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二日目のお粥さん。(鶏と大根の七分粥)

体調がすぐれない。
こんなに長引くのはいつぶりだろうか。
ベットで横になって、窓の外を眺めていると、なにかに取り残されて行くような気がしてしまう。

「食べなくっちゃ!」

イタリアにいる時に、体調が悪いと言うと、「白いもの」が出てくる。
パスタや米の白いものを茹でて、そこに、白いチーズ(パルミジャーノ)がかけられたり、オリーブオイル(厳密には白くはないが)がかけられたり。
お米を茹でる時に、一緒にチーズが煮込まれていたりもする。
「白いもの」 = 消化に良い 

私が大人なせいか、イタリアの食文化に軍配があがるのかは不明だか、
柔らかく煮てはおらず、アルデンテ(歯ごたえがある)なので、
この「白いもの」は、体調が悪くないときでも、食べると美味しいのだ。

実は、私は、体調不良時に出てくる、「白いもの」が苦手だった。
「アルデンテで、チーズ味の物も油がたっぷりかかったものも、食べたくない!!お味噌汁が飲みたい。いや、贅沢は言わないから、たまごスープでも良いから!!」って思っていた。


普段のイタリア生活においては、シンプルな白いものが好きでも、
病になると、食のアイデンティティは、生まれ育ったところに帰ってしまうものではないだろうか。


「二日目のお粥さん」

病の時の食事は、お粥さん。
こんな風に育った方は、日本人には多いのではないのだろうか。

お粥さんをきちんと作ってあげると、しみじみと美味しい。
和食には、お出汁文化があるので、お出汁をとった後の副産物も丁寧に作ってあげると、とても美味しいものが出来る。

二日目のお粥さんは、鶏と大根のお粥さんにしてみた。

利尻と枯節で、上品な出汁をとり、地鶏は決して沸騰させずに柔らかく火を通す。
大根は下茹でしておき。お米は、七分粥でゆっくりと煮ながら炊く。

出汁をとった後の利尻は、ニンジンや椎茸、ひじき等と合わせて常備菜に。
枯節は、醤油とザラメで炒め煮にしてから、FPで粉砕して、ふりかけに。

おっとっと。
お米が七分粥になった頃、地鶏の煮込んだスープを加え、透き通った大根を角切りにし、鶏肉は割いて加え、刻み葱に、針生姜。岩塩少々。


うまい。うまい。


我ながら、時代と逆流しながらアナログな食生活をしていると分かりつつ、
この一手間が断然美味しいのだから仕方ない。

二日目のお粥さんは、これまた、心に、五臓六腑に染み渡る美味しさだ。

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