す地獄の作業である。
綺麗にした部屋が凄いスピードで散らかっていく様を見るのはかなり苦痛だ。虚しいし、疲れる。
けれど定期的に片付けなければ散らかる一方なのでやるしか無い。

しかし全て無駄なのかと言えば、頑張って調教した甲斐の部分もあった。
汚部屋製造機(父)の習慣を徹底的に分析し、父の癖に適した部屋作りをした結果、父は昔程散らかす事は無くなった。
テレビかなんかで「二週間続けて同じ行動すると習慣になる」という事を知り、父に徹底させた結果、床に服の山を作る頻度は減り、少しだけ自分から掃除をするようになったのだ。
そこに至るまで何度も大喧嘩したが。

お陰で汚部屋から散乱部屋にレベルアップした。

これからも散乱部屋と戦う事になるだろうが、負けないでいたい。

同じ様に親によって汚部屋に悩んでいる人、親のズボラな生活習慣を知り、その上で部屋の家具とかの位置を変えたりすると散らかす度合いが若干マシになります。

これに関してまた後日記事を書きたいと思います。

今日はここまで。






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