鳥は夏の夢をみる

 走り始めてからどのくらいたったのだろう、周りの景色は身体を鍛えていくにつれて早く過ぎていくのが心なしか少し悲しい。
 ドロドロとしたまどろみをもがきながら進んできた毎日は、いずれもただ、消費に過ぎないだけだったかもしれない。それでも、ここまでこれたのは、まあ運としかいいようがないのだが。
 間違えてしまったことを考える。夕焼けの中目も暮れず飽き飽きと考えていた事。落としてしまった財布のこと、消えてしまった虹の事、あの人の泣きそうな顔。日々良ければ全て良いはずがない。真実は歪められ、与えられる洗脳には、ただの性悪が蔓延ってるだけであった。
 踵をかえし、あの街のことを思う。手を切られた、背を蹴られた、裏切られた。
 目の前の事だけを考える。それは将来と過去への侮辱だ。日和見に生きてれば悩みはしないがそこに価値はない。その美しさは、あなただけのものなのだ。ねじれてしまった事でもたらればを垂れてはしょうがない。
 道を間違える、すなはち、間違えなどないのである。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?